7月8日(水) 2009 J2リーグ戦 第26節
栃木 1 - 3 C大阪 (19:03/栃木グ/6,875人)
得点者:20' 乾貴士(C大阪)、37' 香川真司(C大阪)、77' 高安亮介(栃木)、85' 香川真司(C大阪)
スカパー!再放送 Ch185 7/9(木)17:00〜(解説:水沼貴史、実況:飯島誠、リポーター:萬代裕子)
☆勝敗予想ゲーム
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51節と長丁場のJ2リーグ戦も折り返し地点を過ぎた。これまで積み上げてきたチーム戦術と個人の能力がどれだけ通用するのか。自分達の現在地を測るには十分すぎる相手である2位・セレッソ大阪との一戦に、松田浩監督をはじめ栃木SCの選手は胸を躍らせて臨んだ。結果は1-3で敗戦。しかし、栃木としては実りが多く、確かな感触を得られた試合だった。2点差を付けられたが、内容に順位差ほど大きな開きはなかった。だからこそ、試合後のミックスゾーンでは、「取り組んでいる自分達のサッカーに対する揺るぎない自信」を口にする選手が多かった。やってやれないことはない。そう思えることで、ここまで歩んできた道、これからも歩んでいく道が決して間違いではないと再確認できたはずである。
湘南ベルマーレ(24節)、ヴァンフォーレ甲府(25節)とのアウェイゲームを先制されながら引き分けに持ち込み、勝点を2つ持ち帰ってきた栃木。勝ち切れなかったが、「前節、前々節で自分達も出来ると自信が出てきた」(鴨志田誉)ことで、物怖じせずにC大阪を序盤から圧倒する。トップの石舘靖樹とトップ下の向慎一が果敢なフォアチェックで3バックへ圧力をかけ、ダブルボランチの落合正幸と鴨志田は香川真司から自由を奪った。素早いプレスからボールの出所を抑えられたC大阪は自陣に釘付けとなり、クリアに逃れるしか他に手がなかった。イニシアチブを握った栃木は好機をこしらえ、CKから米山篤志がヘディングシュート、左サイドを崩して最後は石舘がシュートを放つ。
ところが、自分達の型にはめこんだはいいが、ゴールを奪えなかったことが響く。20分にC大阪に先手を取られてしまう。「濱さんのパスがよかったので、どフリーで決めることが出来た」。濱田武のロングスルーパスに反応したのは乾貴士。ラインをスパッと切り裂き、GK武田博行もひらりとかわし優雅にゴールを決めてスタジアムを沈黙させた。
C大阪はリードしたことでボール回しに余裕が生まれ、ドリブルとダイレクトプレーも飛び出し、香川と乾も前を向けるようになった。そうなると個人技が光る。37分には後方からのロングフィードを胸でトラップした香川が、GKの位置を見計らいロングシュート。弧を描いたボールはゴールへと綺麗に吸い込まれた。差を縮めて後半を迎えたかった栃木だが、米山の直接FKはポストに嫌われてしまう。
後半開始から守備に軸足を置いたC大阪に対し、栃木は左サイドバックの入江利和が再三のオーバーラップを仕掛け、センターバックの大久保裕樹も前線に顔を出し、突破力のある高安亮介を投入してサイド攻撃も強化。リスクを冒して攻めに掛かり、河原和寿が連続してシュートを打つ。が、8人でブロックを構築したC大阪の守りは固く、ゴールには結び付かない。
じりじりした展開も、75分にペナルティエリア内で鴨志田がドリブルで突っかけてフィニッシュに持ち込むと、にわかに活気付く。直後に乾にショートカウンターを食らってもびくともせず、逆に77分に入江の左クロスから内側へ絞り込んでいた高安がダイビングヘッドを突き刺す。165cmと小柄な、しかし偉大なる“栃木の10番”を背負った男のJ初ゴールでムードは最高潮。追い付き、追い越す段取りは整ったのだが、ミスが全てを台無しにした。
ピッチ中央で横パスをかっさらわれ、香川に雌雄を決するゴールを沈められる。自陣に引きこもって香川と乾の決定力に託すのはC大阪の必勝パターン。栃木は警戒していたものの、それでも止められない破壊力の前に屈した。
栃木を撃破したC大阪だが、運動量が足りなかった後半のサッカーを、香川は「全然、駄目だった」と振り返る。前への推進力が働かないことでレヴィークルピ監督は、「攻撃が上手くいかないのならば、守備を固めるしかないと判断した」。指揮官が下した決断により逃げ切りに成功するも、失点したことで守り切ったとは言い切れず守備に課題を残した。
また、ゴールが計算できる香川を前線に据え、結果的に香川が期待に応えたことで「堅守速攻」へのプラン変更は奏功したと言えるが、勝点差1で迎える次節の首位・湘南との直接対決(7/12@長居)では、もう1人決定的な仕事の出来るアタッカー乾が出場停止。カウンターの威力は削がれる。マルチネスが出場停止明けで戻ってくるとはいえ、攻撃力が身上だけに得点源不在は痛い。早期決着に持ち込むことで順位を引っ繰り返したいが、湘南は粘り強いだけに易々と事は運ばず苦戦は必至。それでも第1クールでの惜敗(0-1)の借りを返せれば、28節の4位・甲府戦(7/18@小瀬)にも弾みがつくだろう。
トップ4との連戦を2敗2分けで終えた栃木。「正直、差はないと思う」と感じた米山の感想は強がりでも、負け惜しみでもないだろう。ポゼッションにしても、劣勢を盛り返せるメンタル面にしても成長の跡は確実に見て取れた。その証拠に失点を喫しても自分達のペースで試合を運べる時間帯が大幅に増え、伍して戦えるまでになった。ただし、米山はこうも言っている。「ちょっとしたところで勝敗がつく」。僅かなものかもしれないが、スキル、ゲームマネジメント、メンタル面の差は、まだ埋め切れていない。だから、勝点3という結果が得られない。だが、悲観することはない。松田監督が「砥石」に例えた上位陣との戦いで磨かれた部分をさらに磨いていければ勝点と順位は伸びていく。収穫と経験を無にしないためには、次節のアビスパ福岡戦(7/11@レベスタ)が重要な鍵を握る。トップ4に揉まれたことによる成果が問われるのは、真価が試されるのはこれからである。
以上
2009.07.09 Reported by 大塚秀毅
J’s GOALニュース
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