3月22日(日)J2 第3節 甲府 vs 札幌(14:00KICK OFF/小瀬)
スカパー!生中継 Ch182 13:50〜(解説:塚田雄二、実況:吉岡秀樹、リポーター:中島そよか)
☆顔写真クイズ|勝敗予想ゲーム
----------
「俺はまだ甲府に戻って2年目だけれど、これまで甲府(第2次大木武政権以降)がやってきたサッカーにプライドを持っているよ。俺もそれをやりたいし、見たいでしょ? でも、結果も求めないといけない。去年結果を出せなかったことに対する責任を選手は感じているし、危機感もある」
開幕から2試合連続でベンチスタートの美尾敦が言った言葉。今の甲府は以前に比べてロングボールを使うが、「狭いエリアでボールを回して局面を突破する甲府らしさを見たい」という問い掛けに対する答えだった。どんなサッカーをやっていても勝っているうちは、文句は出ないが、どんなに内容がよくても勝てなければ文句が出る紙一重の世界に棲むのがプロという人種。大木武前監督(現日本代表コーチ)は「(勝てていなくても)いいものを悪いとは言えない。でも結果は受け止める」という名言で選手を守り、意志を貫き、責任を負った。安間甲府の2年目は大木武監督とコーチだった安間貴義が作り上げた「甲府らしさ」を前進させるという夢と、結果を求めるという現実の中で後者にウェイトを置いてスタートしていると言っていいだろう。
甲府の第1節、第2節の内容は満足できるものではない。ただ、アウェイ2連戦で勝点4という結果は長いシーズンの平均値を考えれば悪くない結果。ロングボールが多いように見えても、サイドを作るというコンセプトも変わらない。ただ、森田浩史やキム・シンヨンが細かいボール回しに、何年も甲府にいる選手のように加わることが難しいことは分かっている。サイドからのボールに彼らの高さと強さを活かすことを期待しているのだ。昨年はサイドからのボールをなかなか得点に結びつけることが出来なかったが、彼らの存在が、ペナルティエリア周辺で崩すという工程を高さと強さでカバーしてくれている。昨年と同じ挑戦を今シーズンは追いかけることは出来ない。現時点では。
キャンプを通じてここまでの甲府を振り返ると、2月15日に宮崎で行ったG大阪とのTMの1本目(1−0)の戦いが一番甲府らしいと感じていることをキャプテンの山本英臣にぶつけると、「今シーズン一番のパフォーマンスだったと思うけれど、相手のプレスが強くなかったから自由にボールを回せた面もある。今のJ2だとボールを奪える距離までプレスに来るチームが多いけど、J1のチームは(ファースト・ディフェンダーが)パスコースを限定して、その次も限定して、最後に読みのいい選手がボールを奪うことが多い。質の違いではなくて、距離の違いだと思う」と話してくれた。J1に昇格するためにはJ1を相手にするサッカーだけではなく、J2の距離に合わせたサッカーも必要ということだろうか。J2リーグをJ1気分で戦って勝ち抜けなかった現実を冷静に見た言葉かもしれない。美尾の言う「危機感」には、今年J1昇格を勝ち取らなければ、来年自分たちのやりたいサッカーが出来なくなるという危機感も含まれていると思う。
要所に質の高い選手がいて、ハードにプレスを仕掛けてくる札幌に対して「自分たちの力が判る相手」と捉えている選手がいるが、札幌など昇格候補と目されているチームに勝つことも難しいが、それ以外のチームに勝つことがそれ以上に難しいことは今年も変わらないだろう。その壁を越えなければこれまで持っていた甲府の矜持は美しい思い出になる。美尾は、「サポーターが望むものはいろいろだと思う。勝つことを一番に挙げる人もいると思うし、甲府らしさの継続を一番に挙げる人もいると思う。クラブとしては勝たないとスポンサー獲得が難しいという面もあると思う。安間監督もその葛藤の中で凄いプレッシャーを感じていると思うし、覚悟を決めていると思う。安間監督は今でもサッカーが上手くて、選手が出来ないことも出来る。何度言っても選手が出来ないと、普通はキレるくらい怒ってもいいと思うけれど、我慢強く言い続けてくれる。凄いと思う。だからこそ選手は責任を感じないといけない。安間監督には去年1年間の葛藤という経験があるけれど、それで割り切ることは簡単じゃないと思う」と安間監督の心中を察する。外から見れば「甲府はロングボールが増えた」の一言で済むことだが、現場の全員が葛藤と戦っている。
札幌戦前日の練習。セットプレーでサブ組に入る美尾はGKにボールが渡るとすぐに動き出してボールを受けようとする。練習ではそこからの組み立てはなく、サブ組のFWにボールが渡った段階でもう一度先発組みのセットプレーをやり直すのだが、美尾は実践と同じ意識でボールを受けようとする。先発を渇望する気持ちの表れ。多くの人がイメージする甲府らしさを表現できる自信もある。夢と現実の間で美尾も葛藤しながらチャンスを掴もうとしている。帰りに美尾が小さな子供服を見せてくれた。ベビーロンパースというクラブのアパレルグッズ。背中には昨年10月7日に生まれた第一子・真子ちゃんの名前が入っていた。
「娘にこれを着せて、一緒に入場したいからね。先発を勝ち取らないと」
美尾が先発を勝ち取ったときに、甲府の夢と現実が同じ方向を向いていれば素晴らしいと思う。しかし、今節はまだ現実を見て札幌に立ち向かわなければならない。
以上
2009.03.21 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第3節 甲府 vs 札幌】プレビュー:2年目の安間甲府と美尾敦。夢と現実の葛藤(09.03.22)













