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【J2:第35節 水戸 vs 鳥栖】レポート:“ホームの利”を生かし、『キックアンドラッシュ』を見せた水戸。だが、試合はロングボールの蹴り合いのサッカーとなり、ドローに終わる。(08.09.15)

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9月14日(日) 2008 J2リーグ戦 第35節
水戸 1 - 1 鳥栖 (13:04/笠松/2,871人)
得点者:51' 飯尾和也(鳥栖)、69' 平松大志(水戸)
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 近年の日本サッカーでこれだけ“ホームの利”が働いた試合も珍しいだろう。

 夏場に降り続いた雨の影響により、ピッチは「5mの横パスでもはねてしまう」(木山隆之監督)という「サッカーができるグラウンドではない」(木山監督)状態になっていた。当然、水戸はその情報を先にキャッチしていた。2日前の夜に木山監督はピッチ状態を知り、そして前日に試合会場で行った練習でロングボール主体の作戦を練習していたという。一方、鳥栖はスタジアムに着いてから、ピッチ状態を知ることに。どの選手もピッチを見るやあっけに取られ、ウォーミングアップでも思い通りプレーできない憤りから首を傾げる選手の姿が目立った。試合後、岸野靖之監督が「こういう状態に水戸は慣れていた」と語った裏にはそうした事情があったのだ。

 水戸の戦い方は徹底していた。センターバックを4枚並べた4バックは最終ラインから離れることなく、DF裏のスペースを埋め、そしてサイドMFは常に高い位置に張り、常に4トップ状態になるという変則的4−2−4というシステムで挑んだ。マイボールになるとすぐさま前線へロングボールを蹴り込み、鳥栖陣内へ押し込むというリスクを排除した「中盤を省略した」(大和田真史)戦いを繰り広げた。その戦いぶりは古きイングランドの「キックアンドラッシュ」を彷彿させるもので、それは今季水戸の目指すポゼッションサッカーから逸脱するものであったが、この日のピッチ状態には適した戦い方であった。

 序盤から執拗にロングボールを蹴り込み、水戸が鳥栖DFに圧力をかける。鳥栖DFも普段とは異なるピッチ状態のため足元がおぼつかず、ロングボールの対応に四苦八苦。そこにプレスをかけて主導権を握ることになった水戸は22分には左サイドを突破した堀健人からの折り返しを西野晃平がシュート、23分には左CKをビジュがボレーで合わせるものの、GK室拓哉の好セーブに遭い、ゴールならず。その後も単純明快ロングボールサッカーで水戸が攻め込んだが、チャンスを生かせないまま前半を終えた。

 後半に入り、鳥栖は腰痛を抱える高橋義希に変え、島嵜佑を投入。すると、鳥栖のパスワークが冴えはじめる。水戸がロングボールに固執するのに対し、鳥栖は「つなぐ意思を持っていた」(岸野監督)。左右を有効に使った攻撃から水戸ゴールを襲い、そして51分にCKから飯尾和也が蹴り込み、先制を果たす。その後も鳥栖がサイドを崩し、63分には決定的なヘディングシュートを放つが、GK本間幸司にかろうじてはじき出され、追加点を奪えず。すると、このスーパーセーブによって、再び流れは水戸に移ることとなった。

 64分に水戸はパク・チュホが負傷退場するアクシデントに見舞われたが、大和田が守備的ボランチに入ったことで役割が明確化することに。中盤の攻撃的な3人が流動的に動くことによって、中盤でボールが回るようになり、そして、69分に得たCK、赤星貴文が蹴ったボールを平松大志がニアで合わせ、同点に追いつくことに成功する。

 終盤、最初から戦い方を徹底していた水戸に対し、自分たちのサッカーができずに苦しんだ鳥栖のスタミナは当然のように蝕まれていき、水戸の猛攻が続いた。だが、鳥栖も上位に名を連ねる意地を見せる。水戸の執拗なまでのロングボール攻撃に対して集中を切らすことなく、最後まで体を張った守備でしのぎきり、試合は1対1のドローのまま終わることとなった。

 「勝点3を取ろうとしていただけにショックが大きい」と山城純也は肩を落とした。3戦勝ちなしという状況で、昇格争いに食らいつくためにも鳥栖にとっては絶対に勝っておきたかった一戦であった。しかし、ピッチ状態もあり、鳥栖らしいパスワークを見せることができず。水戸のロングボールサッカーに苦しみ、またしても勝利を逃した。だが、そんな状態でも勝点1を獲得したことは決して小さなものではないはず。「鳥栖が上位にいるのはこういう悪い流れでも耐えることができるから」(大和田)という昇格争いするチームの強さも見せたと言えよう。「この勝点1を無駄にしないように、残り9試合全力で戦いたい」と山城は前を向く。鳥栖にはまだまだ昇格の可能性は十分残っている。最後まで可能性を信じて“熱く”戦ってもらいたい。

 対照的に、試合後の水戸の選手たちの表情は明るいものであった。「内容では上回った」(平松)、「ウチのほうがいいサッカーができた」(赤星)とポジティブな言葉が聞こえたように選手たちは手ごたえをつかんだようだ。運動量、球際の強さに加え、木山監督が鳥栖よりも勝ったものを「グラウンドに合ったプレー」と口にしたようにノーリスクのロングボール戦法が功を奏した格好となった。だが、『ホームの利』、そして信念を曲げて勝負に徹した戦いをしながらも勝てなかったという事実を忘れてはいけない。この日の鳥栖と水戸の差はその2つだったのではないだろうか。攻守において今季の水戸の目指すサッカーは見ることができず、全体的には「お互いに蹴り合う中身のないサッカー」(岸野監督)だったことは否めない。

今季の水戸の力はこんなものではないはず。もっと大きな目標に向かって、勇気を持って突き進んでほしい。

以上

2008.09.15 Reported by 佐藤拓也
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