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【ヤマザキナビスコカップ 川崎F vs 鹿島】レポート:ロスタイムに始まった世紀の逆転劇。川崎Fが鹿島から3ゴールをたたみ掛けて快勝。ベスト4への進出を決める。(09.07.30)

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7月29日(水) 2009 ヤマザキナビスコカップ
川崎F 3 - 0 鹿島 (19:00/等々力/13,581人)
得点者:89' ジュニーニョ(川崎F)、94' レナチーニョ(川崎F)、102' 鄭大世(川崎F)
★ヤマザキナビスコカップ特集
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 誰もが鹿島の勝ち抜けを覚悟、もしくは確信していた後半のロスタイムにドラマが待っていた。世紀の逆転劇がその幕を開けた瞬間だった。

 川崎Fは7月15日に行われたアウェイでの準々決勝第1戦を0-1で落としており、トーナメントを勝ち上がるには、この試合で最低限1点が必要だった。ただ、アウェイゴールルールが採用されているヤマザキナビスコカップでは、もし仮に鹿島にゴールを許してしまうと、得失点で2点差をつける必要が出てくる。1点はほしいが、1点を奪われると厳しい状況になる。「攻撃に出たくても出られない」というジレンマが試合を難しくするのである。

 ただ、川崎Fの選手たちは試合前に、一様に「やる事がはっきりした」と話しており「まずは1-0にして鹿島のリードを0にするということ」(伊藤宏樹)だけを考えていたのだという。そうやって考えてみると通常の試合でも失点を抑えつつ点を取りに行くという姿勢に変わりはなく、「アウェイゴール」という魔物に試合前からおびえるのも変な話である。つまり心理的な負のスパイラルに陥ることなくメンタルをコントロールできていた川崎Fの試合前の準備が、逆転劇のベースにあった事になる。だからこそ立ち上がりから川崎Fは臆することなく試合を進めたのである。フォーメーションは第1戦と同じ4-4-2。内容的に悪くなかったという自負があるのだろう。

 立ち上がりの4分。負傷で先発から外れた鄭大世に代わりピッチに立った矢島卓郎がいきなりビッグチャンスを掴む。この日ドリブルにすさまじいキレをみせていたジュニーニョが鹿島の守備網に穴を開け、右サイドへ展開。ゴール前にクロスを入れるとこれに矢島が反応するがノーゴール。ただこのワンプレーで川崎Fはやれそうだという手ごたえを掴んでいた。

 第1戦の結果、1点をリードする鹿島は無理をしない試合運びを見せ、攻撃はカウンターが主体となる。0-0で試合を閉じる事が出来ればそれで勝ち上がれるのは彼らにとっては大きな心理的アドバンテージになっていた。そうした事情もあり前半は川崎Fがボール支配率で上回る事となる。試合前日の練習では、主に守備の確認に時間を割いていた最終ラインの選手たちこそ丁寧な対応をみせていたが、チームとしての意思は攻撃に傾いており、実際に鹿島ゴールを脅かし続けた。対する鹿島は21分のFKの場面で岩政大樹が絶妙なバックヘッドを見せるが、ここは川島永嗣がファインセーブではじき出す。また守備面でも44分のジュニーニョの決定機に内田篤人が体を張ってブロックし、握りこぶしを突き出すなど気持ちのこもった戦いをみせていた。オズワルド・オリヴェイラ監督の話によると川崎Fが「心理的に早い時間帯でも点を取りたいという気持ちがあるであろう」と読んでおり、ゲームをコントロールしていたのだという。

 ほしくてたまらない点がなかなか手に入らない川崎Fは、攻撃的な選手を次々と投入する。65分にレナチーニョ。69分には鄭大世を入れて3トップへ。さらに80分に黒津勝をピッチへと送り出して1点を奪いにかかる。そして、そんな前への気持ちを逆手に取るように、鹿島の74分の1枚目の交代采配は本山雅志から中田浩二へのもの。関塚隆監督が「鹿島はディフェンシブ的な選手交代だった」と試合後に振り返るように、鹿島はまずはしっかりと守り、機を見てカウンターを仕掛けるという戦いに特化していくのである。

 しかし、ドラマは唐突に訪れた。演出したのは、途中交代出場の鄭大世。表示された4分のロスタイムはすでに尽きており、いつ笛が吹かれてもおかしくはないというまさに試合終了間際。中村憲剛からのロングパスに反応し、岩政と競り合いながら鄭大世が首を伸ばす。ボールをキープできたわけではなかったが、体を寄せられた岩政も十分にはじき返す事ができていなかった。そしてこのこぼれ球をジュニーニョが拾う。ゴールからは少々遠め。角度はまったくなかった。

「最初ネットが揺れたんですが、外かなと思いました」と山岸智。しかしジュニーニョは狙い通りのゴールだったと胸を張る。「あの場面、自分でもラストプレーだと思っていました」という1プレーは、まさに針の穴を通すようなシュートコースを狙ったものだった。「ずっと前から考えていたものでした。アウグストとよく話をしていたシュートでした。アウグストにはすぐに電話したいと思います」と殊勲のゴールを振り返っていた。

 9割9分掴んでいた準決勝へのチケットを目前で失った鹿島はここで崩れる。規定により前後半15分ずつの延長戦に入ると、アウェイゴールの呪縛から逃れた川崎Fがその攻撃力を見せ付ける。興奮冷めやらぬサポーターの前でレナチーニョが94分に頭で。さらに鄭大世が102分に左足を振りぬいて連続得点し鹿島を突き放した。

 108分に菊地光将が一発レッドカードで退場処分となるが、巻き返したい鹿島の攻勢を跳ね返し試合終了。まさにがけっぷちまで追い込まれた川崎Fだったが、土壇場で生まれたスーパーゴールの勢いの中、ホームの声援を受け3得点で快勝。悲願の初タイトルに向けベスト4へと勝ち名乗りを上げている。

 一方の鹿島は、05年以来勝てていない等々力で完敗。この結果、国内の公式戦での不敗記録は18でストップするとともにヤマザキナビスコカップ優勝への道を絶たれる結果となった。

以上

2009.07.30 Reported by 江藤高志
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