7月26日(日) 2009 J2リーグ戦 第30節
岐阜 2 - 1 C大阪 (18:04/長良川/4,536人)
得点者:25' 石神直哉(C大阪)、37' 嶋田正吾(岐阜)、60' 佐藤洸一(岐阜)
スカパー!再放送 Ch183 7/28(火)08:00〜(解説:大野聖吾、実況:齋藤寿幸、リポーター:堂野浩久)
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待ちに待ったC大阪戦。しかし、天気はあいにくの雨。豪雨の中、ピッチはたちまちスリッピーになり、コンディションは悪化していった。
「このピッチはちょっと嫌だな」。試合前、香川真司はそうつぶやいた。その予感は皮肉にも的中してしまった。前半、岐阜にとってこの雨は味方になった。C大阪は香川と乾貴士の2シャドーとMFマルチネスのトライアングルを軸に、ショートパスを駆使して攻撃を組み立てようとするが、ボールが止まったり、逆に進みすぎてしまったりと、微妙に誤差を生じさせ、思うように組み立てられなかった。14分には、香川が左サイドを華麗なドリブルで突破したが、狙い澄ましたセンタリングは、軸足を滑らせ、転倒してしまうなど、C大阪はピッチコンディションに苦しみ続けた。
それでも25分には中央でボールキープした香川が右のMF酒本憲幸に展開。酒本からのクロスを、ニアサイドでMF石神直哉がダイレクトで華麗に合わせ、C大阪が先制に成功した。
だが、それもそこまでだった。この日のC大阪にとって、雨とピッチコンディションの次に嫌だったのは、FW朴俊慶の存在だった。朴は立ち上がりから、1.5列目を動き回り、屈強なフィジカルとキープ力で、前線で起点となり続けた。さらに奏功したのが、岐阜の『マルチネストライアングル』だった。
岐阜は相手のキーマン・マルチネスに対し、巧妙な対処法を取ってきた。まずダブルボランチの関係をはっきりとした縦関係にし、橋本卓をアンカーに、菅和範を前に押し出し、菅が2トップの一角と連動して、ダブルボランチに必ず一人がプレスに行くという形を取ったのだ。例えば、左サイドにボールが行ったら、朴がボールサイドに行き、佐藤洸一と菅でダブルボランチに付く、右サイドにボールが行ったら、佐藤がボールサイドに行き、朴と菅でダブルボランチを見るという塩梅だ。
このトライアングルがローテーションを繰り返し、マルチネスから自由を奪ったことで、C大阪は徐々にボランチからのビルドアップが出来ず、前線の3人との距離が広がり、中盤が完全に間延び。ゲームを組み立てるのは、DFラインからのロングボールしか得策がない状態に陥ってしまった。
C大阪が攻撃の糸口を失ったことで、試合の流れは岐阜のほうへ傾いていく。37分、右サイドを切れ込んだ高木和正のシュートは、一度は防がれるが、こぼれ球を嶋田正吾がシュート。ミートはしなかったが、ボールはGKキム・ジンヒョンの股を抜いてゴールに吸い込まれた。
待ちに待った嶋田のJ初ゴールにスタジアムは一気に沸き起こった。この嶋田の一撃が、『長良川劇場』の幕開けとなった。こうなると試合がひっくり返るのも時間の問題だった。
『長良川劇場』の本番は後半にあり―。
第2クールに入り、岐阜は前半凌いで後半支配するというサッカーを続けてきた。今の岐阜はたとえ首位が相手でも、関係なしに自分たちのパターンを実行できる強さがある。その通りに後半、試合を圧倒したのは岐阜だった。
立ち上がりから猛攻で、C大阪を自陣に釘付けにした。48分、右サイドでDF冨成慎司が、朴とのワンツーで抜け出すが、シュートミス。52分には中盤で菅がルーズボールを拾って、右の嶋田へ。嶋田はカットインからDFを1人交わして決定的なシュートを放つが、これは枠の外。その直後にも、左サイドを突破したMF高木のセンタリングを、ファーサイドで佐藤が合わすが、これはGKキム・ジンヒョンのファインセーブに合う。56分、橋本が中央で3人抜きし、スルーパスを送り、抜け出した菅がシュートを放つがGK正面をついた。さらに攻め手を強める岐阜は、57分に右サイドを突破した嶋田の折り返しを佐藤が蹴りこむが、これはGKキムのファインセーブに阻まれた。
後半開始から実に5回もの決定機を作った岐阜。これまでの岐阜だったら、歯がゆい時間が続いた後は、カウンターで失点というパターンだった。しかし、今の岐阜は違う。『長良川劇場』のシナリオは、選手たちによってしっかりと描かれていた。
60分、嶋田から右サイドの冨成へ。冨成からのセンタリングを佐藤がどんぴしゃのオーバーヘッドで叩き込み、ついに岐阜が逆転に成功した。逆転ゴールをオーバーヘッドで決めるという演出は、観衆を大いに盛り上げた。
鳴り止まないサポーターのチャントに呼応するように、岐阜の選手は当初の狙いを忠実に実行しながらも、攻撃的な姿勢を崩さなかった。67分にはカウンターから香川のループパスに、乾に決定的なシュートを放たれるが、これはGK野田恭平がこの日3度目のビッグセーブで凌ぐと、お返しとばかりに更なる猛攻を仕掛けた。69分には交代出場のFW押谷祐樹がGKとの1対1を、72分には嶋田が、80分には再び押谷がGKとの1対1を迎えるが、いずれもゴールには至らず。逆にC大阪も86分に交代出場のFW小松塁がGKと1対1を迎えるが、これもGK野田のスーパーセーブに合い、同点ゴールを奪えない。ロスタイムのC大阪の猛攻を耐え凌ぎ、歓喜のときは訪れた―。
追加点こそ奪えなかったが、首位を相手にしっかりと対応策どおりのプレーをしながらも、攻撃的な姿勢を貫いたことで、『長良川劇場』はこの日も大いに盛り上がった。これでホーム10戦負けなしの6勝4分、さらに4連勝&ホーム3連勝。快進撃は留まることを知らない。ただ、まだ何も成し遂げたわけではない。まだ何も手にしたわけではない。今まさに成し遂げよう、手にしようとしている段階であるのだ。いくら今までがよくても、次以降が駄目ならば意味がない。
それは選手、監督もよく分かっている。「今はついているね。でも、まだまだあと21試合もある。切り替えていかないといけない」(松永英機監督)。第2クールを快走するFC岐阜特急は、この勝利に浸ることなく、次なる目的地の東京・味の素スタジアムに向け、勢いそのままに走り出した。更なる勢いを持って、ホームに帰ってくることを信じて。
以上
2009.07.27 Reported by 安藤隆人
J’s GOALニュース
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