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【キリンカップサッカー2009 日本 vs チリ】レポート:チリ代表との1年半後の再戦は、日本代表が4ゴールをたたみかけて圧倒。世界基準での戦闘力を示し、自信になる一戦(09.05.28)

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5月27日(水) キリンカップサッカー2009
日本 4 - 0 チリ (19:35/長居/43,531人)
得点者:20' 岡崎慎司(日本)、24' 岡崎慎司(日本)、52' 阿部勇樹(日本)、92+' 本田圭佑(日本)
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 試合前日。チリ代表に同行するチリ人ジャーナリストが興奮気味にマルセロ・ビエルサ監督について論じてくれた。いわく「彼はチリサッカーに革命をもたらした」。
 ビエルサ監督はチリ代表に選出される選手について「スターはいらない。まず、システムがあり戦術があって、選手はそれらのために働かなくてはならない」と繰り返し強調。そんな監督の要求に応えた選手たちは体を張ってピッチ上を駆け回り、W杯南米予選で3位につけるという成果を出している。そしてそんなチリ代表に対する国民の視線は温かく、彼らはW杯本大会への出場を信じているのだという。
 チリ代表の基本的な戦い方は、マンツーマン気味に前からプレスをかけるというもの。それは岡田武史監督が提唱するいわゆる「コンセプト」と真っ向からぶつかり合う戦術となる。だからこそ両者が持てる力を出しさえすれば、確実に面白い試合になると思っていた。そして実際に試合はすばらしいものとなる。日本にとって少々出来過ぎではあったのだが「自分たちにとってこの試合はゆくゆく財産になる」(岡田監督)という試合となった。

 前半開始直後。チリ代表ボールとしてキックオフされた瞬間に日本代表は強烈なプレスを仕掛けボールを奪う。よく言われる挨拶代わりの一発というやつを鮮やかに決める。中村憲剛(川崎F)が「(去年の1月に)一番最初にやったときに、ものすごい強烈なイメージが残っています」という相手に対し、ひるむことなくプレスを仕掛け、それに対し岡田監督が「尻込みせずに、下がらずに戦ってくれた。自分たちがやろうとしていることを自信を持ってやってくれた」と絶賛する戦いを展開した。
 とはいえ、立ち上がりの時間帯は拮抗していた。チリは左サイドの15番ボセジュールの突破を手がかりにサイド攻撃を仕掛け、チャンスを広げていく。セットプレーではファーサイドへのボールを多用し、折り返したボールで日本ゴールを脅かし続けた。対する日本代表も9分のFKの場面での本田圭佑(VVVフェンロ)のヘディングシュートを皮切りに積極的にチリゴールを狙っていった。
 お互いにお互いの陣内へと攻め合うことで試合内容は密度の濃いものとなる。この日、日本が強烈なプレスによって奪ったボールはトップ下に入っていた中村憲へと集められていた。その中村憲が前線でためを作り、パスを振り分ける。裏に飛び出せる玉田圭司(名古屋)、岡崎慎司(清水)にはスペースを突いたパスを。体の強い本田には、キープしやすいボールを供給し続けた。そのプレーが日本代表にリズムを与えた。

 試合後の会見で岡田監督は「正直に言うと、今日のシステムは(中村)憲剛のためにやったという面がある。彼を活かすにはあのポジションだと思っていて、彼にはジェラードのイメージを持ってくれと言っている」と述べている。2月5日に行われ5-1で快勝したフィンランド戦以来、日本代表での2度目のトップ下での先発出場となった中村憲は、そのフィンランド戦時にすでに「ジェラードのプレーを意識するように」と指示されたのだという。
 そのフィンランド戦後に中村憲は「収穫はありすぎます」と興奮気味に話していたが、この日も「リバプールの試合は見ているので、あのポジションに入ったときには意識してます。自分なりにあのポジションで感触をつかめたところはある」と話していた。ただ、「(ジェラードには)足りなすぎて話にならないです」とも自戒を込めて口にしていた。
 そんな中村憲が実践していたのが、チリのプレスを逆手に取るサッカーである。「向こうはプレスに来ていたが、逆にそこで一枚はがせばチャンスになる」ことを理解しており、そのために「ワンタッチではたいてリズムを作る」ことを徹底した。ボール支配率ではイーブンの試合ではあったが、リズムを保ち続けたのは常に日本代表だった。

