7月11日(土) 2009 J2リーグ戦 第27節
福岡 1 - 0 栃木 (19:03/レベスタ/3,859人)
得点者:79' 田中佑昌(福岡)
スカパー!再放送 Ch181 7/12(日)12:30〜(解説:増田忠俊、実況:南鉄平、リポーター:森田みき)
☆勝敗予想ゲーム
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ピッチ中央にベンチ入りした16人のメンバーが並ぶ。その中央に立つのは貴重な決勝ゴールを挙げた田中佑昌だ。福岡がヒーローインタビューを行うのは第21節の仙台戦以来約1か月ぶり。選手たちの表情にも、スタジアムに駆け付けたサポーターの顔にも安堵の表情が浮かぶ。
ただし、喜びの表情は誰の顔にも浮かばない。「うちがものすごく良かったという試合ではなかったし、今まで『あれが入っちゃうの?』という(相手の)シュートが入らなかっただけかもしれない。劇的な変化はなかった」と高橋泰が振り返ったように、勝利を手に入れたという以外ではチームに変化は感じられず、課題は依然として解消されないままだからだ。この勝利をきっかけに何かを変えることが出来るのか。福岡の再生への道は、まだまだ険しい。
「互いに勝ちがない状態で、順位も同じようなところで、勝ちたい気持ちは強いけれども、何となくお互いに気持ばかりが空回りしたというか、決め手を欠く試合になってしまったなというのが率直な感想」(米山篤志・栃木)。その言葉通り、試合内容は低調なものだった。
福岡でアグレッシブさが感じられたのは高い位置からボールを追い、豊富な運動量を活かして相手の裏へ飛び出していく大山恭平のプレーぐらい。攻守の切り替えが遅く、ボールホルダー以外が動かないのはいつもの通り。第11節以来となる先発出場を果たした久藤清一の気の効いたプレーもチーム全体には波及せず、大山を除く全員が引いて構える布陣からは前へのパワーが感じられない。「辛抱して1点取って勝つ。本当に手堅くいこうと試合前に話した」(篠田善之監督)。その言葉通り、ただ、この日の勝利のためだけに我慢を貫く姿勢に徹していた。
サッカーの質という点で福岡を上回っていたのは栃木。高い最終ライン。コンパクトなゾーン。安定した守備ブロックに穴は少なく、ボールが動き出すと、受け手だけではなく、2人目、3人目が動き出していく。しかし、主導権を握っていたわけではなかった。基本的な部分を徹底して積み上げてきた様子は窺えるものの、ただボールを持つだけで、上位4チームとの対戦で見せたアグレッシブさや、勝利に対する気持ちが伝わってこない。「全然自分たちのサッカーじゃない。ぬるすぎる」と険しい表情を見せたのは松田浩監督。「もう一歩踏み込めれば、相手はメンタル的にも、体力的にもきつくなると思うが、その一歩手前で単純にボールを上げて奪われたり、ミスをしたりという状況だった」と米山篤志も振り返る。
互いに得点の匂いがしないままに進む試合が動き出したのは、後半も15分を過ぎたあたりから。栃木の前へ出るパワーがさらに失われて下がり気味になり、守備のバランスが崩れ、それに乗ずる形で福岡が前に出るシーンが増えていく。そんな中、この日唯一のゴールが福岡に生まれた。時間は79分。栃木の左サイドの深い位置へ抜群のタイミングで走りこんだ高橋が岡本英也からボールを引き出すと、ドリブルで突っかけて相手を引き出してからファーサイドへ。そこへ飛び込んできた田中佑昌が右足でゴールへと押し込んだ。そして福岡は、ここから再び徹底して我慢を貫いて試合を終わらせた。
栃木にとっては悔やまれる敗戦だった。上位4チームとの対戦で、どのチームとも戦える手応えを掴み、「我々は我々で対抗する武器を携えつつある」(松田監督)と自信を深めて臨んだ試合。しかし、勝利を手にすることで手応えを力に変えるチャンスを逃した。「負けたことで、またやり直しのような気持ちになってしまうが、積み重ねてきたことはある。そこを見失わないようにやっていきたい」。米山はそう話してレベルファイブスタジアムを後にした。
そして福岡。一息つけたと言うのが正直な感想だが、その内容は全く安心できるものではない。特に最大の課題である守備は、簡単にバイタルエリアを使われ、攻守の切り替えが遅く、中盤の守備バランスも悪く、課題は相変わらず。個々の頑張りが無失点に抑えたことは間違いないが、それでも、栃木の拙攻に救われた感は否めない。
「まだまだやられてもおかしくないシーンはあったし、上位の湘南はそういうところを見逃してはくれない。気を引き締めて準備をしないと痛い目にあうとロッカールームでみんなで話していた。今日は今日で終わった試合なので、次に向けて準備するだけ。全然気は抜けない」(丹羽大輝)。守備の整備をどこまで進められるか。それが福岡再生のための重要課題であることに変わりはない。
以上
2009.07.12 Reported by 中倉一志
J’s GOALニュース
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