7月29日(水) 2009 ヤマザキナビスコカップ
清水 3 - 0 浦和 (19:00/アウスタ/12,014人)
得点者:0' オウンゴ−ル(清水)、44' 岡崎慎司(清水)、62' 青山直晃(清水)
★ヤマザキナビスコカップ特集
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先制点に関しては、たしかに清水にラッキーな面があった。だが、それを割り引いて考えても、清水が思惑通りのサッカーを展開し、ベスト4への切符をつかんだ完勝劇だった。
清水のスタメンは、青山直晃が公式戦3試合ぶりに先発して、児玉新が左サイドバックに戻り、兵働昭弘が足に痛みを抱えながら強行出場。その他はJ1リーグ戦・千葉戦と同じで、ここ2試合の良い流れを継続し、より守備を固める形をチョイスした。対する浦和は、腹筋を痛めている田中マルクス闘莉王が欠場し、右足首に痛みがあるポンテはベンチスタート。ポンテの位置に山田直輝が入り、左サイドバックにユース上がりの永田拓也が入った他は、J1リーグ戦・名古屋戦と同じ顔ぶれでこの試合に臨んだ。
そして、立ち上がり1分も経たないうちに、思わぬ形で試合は大きく動く。清水の中盤でのリスタートから、兵働が浦和のスキをついて大きく左の裏にフィード。ここに枝村匠馬が飛び出して、すかさず右足でクロスを入れると、ファーサイドから飛び込んだヨンセンが長い足を伸ばして中の岡崎慎司に折り返す。このボールがDF阿部勇樹の足に当たってゴールに転がり込み、オウンゴールという形で清水が先制点を奪った。このとき手元のストップウォッチの表示は開始48秒。たしかにラッキーな形ではあったが、そこまでのチャンスメイクは清水の狙い通りの流れだったことも見逃せない。
これで落ち着いて試合に入ることができた清水は、きっちりと守備の体制を整えて浦和の攻めに対応し、ボールを奪った後は素早く前線や逆サイドに送って、ディフェンスラインの裏を狙うという形を徹底させた。少なくとも、大きなテーマのひとつであった、ボールを失った直後の浦和の厳しいプレッシングを外し、スペースにボールを送るという狙いは、序盤から確実に実行することができていた。
ただ、浦和も徐々に主導権を握っていき、13分には高原直泰のドリブルからゴール前のエジミウソンにパスが通り、DFをブロックしながらうまく反転して左足シュート。これはわずかに右に外れたが、2トップが強さ・うまさを発揮して、徐々に清水守備陣にプレッシャーをかけていった。23分にも高原の左CKからファーのエジミウソンがフリーでボレーシュートを放つなど、チャンスは浦和のほうが多かったが、GK山本海人の好セーブもあって、清水守備陣がゴールを割らせない。
ヤマザキナビスコカップ準々決勝第1戦では何度もドリブルで突破された左の原口元気に対しても、今回は市川大祐、兵働に加えてボランチの1人も連携しながらスペースと数的優位を与えず、突破を許さない。それでも浦和はサイドチェンジを使いながら何度かクロスボールを入れるが、「(浦和が)サイドに人数をかけているので、クロスを入れられるのはしょうがないけど、中でしっかり弾ければ問題ないと思っていた」(青山)という言葉通り、しっかりとポジションをとってゴール前で弾き返し、90分間つけいるスキを与えなかった。
そして、2分と表示されたアディショナルタイムに入ったところで、細貝萌のミスから岡崎が中盤でボールを奪い、兵働が絶妙なタイミングで左にサイドチェンジ。これを受けた左サイドバック・児玉がクロスを入れると、ゴール前では清水が3対2の数的優位を作っていた。その中で中央の岡崎にピタリと合わされたボールを、ジャンピングヘッドでゴール左にねじ込み、清水が大きな2点目を奪った。このゴールも、清水にとってはまさに狙っていた通りの形。決して簡単なヘッドではなかったが、このところの岡崎の決定力は驚異的で、これがヤマザキナビスコカップと浦和戦での初ゴール。清水は前半シュート3本で2点を奪い、非常に効率の良いサッカーを見せた。
後半は、浦和がハーフタイムで鈴木啓太→ポンテ、永田→三都主アレサンドロと一気に2人を交代させ、山田直がボランチに下がって攻撃的な布陣をとり、残り45分で勝負をかける。一方、清水は、前半に裏へのランニングを繰り返した2トップに早く疲労が出始め、前線でボールが収まりにくくなったこともあり、守りを固めてカウンター狙いという形に徐々にシフトしていく。そのため、前半以上に浦和のポゼッション率は高くなったが、清水は守備では自分たちの形を崩すことなく、集中力の高い守りで決定機は与えない。むしろ、カウンターから清水のほうが惜しい場面を多く作っていた。
そんな流れの中、後半17分の右FKから兵働がファーサイドにボールを送ると、巧みな動きでマークを外した岩下敬輔がきれいに頭で折り返し、飛び込んだ青山が左足で押し込んで、決定的な3点目をゲット。ここでは守備で素晴らしい働きを見せていた若いセンターバック2人が大仕事を果たし、強行出場の兵働は、3得点すべての起点になる陰のMVP的な大活躍を見せた。
その後も、最後まで浦和が攻め続けたが、清水の守備組織にヒビを入れることはできない。93%という高い湿度の中でお互いに疲労困憊となり、清水のほうにももちろん余裕はなかったが、集中力は最後まで途切れることはなく、危なげない守りを続けた。39分の山田直の巧みなシュートもGK山本海のファインセーブでしのぎ、ついに無失点のままタイムアップ。清水が内容的にも大きな手応えのある会心の試合運びで、文句なしにベスト4進出を決めた。
ただし、タイトルを狙う清水にとっては、まだまだ「ここからが勝負」(岡崎)というところ。9月上旬の準決勝に向けて、さらにチーム全体で自信を増していく必要がある。
一方、敗れた浦和は、これで公式戦3試合無得点。それをフォルカー フィンケ監督は「長いシーズンの中で必ず1度はある“穴”に入った状態」と表現したが、次のゲームでそこから抜け出すきっかけをつかめるかどうかが注目される。両者の今後を占う意味でも、3日後の埼玉スタジアムでの同カードが、ますます楽しみになってきた。
以上
2009.07.30 Reported by 前島芳雄
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