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【J2日記】福岡:13年目のスタート。サッカー人生の全てを注ぐシーズンが始まる(09.03.05)

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「切り替え、切り替え、早くしろ!」「もっと強くいけよ!」

ひときわ大きな声が最後尾から響き渡る。声の主はアビスパ福岡のゴールを守る吉田宗弘。今年で35歳を迎えるプロ入り13年目のベテランプレーヤーだ。「応援してくださる皆さんに気持ちが伝わるプレー、一生懸命さが伝わるプレー、ひたむきさが伝わるプレーをしなければいけない」。それが彼の口癖。そして、今年はチームキャプテンを務める。


彼のサッカー人生は決して順風満帆なものではなかった。1997年に慶應義塾大学を卒業して柏に加入するも2年間は試合に出場できず。99年、2000年にはリーグ戦、カップ戦を合わせて、それぞれ18試合、12試合に出場したが、2001年からは再び試合に出られない日々が続く。それは、2003年にG大阪に移籍した後も変わらなかった。
「G大阪に移籍したのは29歳の時。年齢に見合ったキャリアがなく難しい立場だった。朝起きて、ストレッチして、練習するという当たり前の生活が、明日からなくなってしまうかもしれないという怖さを感じていた」と当時を振り返る。

しかし、彼はどんな時も自分自身と真正面から向き合ってきた。
「人と比べることは意味がない。自分がなりたいものがあるのなら、それに向かって努力すればいいこと。自分のサッカー人生を振り返った時に、苦しかったけれども、いい人生だったねと。自分がやりきったと思える境地に立っていることが自分にとっては大きなこと。後悔だけはしたくない」
 すべての時間をサッカーのために捧げる。練習場に一番でやってきて、一番最後に帰る。常に体のケアに万全の注意を払い、どんな時でも最善の努力を怠らない。その姿勢が花開いたのは2005年に移籍したC大阪でのこと。同年、ベストイレブンに選出され、この年から3年連続で全試合フル出場を果たした。そして2008年、更なる成長を求めて福岡へ戦いの場を移した。


そんな彼が、プロ入り後、欠かさず続けているのが日記を書くこと。日記用の手帳のページの表裏を使って、その日の思いを書き続けている。時間にして約20分。毎日、自分と向き合う時間をとること、そして、その日にあったことを整理する作業が自分の中では大事なことだと話す。つらい思い、頑張っている気持ち、勝利の喜び、自分とサッカーへの思いを綴った日記は約50冊にもなる。
「未来の自分にメッセージを伝えることができるし、過去の自分から何かを得ることもできる。あの頃のつらい思いに比べれば、今の苦しみなんかたいしたことではないと思うこともあるし、もっと頑張れるはずと思うこともある」と話す。

綴られた記憶の中で最も嬉しかったのは、柏に在籍していた99年のヤマザキナビスコカップでの優勝だ。
「97年、98年は試合出場どころか、まったくメンバーにも入っておらず、自分の将来に対する不安や、頑張っても試合に出られない苛立ちだったりとか、気持ちの葛藤があった。その中でチャンスを与えられただけではなく、タイトルまで取れたということで非常にうれしかったし、努力していれば必ず報われるんだなということを体感した」

そしておそらく、最も悔しい思いをしたのは昨シーズンの日々の出来事だっただろう。
「チームとしての目標、個人としての目標を達成できず、多くの人たちの期待を裏切ってしまい不本意な1年だった。非常に悔しい思いをすることの多かったシーズンだった」
日記に綴る文字には悔しい思いがにじみ出ていたに違いない。だが、吉田は過去を後悔することはない。去年の自分からのメッセージを真正面から受け止め、それを力に変えて今シーズンの目標へ向かって、ただひたすらに歩む。視線が捉えるのはJ1へ続くまっすぐな道だ。

「情熱とエネルギーを注がなければ感動も大きくない。この1年間、自分たちがJ1昇格のために全てのエネルギーと情熱を注ぎ込んだら、成し遂げたときの感動は大きいはず。その大きな感動を得られるように、日々の練習からしっかりと準備したいと思うし、それを意識しながら、しっかりとした生活を送りたい」

自分のサッカー人生のすべてを注ぐシーズンが始まるのは2日後。そして、シーズンが終わったとき、彼の日記に綴られる言葉の数々は、今までのどんな言葉よりも感動にあふれているに違いない。

以上

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2009.03.05 Reported by 中倉一志
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