11月20日(木)2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選 日本 vs カタール(01:30KICK OFF/ドーハ)
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6月のオマーンや、9月のバーレーン遠征時がそうであったように、中東と酷暑とは日本人にとってかなり固定的なイメージとして定着しているものである。ところが11月のカタールは暑さとはほど遠い気候で日本代表を迎えてくれた。100試合を超える国際Aマッチの出場経験を持ち、現代表の中では群を抜くキャリアを持つ川口能活(磐田)が「中東には何度か来ていますが、その中で一番涼しいですね」と驚きを持って口にする。涼しいどころか、日がかげってくると寒いくらいなのである。寒さの要因は30%前後と低い湿度にある。吹き抜ける風が汗を吹き飛ばし、それが体感温度を下げているのだろう。
岡田武史監督がコンセプトを掲げ、自らアクションを起こすサッカーへと転換した6月以降。日本代表の中東での過去の2度の戦いは、思うようなプレスを仕掛けられずにいた。もちろん暑さによる体力の消耗を考慮してである。そういう意味ではこのカタールの気候は、日本本来のサッカーに回帰する絶好の機会であると言える。
前にも書いたが、岡田監督が掲げているコンセプトは、日本にとってアジアを勝ち抜くという目の前の目標のためだけのものではなく、世界を驚かせ、ワールドカップ本大会で上位に勝ち上がっていくための方法論である。だからこそ、こうした真剣勝負の場で積極的にその戦術にチャレンジすべきであり、アジアレベルでその完成度と破壊力を見せつけるべきものでもある。そして気候面でコンセプトを完遂するための環境が整ったこのカタールでこそ、実際に試すべきものだと考えられる。
今回と同じように、コンセプトの徹底を目標にした試合が、先日行われたウズベキスタン戦だった。これもすでに何度か書いてきたことだが、日本代表は前からのプレスを指向しながら、相手のプレッシャーに気圧され、完全に押し込まれる立ち上がりを見せてしまっていた。あの試合の悪いイメージを払拭してくれることを期待した先日のシリア戦は今度はプレスが空回り気味となり、ボール保持者に無鉄砲に突っ込み、そしてかわされる場面が何度も見られた。それらの試合の反省をベースに、この試合では岡田監督が目指すサッカーをやり遂げてほしいと思う。最終的にコンセプトを実行して世界で勝ち星を積み上げなければならないことを考えれば、アジアで足踏みをするわけにはいかないのである。
その点、プレスのスイッチとなる玉田圭司(名古屋)は「攻撃でも守備でも、自分がスタート(スイッチ)という思いでいます。いい守備ができればいい攻撃ができると思いますから」と答え、前からの積極的なプレスの起点になる覚悟を決めていた。そうした前線からの守備について内田篤人(鹿島)も呼応。「鹿島だとスイッチはマルキ(マルキーニョス)だったりするんですが、プレスに関しては例外はない。指示は後ろから出したりとかはしますが、前が行けば付いていきます」と述べて、前線が前から行く判断をした場合は、最終ラインも含めて、押し上げなどの対応を取る意志を示していた。
もちろん日本目線でのみプレスを語る訳ではない。メツ監督へと交代後のカタールは、玉田が「カタールはプレスをかけてくると思う」と述べていることからわかる通り、日本と同じように前からのプレスを指向してきているのだという。つまりプレスのかけ合いになる可能性があるのである。ただ、もちろんプレスで負けるわけにはいかない。着地点である世界を見据えたときに、このアジアでの予選で押し負けるわけにはいかないのである。だからこそ「それ(相手のプレス)にとらわれず、自分たちのサッカーをしたい」という玉田の発言を実際にプレーで見せてほしいと思う。
ところで、代表招集されている全ての選手に話を聞いたわけではないが、その中でもずば抜けた代表への思いを持っていたのが中村俊輔(セルティック)である。彼は左ヒザの靱帯を痛めながら、日本代表への合流を認めてもらうためにセルティックでプレー。いまだに「膝下だけでやる瞬間」に痛みが出るという。そんなイバラの道を踏みしめながらも「言われなくても(90分)行くつもり」と話す中村俊の、その思いの源泉は元日本代表のラモス氏や三浦知良選手にあるのだという。
「昔からの、ラモスさん、カズさんの時からを見ているからじゃない? 代表にかけるのは」(中村俊)
中村俊が言うところの最近のサッカー選手の風潮、つまり代表は二の次で「(欧州の)クラブで生き残りをかけて、次のもっとビッグクラブに行く」ことで大金を稼ごうという流れとは真逆の、代表への強い思いを持つ中村俊。そんな思いはいわゆる「ドーハ世代」がもたらしたものだった。そして期せずして、予選の舞台はカタールのドーハへ。
中村憲剛(川崎F)や玉田など、実際にその場面を見て、そして傷ついた世代はいわゆるベテランの領域へ。若手選手の筆頭格である香川真司(C大阪)はもちろん、「小学生くらいで覚えていない」と言う田中達也(浦和)の世代にも記憶の風化や、そもそも体験すらしていない選手が増えてきている。ドーハ世代の選手というと、ほどよい緊張感の中で試合を迎えていたように記憶しているが、最近の若い選手の中には「ぼくは普段からいつも緊張しない。もう少しことの重大さに気付いたほうがいいのかもしれません」とまで言う内田のような選手も出てきている。もちろん記憶や歴史に引きずられ、自らが立つ舞台の重大さに気が付いてカチカチになるよりは、内田のような強心臓を持っていたほうがいいのかもしれない。
いずれにしても、日本代表は決戦の地をドーハへと移した。対戦相手のカタールは複数の帰化選手のプレーが注目を集めているが、その中でもウルグアイから帰化したセバスチャンは要注意である。カタール戦に向けて話を聞いた選手の口から何度となくその名前が出てきており、かなりの警戒感を持って受け止められている。また14日に行った韓国との親善試合では、ブラジルから帰化したモンテシンがFKを決めているのも気になるところだ。FKといえば、シリア戦で先発した寺田周平(川崎F)は日本のゴール前でファウルを取られた自らのプレーを反省。FKを与えないよう「ファウルしないことが大事になる」と話していた。その寺田がシリア戦でファウルを取られていたのは、ロングボールの競り合いのプレーの場面。そしてカタールは前線にロングボールを入れる場面も少なくはないという。中澤佑二(横浜FM)の欠場という非常事態を、どの選手が穴埋めするのかという部分も含めて、ロングボールの競り合いは一つの見どころになるのかもしれない。
当面、目指すものはただ一つ。W杯への出場権のみ。そのために、まずは勝点を積み上げてほしいと思う。勝利できればそれに越したことはないが、アウェイでの戦いであることを考慮すれば勝点1も悪くはない結果であろう。いずれにしても、笑顔で日本に帰れるよう、選手には期待したいと思う。
以上
2008.11.18 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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