3月21日(土) 2009 J1リーグ戦 第3節
F東京 1 - 0 山形 (14:04/味スタ/20,179人)
得点者:55' 羽生直剛(F東京)
☆顔写真クイズ|勝敗予想ゲーム
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開幕2連敗のF東京が山形を1-0で破り、今季初勝利をホーム味の素スタジアムで飾った。ゲームは、序盤から手堅いゲーム運びをしたF東京が主導権を握ると、55分に羽生直剛が今季初得点を挙げて先制する。その後も粘り強く守り続け、山形のシュートを6本に抑えて逃げ切った。
山形の小林監督が思い描いたF東京の攻略法は、失敗に終わった。試合後の監督会見で小林監督はこう語った。
「(F東京の)中盤がボックス型になっているところを上手く使えなかった。もう少し両サイドが高い位置を取って、サイドバックがそこに絡んでサイドのスペースを上手く使えればサイドで2対1を作ることができたと思う。両サイドハーフがサイドに張るとサイドバックと1対1になるということを理解するべきだった。サイドハーフがサイドに張って足下に収めることができれば、F東京のサイドバックが食いついて裏が空く。そこをもう少し突くことができればよかった」(小林監督/山形)
山形は序盤から両サイドハーフがワイドに張り出し、サイドに起点を作ろうとした。だが、ゲームを優位に進めることはできなかった。中央を厚くするボックス型の中盤に対して、手薄となるサイドを突く。このゲームプランには、聞き覚えがあった。なぜなら昨シーズン、ホーム側のベンチに座る城福監督が鹿島、G大阪を相手に導き出した攻略法だったからだ。
中盤をボックス型にする4-4-2システムは、サイドで1対1や1対2の状況が生まれやすい。F東京はそうしたシステムを使う強豪2クラブに対し、カボレを左サイドに配置して徹底的に1対1や数的優位の状況を作り出して仕掛けさせた。この戦術がはまり、昨季終盤は鹿島、G大阪から立て続けに白星を挙げた。
配置や選手は違っても意図するプランは同じ山形を、今季から中盤をボックス型にするF東京がなぜ跳ね除けられたのか。答えは、複数ある。
一つは、中盤の守備が機能したことだろう。ボールを奪われてもサイドに素早く展開させなければ、守備の陣形を固めるだけの時間を作り出せる。その点で、この日のF東京の中盤の守備は素晴らしかった。攻守の切り替えが早く、奪われてもボールを持つ選手に自由を与えなかった。さらに山形は1対1の状況は作り出せていても、数的優位の状況までは作り出すことができなかった。サイドハーフがボールを持って勝負を仕掛けようとしても、マッチアップする長友佑都、徳永悠平は1対1の守備に絶対の自信を誇る選手。サイドバックや中盤の選手がもっと攻撃に絡むことができればよかったのだが、押し込まれている時間が長くスタートポジションが低かったこともその一因となった。だが、F東京の守備にも綻びはあった。
「今年チャレンジしようとするサッカーは、昨年から劇的に変わるわけではないが、より自分たちのストロングポイントを出すための立ち位置や、役割を与えた。どういうときにリスクを負うべきなのかを2試合戦う中で選手ともしっかり話し合ってきた。ただ、それが今日は万全だったとは思っていない。いくつかの穴を空けたことはしっかりと反省しなければいけない」(城福監督/F東京)
前半、センターバックがつり出されて、スペースを与えてピンチを招いた場面が何度かあった。スペースを埋めるべきなのか、それともボールを奪いにいくべきなのかの状況判断が今後の課題となる。また、目指すシステムは、流れの中で2-4-4の超攻撃的なシステムへと様変わりしてしまうハイリスクな並びでもある。鹿島やG大阪がこのシステムを採用するのは、中盤でボールを失わないという絶対的な自信があるからだろう。F東京は今季からこの身の丈に合わないのではと心配したくなるシステムに挑戦する。中盤のボール回しなど、まだまだ厳しいリーグを勝ち抜いていくだけの課題は山積みだ。
だが、この1勝には大きな価値がある。指揮官は、この日48歳を迎えた。選手からは試合後、手荒い“水かけ”の祝福を受けた。記者会見の席には、ずぶ濡れになった髪をタオルで拭きつつ現れた。その顔にはこれまでの2戦とは異なる笑顔と充実感で満たされていた。その理由は、山形戦を控えた水曜日にあった。佐原秀樹を中心にDF陣が集まり、新システムのリスク管理について話し合いが行われた。そこに監督も混じり、意見が交わされた。ここ数年のF東京では見慣れぬ光景だった。指揮官は「これまで私は選手たちに少し与えすぎだったのかもしれない。大筋は私が考えても、細かいディテールまでは僕一人の力では無理だし、彼らが作り出すものだと思っている。そうした話が出始めたことを素直に嬉しく思う」と、目を細めていた。
城福トーキョーは開幕スタートに失敗した。逆境からのスタートが、選手たちと指揮官を少しだけ強くしたのかもしれない。ここからF東京は走り始める。09シーズンはまだ始まったばかりだ。
以上
2009.03.22 Reported by 馬場康平
J’s GOALニュース
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