5月24日(日) 2009 J2リーグ戦 第17節
栃木 2 - 3 水戸 (13:03/栃木グ/3,802人)
得点者:15' 高崎寛之(水戸)、33' 高崎寛之(水戸)、63' 石舘靖樹(栃木)、74' 河原和寿(栃木)、89' 森村昂太(水戸)
スカパー!再放送 Ch182 5/25(月)15:00〜(解説:田中真二、実況:篠田和之、リポーター:萬代裕子)
☆勝敗予想ゲーム
----------
☆栃木側レポート
2対2で迎えた試合終了間際、ゴール前での混戦で山本孝平が体を張って落としたボールを受けた森村昂太が左足を振り抜くと、ボールは地を這うように栃木ゴールに突き刺さった。起死回生の決勝ゴール。栃木との北関東ダービー初戦、劇的な形でJ2大先輩の水戸に軍配が上がった。
だが、試合後の水戸の表情は敗軍のそれに近かった。記者会見場での木山隆之監督の表情は今季最もうつろで、口から出るのは反省点ばかり。「情けない試合だった」と萩原武久強化部長も険しい表情を見せ、選手たちも「たまたま勝っただけ」と本間幸司が言えば、ある選手は「正直、全然うれしくない」とこぼしてスタジアムを後にした。ダービーは結果が全てであることは確かだが、水戸にとっては勝利した喜びよりも後半に見せた低調な内容への不満が噴出したゲームとなった。
「前半は完璧な試合運びだった」(高崎寛之)。高崎のポストプレーと中盤での細かなパスワークを織り交ぜながら、栃木を圧倒。両サイドから次から次へとチャンスを作り出ていった。15分には高崎のポストプレーから右サイドに展開。そして、吉原宏太からのクロスに高崎が飛び込んで先制すると、33分には右サイドから流れるパス回しで中央の森村へ。栃木DFを十分に引き付け、森村はフリーの高崎へ送り、最後は高崎が落ち着いてゴールに流し込み、追加点。「圧倒的に質の差を見せ付けることができた」と木山監督が言うように、点差以上の差を見せつけながら前半を終えることとなった。
前半の内容が良かったからこそ、後半の不出来が際立った。第1クールでの課題がすべて織り込まれたような45分となった。後半から栃木は栗原圭介をボランチに移し、センターバックに米山篤志を投入。ベテラン2人が中心となってしっかりビルドアップをしてくるようになったことで水戸は後手に回ることとなった。今年の水戸は「ちゃんとサッカーをしてくるチーム」(吉原)に弱い。最後尾からテンポのいいパスワークをしてくる栃木に対し、プレスをかけることができず、「3ラインがバラバラになってしまった」(森村)。第9節横浜FC戦と同じような展開となり、サイドを面白いように突破され、63分、74分と連続してサイドを崩されて失点。試合は振り出しに戻った。
そして、一度劣勢になると、水戸は立て直すことができないという弱さも露呈。第6節草津戦、第7節岐阜戦同様、前がかりになってきた相手に対し、水戸はなすすべなく、防戦一方に。前半流麗に回していたパスもまったく回らなくなり、前線の高崎めがけてのロングボールばかり。さらに高崎も米山の老練なディフェンスに抑え込まれると、攻撃の形がなくなり、チームとしてまったく機能できなくなってしまった。後半最後に回ってきたロスタイムのチャンスでゴールを奪って勝利をおさめたが、バランスを立て直してきた栃木に手も足もでなかったという屈辱を味わうこととなった。
様々な課題が噴出したが、「劣勢になったときにどう対処したらいいのか全員が分かっていないこと」(吉原)が最も大きな課題だろう。「90分間、前半のようなサッカーをしたいが、それは簡単ではない」(本間)だけに、後半のように相手に主導権を握られたときにどう対処し、どう主導権を奪い返すのかという課題を解決できずにここまで来てしまっている。
この試合で第1クールを終え、次節から第2クールへ突入する。2巡目の戦いということで、今まで以上に相手の弱点を突く試合展開が増えることだろう。これからさらに気温も上がり、体力的にも厳しい試合が続く中、90分という時間をどう過ごすか。そこで求められるのは選手個々の判断力だ。今チームはどういう状況にあって、どういうプレーを選択しないといけないのかを選手個々が判断しながらゲームを進めていくことが求められる。技術と戦術は高いレベルでチームに浸透していることは、前半に証明した。あとはそれをどう発揮するか、だ。それこそが、第2クールで「なんとか勝点を重ねていく」(木山監督)ために必要なことと言えよう。勢いだけではこれ以上の順位には行けない。
ただ、この日の最大の収穫はチーム内に「勝てばOK」という雰囲気がなかったことだろう。「勝って反省できることはいいこと」と吉原が言うように、「10年J2で戦っていて絶対に勝たないといけないというメンツ」(木山監督)を保ちながらも課題を見つめ直すことができることは大きい。水戸が目指すものはさらなる高みである。北関東で頂点に立つことは当然なことであり、ここで満足していたら、進化は止まる。水戸は本当の強さを身につけるために日々奮闘を続けているのだ。勝っても不満げな表情を見せる選手たちに、さらなる可能性を見ることができた。
試合後、悔しそうな表情を見せる栃木の関係者に「次の対戦を待っててくださいね」と声をかけられた。初の栃木とのダービーマッチとなったが、栃木のポテンシャルの高さに驚かざるを得なかった。栗原と米山のベテランの老獪なゲームメイクと河原和寿や稲葉久人ら若手の勢いのあるプレーが融合したサッカーの質は高く、内容では水戸は完敗を喫した。劇的な形で水戸が勝利をおさめたが、これはあくまで新たな北関東の歴史の幕開けに過ぎない。これから好敵手として隣県同士幾度としのぎを削っていくことを予感させた90分。正直、栃木の成長ぶりは恐ろしいものがあった。今後、どれだけ成長を遂げていくのか。次回の決戦は8月1日、場所は笠松。激戦は必至だ。
以上
2009.05.25 Reported by 佐藤拓也
J’s GOALニュース
一覧へ【J2:第17節 栃木 vs 水戸】水戸側レポート:終了間際の森村の劇的ゴールで水戸が栃木を撃破! しかし、内容は負けゲームに等しく、表情に笑みはなし。北関東新入生栃木に力の差を見せつけられず。(09.05.25)













