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【2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選 日本 vs バーレーン】レポート:中村俊輔の決勝ゴールでホーム初勝利。W杯出場へ大きく前進する中、見えてきた課題にも取り組みたい。(09.03.29)

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3月28日(土) 2010 FIFAワールドカップ南アフリカ アジア最終予選
日本 1 - 0 バーレーン (19:20/埼玉/57,276人)
得点者:47' 中村俊輔(日本)
国を背負う覚悟がある。
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これまでの日本代表の最終予選での戦いぶりを振り返ると、前線からプレスをかけてくる相手に対して苦戦してきたことがわかる。日本代表自体がそのスタイルを指向している現状があることを考えると、なんとも心もとない姿だと感じてきた。

バーレーンを率いるミラン・マチャラ監督の手腕は広く知られたもので、中東を渡り歩きながら実績を残してきた名将の一人である。だからこそ、W杯予選の中でがけっぷちに立たされたバーレーンの現状を打破すべく、この日本戦で秘策を実行するのではと考えていた。そしてそれは守りを固め、日本にスペースを与えることで結果的に日本にペースを譲るのではなく、前線からプレスを仕掛け、イニシアチブを握ることに活路を見出すのではないかと考えていたのである。

ところが実際に試合が始まると、バーレーンは受身に回り、日本が思うようにボールを回せるという展開になる。バーレーンは時折見せるカウンターにすべてを託し、ひたすらに日本の攻撃を受け止め続けたのである。

そんなバーレーンの方針もあり、日本はボール支配率を高める。ポゼッションできること自体はもちろんいいことなのだが、しかし前半の戦いは消化不良感の残るものだった。中村俊輔は無得点に終わった前半について「悪くはないけど、最後のスルーパスのときにタテのボールが多かった」と振り返っていた。つまりきれいに崩して打てる形を作ろうと、そしてその方法論として、タテへのスルーパスにこだわっていたのだと指摘していた。もちろん、相手を完璧に崩そうとするその意識自体は悪いものではない。しかし、そうした形を作ろうと狙い続け、結果的に決定機を作れないのであれば、それは攻撃の目的を果たせていたとは言いがたいということになる。シュートなら前半に8本ほど放っているではないか、という声もあるとは思う。しかしそのうちの半数がセットプレーにかかわるものだった。

繰り返しになるが、勤勉に、几帳面に相手を崩そうとする意識を持つこと自体悪いことではない。しかし、相手がゴール前に集中して、ラインの裏に抜け出せそうな場面が少ない場合、確率は低くなるかもしれないがミドルシュートという選択肢を持っていることは間違いではないと思う。ペナルティエリア内ほどではないにせよ、バーレーンの守備陣がエリア外でも集中して守っていたのは事実である。しかし、この日の前半からわかることは、ペナルティエリアの中にドリブルで進入し、もしくはパスワークを織り交ぜながら完璧に崩せるほどにはバーレーンの守備陣はゆるくはなかったということである。そしてそれは戦っている選手たちがもっともよくわかっていたことなのではないかと思うのである。

日本代表のチーム作りは、岡田監督が提示するコンセプトを各選手が理解し、その枠組みの中で選手たちが自主的に状況を判断して試合を組み立てるという方法を取っている。選手たちに考えさせてきた以上、選手たちは前半の試合展開を判断し、もっと積極的に遠目からのシュートを狙ってもよかったのではないかと思うのである。結局前半25分のCK崩れの、闘莉王と中澤の2本の連続したミドルシュートを除けば、流れの中で放たれたミドルシュートは後半の60分の長谷部誠の一撃までまたねばならなかった。

この試合に向けた大きなキーワードとして、リスクテイクというものがあった。ゴール前により多くの人数を走りこませる、というくらいの意味でリスクという言葉は使われていたのだが、この言葉が持つ本来の意味を考えたときに、ミドルレンジからの確率の低いシュートを放つということも、リスクテイクの方法としては間違いではなかったのだと思う。しかし選手たちはゴール前に走りこみ、しっかり崩してからのシュートにこだわった。そんな几帳面さに国民性を感じた。

もっとエゴイストでいいのではないかと思う。遠目からでも打てば何かが起きる可能性が生まれる。しかしシュートを打つ前のパスをカットされれば、攻撃に関しては0点である。ある試合で得点を決められなかった選手が2人いたとして、評価されるべきは10本のシュートを打つ選手であり、シュート0本の選手ではないのである。几帳面さは日本人の美徳のひとつだと思うが、もう少し状況を判断した試合運びができないものかと、感じられた。

と、ここまで多くの文字数を使い、シュートを打つべきだと書き連ねてきたが、とはいえ日本はホームでの最終予選3試合目で初勝利を飾り、勝点3を手にした。これにより3位グループとの勝点差を7に広げ大きくW杯本大会出場権獲得に向けて前進した。ただし、まだ日本は何も手にしていないことは自覚しておくべきだろう。喜びはW杯出場権を獲得するまで取っておこうと思う。ちなみにW杯予選は残り3試合。そのうち、ひとつでも勝てばW杯への出場が決定する。

最後になるが、チームに勝点3をもたらした決勝ゴールを決めたのは、正確かつ几帳面なFKを蹴り続けてきた中村俊だったことは書き記しておこうと思う。本人は「壁に当たったよ(笑)」と苦笑いだったが「でもあの弾道は狙ってた」と胸を張っていた。日本という国がはぐくんできた国民性が、こういう職人を輩出したことについては誇りに思いたいと思う。

以上

2009.03.29 Reported by 江藤高志
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