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【2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選 日本代表 vs オーストラリア代表】プレビュー:世界基準の相手を前に、コンセプトは通用するのか。オーストラリアでは、好調を維持するケーヒルに要注意(09.02.10)

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2月11日(水)2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選 日本代表 vs オーストラリア代表(19:20KICK OFF/横浜国)
試合速報 | ファーストゴーラー投票 | TV放送:テレビ朝日系にて生中継!
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1月28日にアウェイのバーレーン戦を落とした後、このオーストラリア戦への影響を気にする声に対し、岡田武史監督は「こういう相手に勝つためにやってきた」と何度となく口にし続けてきた。

昨年の5月を起点とするチーム作りは、「コンセプト」というイメージをピッチ上で具体的な形として実現できるよう進められてきた。選手たちはイメージと現実のギャップをどれだけ近づけられるかに心血を注いでおり、たとえば内田篤人(鹿島)は「やるのは自分たちなので、最低限の約束事をしっかり全うしたいと思います」とコンセプトの範囲内での約束事を意識していた。そしてその上で、内田のスタイルに合ったプレーをプラスアルファとして「ピッチで出したい」と話していた。つまり選手たちは戦術でがんじがらめに縛り付けられているのではなく、一定の「あそび」を持たされた状態で試合に臨めているのである。そして、それこそが日本がドイツで学んだ課題だった。

刻一刻と時を刻む試合中に、逐一ベンチからの指示を仰がなくては動けない。まさに06年ドイツW杯の時点での日本代表がそうだった。たとえば、1点をリードした後半。相手が自陣での守備を捨てパワープレーに出てきた時にどうするのか。選手たちはベンチからの指示を待ち、そして柔軟性を失った守備陣は勝点3を目前にして決壊する。
日本のサッカー界が、それまでのベンチ主導のサッカーの限界を感じ育成年代からの「発問」というキーワードを元にその方向性を変えさせられた試合が、カイザースラウテルンでのオーストラリア戦だった。意図しているかどうかは別として、岡田監督の「コンセプト」に基づくチーム作りとは、まさにあの大逆転負けを教訓とした流れに沿っている。

戦術と選手の自主性とを共存させようとした時、その限界値は選手の個人能力に大きく依存することになる。そもそも戦術で戦い方を固定した場合、臨機応変さや柔軟性は失われるが、その戦術が対戦相手にフィットする試合に限っては、選手の個人能力のなさを補う働きを見せることとなる。和を重んじる日本という国は組織力に秀でており、戦術が世界に対抗する手段だと信じられてきた。しかしその考えが限界に来ているのは、実は98年のフランスW杯を終えた時にすでに認識されていたのである。当時から「組織を突破する個の育成」が提唱されており、そうした流れが選手の自主性を重視するという方向性と共に到達したのが現在の日本代表の姿であると言える。そして戦術という名の呪縛から選手を解放した岡田監督が目指す方向性は、日本人選手の個人能力が世界でどの程度の場所に位置づけられるのかを白日の下に晒すことにつながる。

岡田監督が掲げる最終的な目標はW杯でのベスト4である。その高みに到達しようとしたとき、今現在の自分たちの実力がどの程度のものなのか。それを客観視するには、このオーストラリアというのは非常にいい相手なのだろうと思う。選手たちはオーストラリアへの敬意を忘れず、アジアでのトップクラスであることを認める発言を繰り返してきた。ドイツW杯でベスト16に進出し、優勝したイタリア代表を追いつめた実力は選手が入れ替わり監督が替わった今でもそう大きく変化することはないだろう。事実、ここまでのW杯最終予選を見ると、オーストラリアは3戦して6得点無失点の3勝という戦績を残しており、安定した強さを見せている。このオーストラリアとの対戦で、日本は個人能力で世界と対抗できるのか。そしてその個を束ねる「コンセプト」が世界基準の強豪を相手にどういったサッカーを見せてくれるのか、示してくれるはずである。内容と結果を伴った試合を期待したいと思う。

オーストラリアの攻撃陣の中で気をつけたい選手の1人がケーヒルである。W杯最終予選ではまだ1ゴールにとどまるが、所属するエバートンで好調を維持。パンチ力のあるシュートを放てる選手であり、バイタルエリアでフリーにさせないようケアする必要がある。イメージが湧かない方は、ドイツW杯の日本戦で途中交代出場し、日本を沈めた2ゴールを決めた選手だという事を頭に入れておいていただければと思う。長身選手が取り上げられることの多いオーストラリア代表にあっては小柄で、その運動量には注意が必要である。
オーストラリア代表の連勝を堅守で支えているのがGKのシュウォーツァーと、DFのニールのコンビである。ドイツW杯でも日本に立ちはだかったこの2選手を中心とした最終ラインは堅牢。劣勢に立たされる試合でも、90分間をハードワークできるメンタリティも持ち合わせており、崩すのは簡単ではない。
攻守のバランスの取れたオーストラリアに対し日本が勝機を見い出すとすれば、フィンランド戦で見せたような高い流動性をベースにした、リスクと人数をかけた攻撃以外にないと考えている。指宿合宿から続けてきた練習がフィンランド戦では形となった訳だが、その攻撃は遠藤保仁(G大阪)からの崩しのパスがきっかけとなっていた。あのパスのイメージをこのオーストラリア戦に繋げてほしいと思う。

崩しのパスと共に相手の懐に飛び込んだ攻撃は、中村俊輔(セルティック)いわく「派手ではない、いいプレーが2個続くこと」でシュートにまで持ち込めるはず。連動した動きでチャンスを作ってほしい。
日本がボールキープする時間帯に崩しのパスが入れられず、横パスが増えたとしても焦るべきではない。中村俊は「5回くらい、短い、いいのが続いていたら、もうなんか雰囲気的に(崩しのパスを)狙わなきゃというので無理矢理出してしまう。だけどタイミングがなかったら普通にまた回せばいい。回しているだけではいい形できないじゃん、という状況になっても焦らない」と話していた。
この言葉は、プレーする選手に対して向けられたものなのだが、それと同時に応援に訪れるサポーターに向けた言葉でもあることを理解してほしいと思う。日本代表に限らずJリーグの場でも選手たちはよく「90分で勝てばいい」という言葉を使う。サッカーという競技は時にじれったくなるような、つまり横パスを繋がざるを得ない展開になることも少なくはない。そうした戦いに対しスタジアムが落胆の声を上げることもある。しかし、選手と同様にサポーターも、試合を読む力を持ってほしい。
もちろんあからさまに勝負を回避するような臆病なプレーにはブーイングもやむなしとは思うが、ホームの地の利を生かすためにも、サポーターのみなさんの状況に応じた声援を期待したい。Jリーグで鍛えられてきた戦術眼を応援に応用していただければと思う。
相手はW杯最終予選で首位に立つオーストラリアである。簡単な試合にならないのは確実である。ただ、この試合に勝てれば南アフリカに向けて大きく道が開けるのは間違いない。これまで積み重ねてきた合宿の成果をこの試合にぶつけてほしいと思う。そしてあの6月の悔しさを払拭する勝利を、ホームのサポーターの前で実現してほしい。

以上


2009.02.10 Reported by 江藤高志
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