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【ワールドカップアジア最終予選 日本 vs カタール】プレビュー:本大会まで1年あまり。ここからの試合に消化試合はない。高いモチベーションで挑んでくるカタールは、世界への第一歩となる試合の相手としては最適。日本代表の可能性を示して欲しい。(09.06.10)

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6月10日(水)ワールドカップアジア最終予選 日本 vs カタール(19:35KICK OFF/横浜)
試合速報 | ファーストゴーラー | 6.10@横浜国 カタール戦チケット発売中
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各選手コメント岡田武史監督会見コメントブルーノ・メツ監督会見コメント

 先駆者は常に孤独である。80年代に「日本はW杯に出場できる」と話していた日本人サッカー関係者がいたとしたら、その人は変人扱いされていただろう。それが93年のドーハでの最終予選が始まるに当たり、日本代表のW杯への出場は現実感を持った目標になった。しかしそれでも実際に出場権を手にするにはそこからさらに4年の歳月が必要だった。98年にフランスのトゥールーズで話したオールドファンは「日本代表が本大会に出場できるなんて夢みたいだ」と話していた。

 岡田武史監督はW杯でのベスト4という目標を掲げている。ワールドカップ本大会はもちろん、UEFAチャンピオンズリーグにしても、欧州選手権にしても、世界のハイレベルな大会を視聴できる日本の中で、日々「常識」は作られていく。これらの大会で上位に進出するチームが見せる戦いのレベルは恐ろしいほどに高く、そんな映像を見ているからこそ「常識人」は、日本に勝ち目はないと、したり顔で言い切る。ベスト4なんておこがましすぎる、と切り捨てる。その常識は正しいのか、という検証は一切ない。今までの日本代表の戦いにとらわれて、過去にしがみついて、自説が正しいと言い切る。果たしてそうなのだろうか。

 おそらく岡田監督は日本代表の各選手たちにこうやって語りかけているのだろうと思う。日本人ですら信じていない事に挑戦しようじゃないかと。そうやって新しい常識を作り出そうとする選手たちの言葉は自ずと変化を見せている。

 最終予選におけるTVでの視聴率の低下をもって、サッカー人気の崩壊だとする言説もある。しかし、岡田監督が試合後に語ったように12年前は「出る事が目標」だったのである。だからこそ、取れるかどうかわからない出場権をかけた12年前の戦いに国民は熱狂した。16年前の悲劇の記憶が、その興奮を加速させた。常識が転換した現在は、本大会への出場は最低限の目標になっている。岡田監督は出場権を手にしたウズベキスタン戦後にこう述べている。

「ワールドカップの出場権を取ったという事で、ようやく我々の目標にチャレンジするスタートラインに立てた。これからがいよいよ我々のチャレンジだと。こういう事にチャレンジさせていただける事に本当に感謝したいと思っています」

 07年12月7日の監督就任会見ではまだ「ワールドカップに行くために、自分ができることをすべて尽くしたい」と話していた岡田監督は、その直後に招集した千葉での代表合宿で「世界をあっと言わそう」とワールドカップでのベスト4を目標に掲げ始めた。そのチャレンジの第一歩として、このカタール戦は行われる事となる。

 世間的には消化試合という認識なのかもしれないが、選手たちはすでに気持ちを切り替えている。たとえば遠藤保仁は「(本大会まで)1年間、やれる事はやろうといわれましたし、ぼくらも消化試合だとは思っていない」とその決意を口にしている。また中村俊輔も「このチームのいいところ」だと前置きしつつ「あまり変わらない。変わんないね」とチームの雰囲気が出場権獲得後も変化していない事を明らかにしている。その中村俊は、帰国後に行われたミーティングで、世界のトップ4に入るための話をしたと述べている。

「ワールドカップまでにベスト4だったり世界を驚かせようといったり、目標を高く持つ事はいい事だと。そういうのを口だけでなく、個人個人で何が本当に一人一人できるのかという事をもう1回、考えましょうと(いう話し合いでした)」

 雰囲気の変わらない代表チームと、一人一人ができる事を続けていこうという話し合い。そうやって選手たちの考えを本大会でベスト4になるためにどうすればいいか収斂させる中で「だから次の試合を引締めよう」ではないのだという。

 それは、どういう事なのか。

 カタールを迎えるこの試合は、出場権を取ってから初めて行われるホームでの試合となる。だから「がんばろう」ではないのである。ホームのお客さんに喜んでもらうために「だから次の試合(カタール戦)を引締めよう」ではないのである。ワールドカップでのベスト4のために、何ができるのか、のための試合になるという事を口にしているのである。もちろんだからといって突如として何か新しいサッカーを突然試すという訳でもない。「ボクらは普通に、いつもどおりにやって、プレスをかけて全員攻撃全員守備と。試すというよりも今までどおりだと思う」と中村俊。遠藤も「決まったから戦いを変えるという事もない。精度を上げる事を突き詰めていくということ。今までやってきた事を出すだけです」と話す。

