4月18日(土) 2009 J2リーグ戦 第9節
仙台 1 - 0 栃木 (13:04/宮城ス/9,678人)
得点者:66' 平瀬智行(仙台)
スカパー!再放送 Ch181 4/19(日)10:00〜(解説:鈴木武一、実況:松尾武、リポーター:村林いづみ)
☆顔写真クイズ|勝敗予想ゲーム
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20本ものシュートを放ちながら、ゴールはわずか1つ…と、この日の仙台を責めることなかれ。単なるシュートだけでなく、決定機と数えられる場面も多かった仙台の攻撃に、栃木の守備陣は本当によく耐え、球際に体をさらけ出し続けたのだ。もっと大量得点が見たかったという仙台側の欲望は、とにかく1つゴールが決まり、勝点3を手にできたことに対する安堵の前には霞む。
この日最初にチャンスをつかんだのは、開始4分にこの時間は右サイドを務めていた河原和寿がカウンターから松田正俊のパスを受け、フィニッシュまで持ち込むことに成功した栃木。しかしその後、前半はほぼ完全な仙台ペースとなった。
栃木の守備は、DFの4人とMFの4人が形成する2ラインによる、コンパクトなブロック陣形。しかし決して自陣ゴール前に閉じこもるのではなく、DFラインは比較的高い位置をキープするというもの。基本位置が高いため、奪った後に前へ出るスピードさえあれば、効果的なカウンターをもっと繰り出すことも可能だっただろう。
だがここで栃木を、松田浩監督の分析通りに説明すれば、中2日の日程による疲労が襲う。ボールを奪うはいいが、最初のつなぎがどうしても雑になって自陣の中で仙台に再びボールを渡してしまい、逆に仙台のさらなる攻勢を呼び込むという悪循環に陥った。想定以上の守備時間を強いられたことで、余計に疲労がたまっていったということもあるか。
しかも仙台は、栃木の高いDFラインを逆手にとって、裏をしきりに突いていこうというプランをすでに持っていた。さらにこの日、栃木は左サイドの守備において混乱が発生、それに乗じる形で対する仙台の右サイドバック菅井直樹はサイドの高い位置を脅かし続け、斉藤大介から、永井篤志から、さらには梁勇基からの長短スルーパスを受けてもはややりたい放題の状態に。私事だが、両チームのチャンスを記すメモ部分が、仙台の決定機の連続によって前半の内に埋まりかけてしまうくらい、仙台は栃木ゴールに様々な方位から迫り続けたのだ。
しかしこの絶体絶命(と、並のチームならば考えてしまいそうな)の状況を、栃木の守備陣は粘り強く凌いでいった。いざゴール至近まで仙台の選手たちが殺到しようとも、最後のシュートの場面では、栃木DFが体を張って抵抗したのだ。高いラインを基本としつつも、それを破られたことを認識した後は、栃木のDFラインはサイドバックが中に絞る形で中央を固める。この「メリハリ」が失われなかったため、仙台は少なくともペナルティーエリア内でシュート時にフリーにはなれなかった。ならばとばかりにミドルシュートをいつも以上に多用するものの、枠を突いたシュートはGK小針清允が確実に処理するため、そこからつけ込むことができない。
そして後半に入ると、前半までの仙台一辺倒の流れがいくらか栃木寄りのものへと変わっていく。前半の終盤に早くもピッチに投入された佐藤悠介が、左サイドでチャンスメークにフィニッシュに活躍を見せ、一旦はFWに上げられたものの後半開始から再び右サイドに回った河原も、ペナルティーエリアに侵入してくる。仙台も仙台でやはり疲労の影響か、前半ほど全体で前へ出ることができなくなり、ゲームは一時の膠着状態へ。そうなればどちらに転んでもおかしくないだけに、仙台の側に漂う緊張。心なしか、時間の経過も早く感じられてくる。
だがそんな嫌な空気を吹き飛ばしたのが、前半から栃木の高いDFラインをどうにか攻略してやろうと、意識高く奮闘していた2人の選手による「一瞬芸」だった。66分、右サイドのまだ浅い位置で、ボランチの斉藤がボールを受ける。前線でライン裏へと飛び出していく平瀬智行に気づいた斉藤が放った狙い澄ましたロングボールは、ドンピシャのタイミングで平瀬に合った。そしてDFを引き連れながらボールに追いついた平瀬は、とっさの判断でダイレクトプレーを選択、苦しい体勢ながらスライディング気味に何とか平瀬が触れたボールは、飛び出しかけた小針の脇を抜け、ゴールマウスの反対サイドに転がり込んだ。浅いDFラインを破るにはロングボール、そしてシュート時のブロックを回避するためには、密集される前のフィニッシュ。考えても見れば至極妥当なプレーだが、この一瞬で成し遂げるための経験と技術を持つ2人によって、ようやく仙台は栃木の堅陣を破った。
その後は残る少ないエネルギーを守備にシフトさせた仙台が、そのシフトが若干極端だったのか、攻守のバランスを欠き最後に栃木の猛反撃を呼び込んでしまうものの、2本とも枠を突いた佐藤の左足FKをGK林卓人が共にしっかりとキャッチするなどして、苦心してあげた1点を守り抜いた。仙台としてみれば中2日が連続で続くという超過密日程の中、最後を連勝で締めくくれたことは本当に大きい。
一方の栃木だが、これで無得点試合は9試合中8試合となり、攻撃陣はもちろんのこと、チーム全体にとっても、もちろんサポーターにとっても辛い春となっている。
だが守備という、ある意味攻撃よりも重要なファクターができあがっているというのは、何よりも心強いことのように思える。少なくとも今回の対戦中、仙台側の人間がゴールをこじ開けるまで感じさせられ続けた「どんなきっかけであれ、失点してしまったら負けてしまう」という恐怖感を相手に与えられるのは、しっかりとした守備があるチームのみが持つ特権である。
どうしても総得点1という数字、そして現在の順位によって、今はまだ栃木は過小評価の中に身を置かざるを得ないだろう。だがこの日3本チャンスがあったFKだろうが、はたまたオウンゴールだろうがなんだって構わない。ほんの少しでも栃木が得点能力を身につけた時、正直言って、対戦する立場としては背筋の凍る思いを禁じ得ないと思うのだがどうだろう。
今の成績に思い悩む栃木サポーターがいたとしたら、あなたのチームがこれだけの恐怖を与えるに値するチームだと考えている対戦相手側の人間の存在を、せめてもの心の糧としていただければ幸いである。
以上
J’s GOALニュース
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