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【J2:第36節 仙台 vs 岐阜】レポート:「共闘」の空気が包むユアスタ。好調時のフォームを取り戻した岐阜に苦しめられるが、仙台が開始早々の先制点を守り3連勝を決める。(08.09.21)

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9月20日(土) 2008 J2リーグ戦 第36節
仙台 1 - 0 岐阜 (14:04/ユアスタ/11,174人)
得点者:4' 梁勇基(仙台)
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 はるばる岐阜から仙台にいらっしゃったアウェイのサポーターの方々には、試合前に掲げられた横断幕やら、選手入場時にバックスタンドに現れた「絆」の人文字が示す意味など、全くわからなかったに違いない。だがそれも無理のないこと。これはあくまで、仙台のクラブを取り巻く環境内での戦い…もう少し詳細に語れば、チームやフロント、そしてサポーターといった、普段からクラブのそばにいた者から見て、その一歩外からベガルタ仙台というクラブを、今挙げた三様とは違った意識に立つ者への、サポーターからのメッセージだったのだから。
 とはいえこの面での「共闘」も、ひとまず求心力を保つためには、目の前に次々と現れる相手を斬り続け、昇格という結果まで一気に駆け抜けることが必要になってくる。今回の騒動が大きくなってからの最初の一戦という意味で、仙台の「今の」クラブにとって、今節の岐阜戦は非常に大きな戦いだった。
 仙台は勝った。共闘は、まだ続く。

 今節迎えた岐阜は2試合連続(1−7、0−6)の大敗中。シーズン終盤のこの時期に息切れを迎え、完全に瓦解していくのか、はたまたもう一度己を取り戻しチーム力の上積みにつなげていくのか。岐阜にとってもこの試合は試金石であり、この差は今節の行方にも大きく関わってくるものだった。
 しかし岐阜にとっては前節のリプレーを見るかのごとく、開始わずか4分で先制点が仙台に入る。ゴールの遠い位置から木谷公亮が放り込んだFK、岐阜守備陣のクリアが小さくなったところ、落下点にいたナジソンからボールをかっさらうかのように、上半身でのトラップでペナルティーエリア左サイドに抜け出したのは梁勇基。見事なトラップからのハーフボレーが岐阜ゴールを揺らした。状況的に大量点を期待されていただけに、仙台としては岐阜に粘り強く守られ、前半を0−0あたりで終えるのは最悪のシナリオ。それがまずはなくなったことで、ユアスタは若干の安堵に包まれ、その安堵はすぐにゴールラッシュへの期待へと変わっていく。

 となると、2試合連続の早い失点となった岐阜がこの状況にどう立ち向かっていくかがいよいよ問われるわけだが、岐阜が段落冒頭の二者択一で選んだ道は後者だった。先に90分全体について語るとすれば、岐阜の守備が最も乱れたのはまさにこの失点時であり、以降は時間が経つに連れて、守備に集中力がみなぎっていく。岐阜が川島眞也と奈須伸也、守備力のある2人の「シンヤ」を両サイドバックに配したことで、仙台はサイドを簡単に突破する道を阻まれ、少しでも時間をかけてしまえば素早く戻った中盤の選手によって数的有利を作られた。また時折入ってくるセンタリングにも、岐阜の守備陣は前節までにいくつも見受けられたマークミスを犯すことなく対応。奈須が関口訓充のチェックでボールを失い、そこからのセンタリングで平瀬智行に飛び込まれた19分の場面こそシュートが枠に嫌われたことで救われたが、それ以外の場面はよく仙台の攻めに食らいつき守り通した。

 すると後半は、仙台がこの展開に対しての苦しみを如実に表してしまう。相手が守りを固めるのが速いためか、前節熊本戦の前半のように縦へ急ごうとする攻めは実らず、さらに若干荒れたピッチもあって、仙台はハーフウェイ付近、あるいは手前で何度もボールを失う。守りを固めて反撃機会を狙っていた岐阜にとっては最高の流れだった。カウンターがおもしろいように決まり、仙台の中盤より後方がいよいよ前に出られなくなった60分過ぎからは、むしろ岐阜が仙台を押し込む場面も。仙台も分断された中盤の中でボールを運ぶ役割を託すべく永井篤志を入れるが、思うように効果を発揮せず。前半に1点しか取れなかったことを後悔させられる展開、その直前まで仙台は追い込まれることになった。

 だがここで、仙台の守備は踏みとどまる。最近、まさに守護神としてファインセーブ連発の林卓人、何度も1対1の状況を迎えながらも長い足を活かしたスライディングで最後の突破を許さなかった岡山一成らの活躍、そして何より、会見で手倉森誠監督が真っ先に触れたように、後半当初は劣勢に選手同様戸惑いを見せながらも、岐阜の状態がまやかしの攻勢ではないことを悟ってか、終盤には一糸乱れぬ応援でチームを支えたサポーターの声援。今のチームが持つすべての物を動員して、仙台はわずか1点のリードを守った。
 後半ロスタイム、目安の3分が過ぎた後の岐阜のFK。フィールドプレーヤー全員が仙台のペナルティーエリア付近まで上がる中、GK日野優が蹴ってきたボールに双方の選手が群がり、一旦はエリア内で高く舞い上がる。だが最後は、とにかくこの試合に勝利しないことには先に進めない仙台の意地が勝った。中原貴之がオーバーヘッド気味のクリアを見せたところで笛が長く、3度鳴った。

 結果は分かれたが、双方にとって意義の見いだせる試合だった。敗れはしたものの、ここ2試合を考えれば、岐阜はこのアウェイ戦でよく持ち直したと言える。決して奇策の類を使うことなく、もう一度4−4−2の原点に立ち返ったような組織だった守りと、両翼をワイドに使った逆襲は、チームに失いかけていた自信を取り戻させたことだろう。残るは試合後に菊池完が語っていたように、次節以降もこのフォームを継続し、次こそは結果につなげることである。

 そして仙台についてだが…細かな戦術論云々よりも、こうして「共闘」が始まった今、改めて言っておきたいことがある。
 今の結果は、今この場で戦う者にしか作れない。そしてそこで何か栄光が成し遂げられたのだとすれば、それこそ未来永劫、このクラブの「歴史」となる。
 現在から、未来は(多少なりとも)変えられる。逆に(どんな未来なのかはわからないが)未来からは、今を変えることなどできない。未来から遡って歴史が作られることなど、あってはいけないのだ。
 だからこの時をここで生きる者同士、手を取り合って今を戦おうではないか。与えられた時間を、怒りも、涙も、喜びも共有しながら。

以上
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