日々の練習や試合を見ていると、選手たちが履いているスパイクに目がいく。以前(といってもずいぶん前だが)は、サッカーシューズと言えば黒に白いラインが入ったものが一般的で、ヒモの通し方(ディエゴ・マラドーナの紐の通し方なんてのも流行ったなぁ)やシュータンの曲げ方(と言っても、折り返すか折り返さないかしかない…)で個性を出すしかなかったものだが、ここ数年は白、赤、青、緑に黄色やゴールドまで、実に様々なカラーのスパイクが普及して、見るのも楽しくなった。
バリエーションがいろいろあると、(もちろん個人的にサプライヤー契約しているケースがほとんどだとは思うけれど)メーカーや色の好みなどがなんとなく感じられる。一方で、今まで履いていたシューズから別のカラー、あるいは別のメーカーのシューズに替えていたりする選手を見つけると、「ゲン担ぎかな?」と思いを巡らせてみたりもするのだが、実際に話を聞いてみると、大した理由は無い事も多い。
そういう風に選手たちの足元に注目してみると、いろんなモデルのシューズを履いている選手と、一貫して同じモデルのシューズを履いている選手がいることに気づく。
今年から熊本に加入した藤田俊哉選手もその1人。
彼が履いているアディダスのコパ・ムンディアルというモデルは、サッカーをやったことのある人なら、履いた事はなくても知らない人はいないほどの名品。様々なテクノロジーを駆使した最近のスパイクと比べると、何の飾り気もないシンプルでクラッシックなデザインだが、天然のカンガルー皮革を使った足馴染みの良さが、繊細なボールタッチを可能にするのだろう。
話を聞けば、このモデルを履き始めたのは高校2年生の頃。途中で2、3度違うモデルを使った事もあるというが、「自分にとってはこれが履きやすい」と、同じ物を使い続けている。だが特別な思い入れがあるわけではないらしく、「余計なストレスがないから変えないんだけど、こだわらないことが、長くやっていることでこだわりになっちゃうんですよ」と話してくれた。実際、特別に自分の足型をとって作られたものでもなく、市販されているものと同じ言わば“既製品”。唯一の違いは、ヒールカップの外側部分に、決して目立たないように“TOSHIYA”というネームがエンボス加工されているだけだ。
とは言え、やはり大事なのは履いた時の感覚。「大事にするけどケチらない」と、少しでも違和感があれば練習用に回し、「傷んできたらプレゼント用にしたり、有効に使っています」と笑う。それでも、「あんまりヘタっているのをあげるのは逆に失礼だから」という心遣いを忘れないのも彼らしい。
今シーズンはこれまで1ゴールで、Jリーグ通算得点は101ゴールとなったが、このシューズを履いた足でのゴールはまだ。熊本に加入して初の“足でのゴール”が待たれるが、その記念のシューズがどうなるのかも…、正直気になるのです。
以上
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2009.07.13 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
一覧へ【J2日記】熊本:履き続けて20年。藤田俊哉の靴の話。(09.07.13)
シンプルなデザインですが、藤田選手のような、キャリアのある職人的なプレーヤーにはやっぱり似合う。
かかと部分に施されたネーム加工も控えめでシンプル。













