12月20日(土) 第88回天皇杯準々決勝
鳥栖 1 - 3 横浜FM (13:03/ベアスタ/9,656人)
得点者:23' 廣瀬浩二(鳥栖)、26' 中澤佑二(横浜FM)、44' 栗原勇蔵(横浜FM)、89' 狩野健太(横浜FM)
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セットプレーでの高さ、パスの精度、そして攻守の切り替えスピード・・・。どこをとっても横浜FMに軍配が上がる。押し込まれても決して慌てず、落ち着いてサイドに逃げたと思えば、高速カウンターで一気にゴール前まで攻めあがる。そんなサッカーを仕掛ける横浜FMに鳥栖が勝っていたことは、最後まであきらめないことと、身体を投げ出してでも失点をしないブロックだったかもしれない。結果は、1-3と横浜FMの完勝だったかもしれないが、どこかの歯車が狂っていれば、J1のチーム相手にJ2の鳥栖は勝利していたかもしれない。そのどこかの歯車を狂わすことができたのは、23分のことだった。
中央でボランチの高地系治がボールをFW藤田祥史に渡した。そのボールを受けたFW廣瀬浩二が中央に切り込み、相手DFをかわしてゴール左に決めた。ポストプレーとそのスペースに仕掛けていく流れをこの試合では何回見られたことだろう。終了間際にも一度あったが、ゴールネットを揺らすことは出来なかった。ポストプレーヤーの藤田までは渡るものの、それからあとへの展開は思うようにできなかった。このあとの展開を鳥栖ができなかったのか、横浜FMがさせなかったのか・・・。答えはその両方である。
横浜FMのMF河合竜二と小椋祥平は、3バックとワントップの間で鳥栖のクリアボールを拾い続けた。拾ってはサイドへ展開し、鳥栖のプレスに的を絞らせなかった。ポストプレーに入ったボールも、その後の展開を読んで危険の芽を消した。中盤でのボールポゼッションが高くなると、自然とボールは相手ゴールに近づいていく。先制点は奪われたものの3分後にはCKを得て、横浜FMの高さを生かした攻撃力を見せ付けることができた。26分、狩野健太からのボールは、マークをはずしきったDF中澤佑二のヘディングシュートとなり、流れを鳥栖に渡すことなく同点となった。そして、前半の終了間際には同じくDF栗原勇蔵のヘディングで勝ち越してしまった。どちらのCKも、「自分たちの形」(中澤佑二/横浜FM)であげた得点であり、そこまで耐え続けた鳥栖には「分かっているけどやられてしまった」(DF飯尾和也/鳥栖)失点だった。
前半の45分を終了して、ポゼッションしている横浜FMには安泰の得点差ではなく、鳥栖にはまだ一縷の望みを持っている点差だった。次の得点がどちらに入るかで、この試合の勝敗は決まる雰囲気を持って後半は始まった。鳥栖は流れを変えるべく、両サイドのMFを交代させた。65分過ぎのことである。横浜FMは、中盤の選手に代えて高さのあるFWを入れた。85分のことである。結果を出したのは、横浜FMのほうだった。89分に左サイドに流れたMF金根煥からのセンタリングをMF狩野健太が左足で鳥栖に止めを刺した。途中交代で入った選手の活躍が、決勝点に結びつくうまさを鳥栖に見せつけたシーンでもあった。これまでの中に鳥栖が流れを引き寄せる好機は幾度と無くあった。52分からは、4連続CKを得る事もできた。その数分後にも同じくCKとFKを得て、横浜FMのゴールを割るチャンスはあった。しかし、横浜FMの高さと落ち着いた対応は、鳥栖に流れを渡すことなく90分を終えることとなった。
「ここまで来たら、あと2つ(2勝)を取るつもりでやる」と中澤佑二(横浜FM)は力強く宣言した。横浜FMは、今日の勝利でその資格を得た。29日の準決勝でも、そのうまさを見せ付けて欲しい。「来季の自信へとつながる」と高橋義希(鳥栖)は、この悔しさと経験がステップになることを教えてくれた。鳥栖は、今年の躍進をぜひとも来季も継続して欲しい。カップウィナーズの称号を得るための熱き戦いは、9,656人の大歓声の中で行われた。
負ければ終了してしまうトーナメント方式。どんな形でも勝利を得れば、次のステージが待っている。最後のステージには、「カップウィナーズ」という称号とアジアチャンピオンズリーグに出場できる権利がかかっている。しかし、本当に素晴らしいのは、一回も負けないで大会を終えることではないだろうか。アスリートの本能には、「敗者」というものが組み込まれてはいない。だからこそ、勝利を目指して汗を流し、持てる力を出し切るのである。勝利を目指して戦う姿勢には、幾度涙を流しても感動が尽きることが無い。どんな美辞麗句を並べても、その本質を表現することはできない。そこには、戦っている選手たちだけが得られる感動があり、その姿にただひたすら感銘するしかない。サッカー選手がうらやましい。そして、だからサッカーは面白い。
以上
2008.12.20 Reported by サカクラゲン
J’s GOALニュース
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