 ただし、出場停止の長谷部誠や右足首捻挫の長友佑都はもちろんの事、6日のウズベキスタン戦から長距離の移動を経て中3日での試合である。コンディション不良の選手に関しても無理をしてまで起用する事はないと岡田監督は明言している。選手の入れ換えが確実な中「誰が出るかわからないからね。出たメンバーによってしっかり合わせられるかどうかということ」(中村俊)も課題となる。

 考えたくもないが、選手にはケガが付き物である。ウズベキスタン戦でピッチに立っていた選手のすべてが、確実に本大会のレギュラーである可能性は限りなく0に近い。だからこそ、岡田監督が掲げるコンセプトの元、練習を積んできた選手たちが選手個々の個性を生かしつつ、新しい組み合わせの中でどれだけの水準でまとまる事ができるのかにも注目したいと思う。

 ちなみにカタールは、ホームでオーストラリアを相手に引き分けに持ち込み、勝点を5へと伸ばしている。勝点7で3位につけるバーレーンは、日本戦と同じ10日にオーストラリアのシドニーでホスト国と対戦。対戦当事国同士の戦績もあり、バーレーンの敗戦が必須となるが、カタールはこの日本戦で勝利できれば逆転で3位に浮上し、最終的にプレーオフに回る可能性を残している。だからこそ並々ならぬモチベーションで日本に乗り込んでいるのは間違いない。

「カタールも3位になる可能性が残っている。ホームでオーストラリアに引き分けてて結構押してて。で、結構自信をつけてこっちにくる」と中村俊は警戒感を示しつつタフな試合を覚悟していた。もちろんワールドカップでのベスト4という目標を考えたとき、そうした相手との対戦は何物にも変えがたい経験の舞台となる。本大会までは1年ほど。中村憲剛は「選手としては消化試合といわれる事さえももったいない。みんなで集まれる時間も少ないですしね」と共にプレーする時間の短さを前提に、これから行われる代表での試合のすべてを最大限に活用したいと口にする。

 岡田監督が本大会で世界を相手に武器にしようとしているのは、何度でも書くが、プレッシングサッカーである。奪われた瞬間に切り替えて、奪い返しに行くサッカーである。FWから守備に走り、DFですら攻撃参加する。そんなサッカーは、想像以上に体力を消耗する。ただ、それでもやらなければ世界のトップ4に入ることはできない。これでやると決めた以上、そのサッカーを磨き続けるしかない。

「消化試合だろ」と鼻で笑う人には「これからがいよいよ我々のチャレンジだ」という岡田監督の言葉を贈ろう。「メンバーが入れ替わるではないか」とこの試合の意味を貶めようとする人には「誰が出ても同じプレーが出せればいいと思う」との中村憲の言葉を贈ろう。「気が抜けてしまっているのではないの?」という人には「今までの事をしっかりやるということが、逆にまたパワーを使うかもしれない。(出場権を取ったのだから)誰だって油断するかもしれない。だから今までどおりにやる」のだと、チームに対する戒めの言葉を口にする中村俊の心意気を贈ろう。

 07年12月7日の監督就任会見ではまだ「ワールドカップに行くために、自分ができることをすべて尽くしたい」と話していた岡田監督は、その直後に招集した千葉での代表合宿で選手たちに「世界をあっと言わそう」とワールドカップでのベスト4を目標に掲げ始めた。周囲の「そんなの無理だろう」から始まった目標設定は、選手たちの意識を大きく変えながら、チームに進化をもたらしている。

 ここからの1年。日本代表は進化する。ワールドカップでのベスト4を達成するためには進化する意外にない。そしてここから本大会までのすべての試合は、その進化の過程をリアルタイムで目撃するまたとないチャンスとなる。ぜひ、自らの目でその進化を見てほしいと思う。

 選手がそれを理解していたと言う点で、試合をする事が目的だったある時期の代表Aマッチとはまったく意味合いの違う試合がここから始まるのである。

 現実問題として本大会でベスト4が実現できるのかどうかはわからない。ただ、岡田監督が広げた大風呂敷を信じてみるのも粋ではないかと思っている。日本人である以上、心の底から感情移入できる存在は日本代表以外にない。その指揮官と、選手たちが信じているのである。サポーターも、そして国民も信じてみようじゃないかと訴えたい。そしてここまで書かせた「一信者」に、恥をかかせないためにも、ぜひ内容のある試合を見せてほしいと思う。体はきついだろうが「これが日本代表が目指す方向性だ」というサッカーを見せてほしいと思う。

以上

2009.06.09 Reported by 江藤高志
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