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【第88回天皇杯5回戦 川崎F vs 広島】プレビュー:J1最強攻撃陣vs J2最強攻撃陣。ガチンコ攻撃バトル、長崎で実現 (08.11.15)

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11月15日(土)第88回天皇杯5回戦 川崎F vs 広島(13:00KICK OFF/長崎)
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 かつてのJ2には、強烈なストライカーが存在した。
 例えばエメルソン(札幌・川崎F)、ジュニーニョ(川崎F)、バレー(大宮・甲府)。昨年はフッキ(東京V)がいて、J2の守備陣を恐怖に陥れた(カッコ内はJ2時代の所属チーム)。
 しかし今季のJ2には、そういう破壊的なストライカーが存在しない。一人で守備ブロックを一気に突破し、何でもないシーンから得点を生み出すような、抜きん出た選手はいなかった。
 だから広島の選手たちは、天皇杯で強力な攻撃陣を擁する川崎Fと闘うことを、待ち望んでいた。

 「今年、やってきたことを出し切りたい。本当に楽しみです」(槙野智章)
 「川崎Fは本当にいい相手。攻撃的な広島のサッカーをぶつけたい」(森崎和幸)
 守備の要となる二人の選手たちの言葉は、広島の選手の想いを代弁している。
 「川崎Fの攻撃陣は誰もが脅威だが、キーマンを挙げれば彼だろう」と広島・ペトロヴィッチ監督が指摘するジュニーニョをはじめ、鄭大世、レナチーニョ、ヴィトオール・ジュニオール。決して連動性豊かにコンビネーションを駆使して攻撃してくるわけではないが、いずれの選手も一騎当千。ベンチには、我那覇和樹や黒津勝といった百戦錬磨のタレントも控えている。

 さらに、ボランチの谷口博之が積極的にゴール前に絡み、セットプレーでは高さを活かしてヘッドを叩き込む。両サイドの森勇介や村上和弘もスピードを活かして守備ブロックを突破する。J1ナンバー1の得点力(リーグ戦平均1.77)も当然の戦力を保有する川崎Fの攻撃は、間違いなくJ2には存在しえないレベルのものだ。

 ただ、川崎Fの状態は現在、決していいとは言えない。
 リーグ戦では、ここ3試合で1勝2敗。第31節の大宮戦では、堅守に苦しんでチャンスもそれほどつくることができず、大宮の鋭いカウンターの前に屈した。3試合で川崎Fの誇る3トップのゴールは、わずかにジュニーニョの1得点だけ。柏を5-2と粉砕し、J1最小失点の大分を3-0と破った試合で見せた破壊力は、確かにこのところ影を潜めている。
 11月3日、天皇杯・初戦の山形戦。序盤は川崎Fの状態の悪さを証明するかのように動きが重く、山形に先制されてしまった。だが、その後に見せた川崎Fの攻撃は、まさに圧巻。圧倒的なスピードを活かしたドリブルで守備陣を揺さぶり、あっというまに3得点をゲット。広島を除けばJ2最少失点を誇る山形を粉砕した。決して状態が良くなくても、一度ツボにはまった時の川崎Fの恐ろしさを、まざまざと見せつけた試合だった。

 しかし、この川崎FとJ2王者の広島は、互いにベストメンバーでこの試合に臨めない。
 ジュニーニョと並んで、川崎Fの絶対的な存在である中村憲剛が、日本代表招集のため寺田周平・川島永嗣と共にチームを離脱。やや低めの位置から攻撃を構築する指揮者=中村がいないことは、川崎Fにとって大きな痛手だ。
 一方の広島も、今季24得点を記録しているJ2得点王=佐藤寿人が、代表に招集されて不在。絶対的なエースを欠いた広島は、高萩洋次郎を頂点として柏木陽介・森崎浩司の3人で前線を構築する、いわゆる「ゼロトップ・システム」で臨むことになる。このシステムは今季2度試され、第34節の岐阜戦では7得点をたたき出した。しかしJ1の経験豊富な守備陣を相手に、この「ゼロトップ」が通用するかどうかは、もちろん未知数だ。
 「(W杯予選があるから)仕方がないけれど、できれば代表組が揃った状態でやりたかったですね」と言う広島・青山敏弘の言葉は、両チームの選手たち、サポーター、そしてJリーグ・ファンの多くが実感する想いだろう。

 とはいえ、川崎Fは前線のタレントが健在だし、広島も佐藤寿人以外はベストメンバーだ。個々のタレントを活かして相手の守備を破壊する川崎Fと、連動性が生み出すコンビネーションで守備を無力化する広島と。鄭大世や谷口の高さ、ブラジル人トリオのスピードと技術が、若い広島のイレブンを圧倒するか。ダイレクトパスを何本も交換し、ストッパーまで前線で攻撃に参加する広島の「ムービングサッカー」が川崎Fを凌駕するか。
 個性は全く違うとはいえ、J1とJ2、各カテゴリーの最強攻撃陣がガチンコでぶつかるこの試合は、たとえ代表組がいなくても、キラキラとした魅力にあふれたものとなるだろう。

 「川崎Fの攻撃はたしかに脅威だが、自分たちの攻撃的なサッカーを捨てるつもりはない」とペトロヴィッチ監督は真っ向勝負を宣言。川崎Fにとっても、それはもちろん望むところのはず。相手に合わせたプレーではなく、自分たちのサッカーを信じ、最大限の力をぶつけ合う熱い闘いが、長崎の地で展開されるはずだ。

以上

2008.11.14 Reported by 中野和也
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