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【J2:第36節 C大阪 vs 山形】レポート:山形、迫力の逆転劇!C大阪、執念の同点劇!持ち味を出した両者、結果は白熱のドロー!(08.09.21)

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9月20日(土) 2008 J2リーグ戦 第36節
C大阪 2 - 2 山形 (18:04/長居/20,271人)
得点者:21' 香川真司(C大阪)、32' 豊田陽平(山形)、44' 豊田陽平(山形)、63' ジェルマーノ(C大阪)
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「セレッソにとっていい時間帯もあれば、流れの悪かった時間帯もある。その繰り返しだったように思います」
レヴィー クルピ監督のこの言葉が、めまぐるしい試合の流れを言い表している。スコアの動きもめまぐるしかった。C大阪が先制すると、山形が同点・逆転、そこからC大阪が同点に追いつき、さらに再逆転なるかという展開は、まさにスリリング。勝点1ずつを分け合うことになった評価を脇に置けば、2万人を越す観客を飽きさせない、昇格を狙うチーム同士の直接対決らしい内容のドローゲームだった。

C大阪はアレー長期離脱のボランチに青山隼を起用。さらに、左サイドバックには前節の丹羽竜平に代わり、ジウトンをJリーグデビューさせる。一方の山形も、豊田陽平を2試合ぶりに先発に戻したほか、ボランチ佐藤健太郎を怪我で欠いたことで、宮本卓也をボランチに上げるとともに、ディフェンスラインにも小原章吾を7試合ぶりに出場させ、石井秀典を右サイドバックにスライドさせた。こうした前節からのメンバー変更も、このゲームを大小さまざまに構築していった。

レオナルドがパスカットしたボールを受けた宮本が、すかさず右スペースに配球して豊田を走らせたり、足元で収めた長谷川悠に絡み、縦の突破で青山のファウルを誘うなど、山形の「ボランチ宮本」の狙いは発揮されていた。しかし、ルーズボール争奪戦で遅れを取っていたC大阪も、しだいにボールを拾い始める。最初はディフェンスラインで、しだいに中盤で、時間とともにポゼッション率を高めると、機能し始めたのは香川真司と乾貴士のホットラインだ。前半10分、乾からのパスで香川が山形最終ラインの左でシュートを打つと、17分にも香川から右の乾に展開し、柳沢将之のクロスを導いた。

ウォーミングアップ完了とばかりに飛び出したのが、前半21分のプレー。右から中に切れ込みながら乾とのワンツーでパスを交換した香川が、ゴール前ど真ん中からシュートを放った。大胆な動きに意表を突かれ、完全に後手を踏まされた山形の選手たちが呆然とするその横で、C大阪の選手たちはパパになりたての小松塁にゆりかごダンスを捧げた。

先制で勢いの増すC大阪のポゼッションを前にして、山形はさらに押し込まれる。中央でボールタッチを増やしたジェルマーノには、ボランチではなく、2トップの1人が下りて対応した。ボールを奪ってもセーフティに蹴りだすことで精一杯だったが、前半32分に点と点がつながる。カイオのプレッシャーを受けながら石井が秋葉勝へのくさびパスを通すと、ボールは右サイドを縦に走り出した北村へと渡される。クロスに対してニアに飛び込んだのは豊田。ゴールまでやや距離はあったが、豪快に叩き込む豊田らしいヘディングで山形が同点に追いついた。

振り出しに戻ったピッチ上では、互いのゴール前まで何度かボールが運ばれたものの、徐々に膠着状態へと向かっていったが、ロスタイム直前に状況が一変する。石川竜也からのパスを受け、宮沢が左サイドで豪快に左足を振り抜いた。正面には飛んだが、GK相澤貴志は弾くのが精一杯。そのこぼれ球を右から蹴り込んだのは、またも豊田。山形の逆転で、長居スタジアムは静かなハーフタイムを迎えた。

2位・山形との勝点差は6。このまま試合を落とし、残り9試合で9差という厳しすぎる条件は、なんとしても避けなければならない。「前半の立ち上がりのようにもっとアグレッシブに」というクルピ監督の檄で送りだされたC大阪は、その執念を少しずつ表現していった。特に、前半はほとんど見せ場のなかったジウトンは高い位置まで何度も駆け上がり、ゴール前へのクロスや香川へのスルーパスでチャンスメイクした。

追いつくか、逃げ切るか。その分岐点は後半17分に訪れた。左サイドからのC大阪フリーキックの場面で、小原がこの日2枚目のイエローカードを受けて退場する。1分後、ジェルマーノがPKを決めると、スコアは2-2のタイスコアながら、山形が1人少なくなったことで形勢は完全に逆転した。

サイドからのクロス。そこで得たコーナーキック。さらに中央でパスを交換しながらの突破。C大阪が勝ち越しの1点をめざして山形ゴールに襲いかかるが、山形もフィニッシュやその一歩手前ではしっかりとブロックに入り、ゴールを許さない。山形は選手交代とともに1トップの顔ぶれを変えていくが、後半42分の長谷川のシュートを最後にカウンターの芽が消えると、ゲームの焦点はC大阪が勝ち越すか、山形が守りきるかに一気に集約されていく。後半43分、カウンターからC大阪が枠内に2度打ち込んだシュートはGK清水健太の好セーブに阻まれる。ロスタイムに突入し、大きくなったスタンドの手拍子に後押しされたC大阪は、途中出場の柿谷曜一朗から香川、そしてこちらも途中出場の小松にパスが通ったが、至近距離からのフィニッシュは寸前で足を投げ出した石井のブロックに弾かれた。
 
「セレッソのほうが数多くのチャンスはつくりましたけれども、トータルで考えれば妥当な結果ではなかったかなと思っています」と分析しつつも、「数字のことを考えると、結果としては最悪の結果だと思っています」と、直接対決という最大の追撃チャンスをドローで終え、順位も5位にひとつ下げることになったクルピ監督は悔しさをにじませた。一方の小林伸二監督は、「途中まではひょっとしたらもう1点か勝点3取れるかなあと思ったんですけど、あと20分、2-2になってからは勝点1を今日は取れてよかった」と、終盤の選手たちの踏ん張りを讃えた。

潰し合いの一戦で、相手を潰しきれなかった悔しさは双方に残るが、手にした勝点1が無駄ではなかったことを証明するチャンスもまた、目の前に残されている。

以上

2008.09.21 Reported by 佐藤円
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