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【J2:第16節 草津 vs 栃木】栃木側レポート:組織立った守備ではめ込み、県産スナイパー・稲葉の一撃で草津を撃破。理想的な展開で仇敵から価値ある1勝を奪う。(09.05.21)

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5月20日(水) 2009 J2リーグ戦 第16節
草津 0 - 1 栃木 (19:32/正田スタ/4,094人)
得点者:56' 稲葉久人(栃木)
スカパー!再放送 Ch185 5/21(木)12:30〜(解説:遠藤雅大、実況:梨子田友和、リポーター:円戸由香)
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選手控室から雄叫びが上がる。チームメイトから祝福されたのは殊勲の一撃を豪快に突き刺した稲葉久人だった。“スナイパー”の異名を戴く栃木県産のストライカーは、「DF陣も頑張ってくれた。皆で掴んだ勝利」と破顔一笑で語った。選手、スタッフ、そして平日にもかかわらず前橋まで駆け付けたサポーターが、まさに「一枚岩」となり、手にした1勝はとてつもなく大きい。一体感がなければ、「ダービー」という特殊な一戦を制することは不可能に等しい。選手はサポーターのために、サポーターは選手のために。互いに全力でロスタイムを含めて94分間を走り抜いた。死力を尽くしたからこそ、川上典洋曰く、「涙が出そうになった」のだ。前節のロアッソ熊本戦の不甲斐ない結果に信頼は失墜しかけたが、早速ブーイングという強烈なメッセージに応えてみせた。
 
試合開始早々、スタメン起用の石舘靖樹が左サイドのスペースへ流れ、FKを獲得した。このワンプレーで栃木SCの戦略は鮮明となった。スピードに難のあるザスパ草津のセンターバックと、高位置を取るサイドバックの背後を執拗に突く、というプランである。ここ数試合、稲葉と2トップを組んでいた高さに長ける若林学をベンチに置き、力勝負を挑まなかったことが結果的に吉と出る。シンプルに素早く縦にボールを入れ、スピードを活かしてフィニッシュに持ち込めたからだ。松田浩監督はメンバーをいじった理由に「中2日」の日程を挙げたが、それだけではなかったはずだ。そこには明確な意図が存在した。
守っては浅いラインを保ち、最終ラインと中盤が強固なブロックを構築。ボールを回されたものの、ブロックの前だったことで、何の問題も起こらなかった。上手くはめこんだ。「相手のボランチを抑えられずに横の幅を広く使われた」(河原和寿)ことは事実で、サイドチェンジから小池純輝に突破からのクロスを許すが、しっかりと中で跳ね返せたことで窮地を招くことはなかった。が、要警戒の都倉賢はさすがに手強かった。結果的にGK小針清允が防ぐことになるが、18分に裏に飛び出してからゴールに迫ったプレーは圧巻だった。栃木も稲葉がボレーシュートを放つがポストに嫌われ、45分でスコアは動かなかった。ただし、手堅く、守備からリズムを生み出し、試合を推移させられたことを考えれば、栃木としては思惑通りに前半をマネジメントできたと言える。

エンド代わった後半。56分、先制したのは栃木。石舘の落としから稲葉が左足一閃。泥臭いプレーが身上だけに、滅多にお目にかかれないゴラッソなミドルシュートが決まる。その後も入江利和の左クロスから石舘が、岡田佑樹がドリブル突破からゴールを脅かした。対する草津は「もっとアグレッシブにボールを前へ動かさなければいけなかった」と松下裕樹が振り返ったように、横へボールが出ても、これまでの対戦相手を震え上がらせてきた縦への勝負パスが入らないために、脅威を与えることはできなかった。中盤に差し掛かった時間帯にペースを握り、右から圧を掛けるが、好機をこしらえるには至らず。交代出場の玉乃淳がカウンターから放ったシュートはGK正面を突いた。

1点リード、ロスタイムは4分。数日前と酷似したシチュエーションにさらされても、栃木の選手からは焦り、不安、硬さなどは感じ取れなかった。コーナーフラッグ付近にボールを持ち込むなど、実に上手く時間を潰し、「北関東ダービー」初陣でかちどきをあげた。JFL時代から都合3度目の対戦でようやく草津から勝点3を得た。勝因はやはり最後までファイトしたことだろう。

前節、出直しを口にした松田監督だが、一方で全否定することはないとも言った。そのひとつに相手の良さを消去する、アウェイでの試合運びが該当するのではないか。かなり板に付いてきた。加えて、草津戦の収穫は休養を取ったベテラン勢に替わり、年若い選手が遜色ないプレーを披露したことだろう。健全な競争原理が働くことが強いチームの条件と豪語する松田監督。危なっかしいシーンもあったが都倉とのバトルで引けを取らなかった川上、良質なクロスと突破でもう一皮むけそうな入江、落合正幸に負けず劣らず存在感のある伊藤淳嗣、攻守にハードワークできる石舘と、手駒が増えたことで采配に幅が出ることは言を俟たない。

これまで栃木は2度、連勝にリーチをかけながら失敗している。易々と勝点3を譲ってもらえないことを栃木ほど痛感しているチームはない。でも、思うのである。「北関東ダービー」まで今季初の連勝を取っておいたのではないかと。週末に控えるホームでの水戸ホーリーホックとの第2陣。栃木は連勝を懸けた3度目のチャレンジで3度目の正直としたい。

栃木は北関東の新興勢力から盟主の座へと一気に上り詰める。

以上

2009.05.21 Reported by 大塚秀毅
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