 20分の先制ゴールは、中村憲からのフィードを岡崎がDF2枚に挟まれながらもキープしたことで生まれる。岡崎は自らがキープしたボールを落とし、このパスを受けた本田が強烈なミドルシュートを放つ。このシュートはGKピントに弾き出されるが、こぼれ球に詰めていたのが岡崎だった。強さを感じていた相手だっただけに、この先制点が日本代表を活性化させる。直後の24分には、本田のキープしたボールをつなぎ、オーバーラップしていた中澤佑二(横浜FM)がアーリークロス。走り込んだ岡崎がこれを難なく蹴りこんだ。

 チリ代表は日本ボールに対してプレスに行くのだが、どうにも奪えず。前線のプレスを生かすために上げていたラインの裏を使われたチリは、徐々にその歯車を狂わせ始める。前半に12本のシュートを放った日本に対し、チリのシュートは4本にとどまった。

 ビエルサ監督はハーフタイムに、17番のメデルに代えて7番のフエンサリダを。10番のバルディビアに代えて5番のプッチを投入。運動量のある6番のセレセダを遠藤保仁(G大阪)のマーカーに指定。また長谷部誠(ヴォルフスブルグ)に8番のミジャルを付けて日本の中盤を抑え込もうとする。そんなビエルサ監督の狙いが的中したかとも思える後半の立ち上がりとなるが、日本は52分のCKを阿部勇樹(浦和)が頭で合わせ追加点。奪われかけたペースを得点によって強引に引き戻すことに成功した。

 6月6日のW杯南米予選・パラグアイとの大一番を控えた最終調整の場としてキリンカップの2試合を選んだチリ代表は、18日に来日し調整を進めたが、日本代表の運動量と個人技に完全に翻弄されていた。チリ代表はGKを除く海外組のレギュラーメンバーが4選手不在というチーム編成ではあったが、チャンスをもらった選手のモチベーションは当然高くなる。そんな相手に対し、日本代表は3点をリードして試合を進めた。
 ともに主力を欠いていたという点で評価の難しい試合ではあるが、同じビエルサ監督が率い、内田篤人(鹿島)が「今までにやった中で一番強いと思う」と昨年の対戦を回想するチームと6選手が同一のチリ代表に対し、磐石の試合運びができたという点は誇ってもいいと思う。本田は「今やっているサッカーは強いチームに対してやるサッカー。びびらずにやるということ。本当に強いチームとやるときのサッカーだと思います」と口にし、世界基準のサッカーができていたと胸を張っていた。またアジア勢との違いについて中村憲は「アジアでは、日本を相手にするとべた引きしてくる。そういう意味では、あれだけ前に出てきてくれたらやりやすい。世界に出たら、日本に対しては出てくるのが当たり前になる」と述べ、岡田監督のコンセプトに基づいて作られてた日本代表のサッカーの、世界での可能性について言及していた。いずれにしても昨年の5月末にスタートした日本代表合宿から導入された「コンセプト」が、世界基準の中でその成果を示せたという点で重要な意味を持つ試合だったのだろうと思う。

 最後になるが、強烈に結果を求め続けていた本田が、後半のロスタイムに日本代表初ゴールを決めた場面にも言及しておきたいと思う。オランダでサッカーに対する価値観が変わったという本田は「サッカーに対してシンプルに考えるようになりました。日本は細かいところを見すぎているところもある。どうやれば枠に飛ぶのかをシンプルに考えればいい」という立場に立ったプレーを展開。自らの持つ技術を最大限に発揮しつつ、ゴールを狙い続けていた。その本田に代表デビュー戦となった山田直輝(浦和)から「完璧なボールが出てきた」(本田)というパスが出される。投入直後からしばらくはパススピードが上がらず、パスを引っ掛けられ続けていた山田だが、試合中に適応し試合終盤にはパスワークの中でリズムを作れるだけになっていた点は注記しておきたいと思う。また、「完璧なボール」を冷静にねじ込んだ本田の高い技術もすばらしいものがあった。過去2度のAマッチでは存在感を見せられなかった本田は、オランダでの経験を代表に持ち込めるという可能性と、サイドハーフとしてのオプションの一つとして計算できる戦力になったという点で評価したい。

 決して悪くはなかったチリ代表を圧倒し、内容と結果を両方満たした試合は、長居スタジアムに足を運んだ43,000人余りの観客を楽しませるのに十分なものだった。世界を見据えたチーム作りは、アジアでは苦戦を強いられている。ただ、岡田監督のチーム作りの方向性が間違いではなかったということを示す戦いができていたのではないかと思っている。

以上

2009.05.28 Reported by 江藤高志
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