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【J2:第36節 栃木 vs 鳥栖】レポート:鳥栖とのリベンジマッチに敗れた栃木。しかし、今後へ向けた好材料を得た。(09.08.30)

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8月29日(土) 2009 J2リーグ戦 第36節
栃木 0 - 2 鳥栖 (19:03/栃木グ/3,467人)
得点者:20' 島田裕介(鳥栖)、89' トジン(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch185 8/31(月)13:30〜(解説:田中真二、実況:篠田和之、リポーター:萬代裕子)
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6月14日、「県民の日」に0‐5と、サガン鳥栖に屈辱的な大敗を喫した栃木SC。ホームでのリベンジを果たすはずが、先制点を取った試合は14勝2分の無敗という数字が示す通り、前半20分にPKから先手を奪った鳥栖に0−2と再び敗れた。

「自分が先制点を取っていれば・・・」
新加入のFWレオナルドは、両チーム通じて最初に掴んだ決定機をものにできなかったことで唇を噛んだ。栃木初のブラジル人選手に、54試合のキャリアを積んだ古巣・鳥栖戦を前にして、J2の戦い方に関して尋ねると、こう答えた。
「先制したチームが勝つ。先制点が大事」
J2において先制点の占める割合が勝敗を左右する上で、どれだけ高いか。レオナルドは熟知していた。だからこそ、縦パス一本に抜け出した崔根植のシュートのこぼれ球に反応するも、至近距離のシュートを押し込めなかった前半の得点機を逸したことを悔いた。

リベンジにメラメラと闘志をみなぎらせた栃木は、序盤から崔のポストプレーと、巧みにボールを誘引したレオナルドが前に起点を設け、果敢にゴールへ迫った。気合いの入り方は尋常ではなく、この一戦に懸ける思いがひしひしと伝わってきた。栃木のセンターバックとボランチにサンドされ、自由を失い、持ち味の高さを消された“大砲“ハーフナー・マイク。最大のストロングポイントを封じられた鳥栖は、成す術がなかった。ハーフナーを消したことで、攻撃力を激減させることに成功した栃木だが、19分に不運なPKを献上。島田裕介がGKの逆を突き、鳥栖が先制。ビハインドを背負ってからも、栃木はサイドチェンジを駆使して揺さぶり、右サイドを軸に攻め立てた。効果的なカウンターも繰り出すが、シュートがDFに引っかかるなどゴールは遠かった。

「前半は耐えようと思ってプレーしていた」
そう話すのは先制弾の島田。鳥栖は主導権を握られながらも、後半に栃木が息切れすると読み、じっと耐えた。後半頭に不安定だった渡邉将基を下げ、山田卓也が最終ラインに入ると落ち着きが生まれ、ハーフナーのダイレクトボレーが反撃の狼煙となり、次々とゴールに襲い掛かる。51分にCKから武岡優斗が低空ダイビングヘッド。66分に岡田佑樹が2枚目のイエローカードで退場し、数的優位に回ると攻勢を強める。68分に高地系治、72分にハーフナー、82分には廣瀬浩二と都合3度の決定後を作り出し、89分に鋭利なカウンターで加点し、雌雄を決した。「2点目をショートカウンターからトジンが取ってくれて、楽になった」と内間安路は振り返った。
一方、スタミナ切れを起こした栃木は、退場者を出したことも手伝い、前にさける人数が限られてしまう。61分に迎えた唯一の決定機にレオナルドが撃ち込んだボレーシュートは、GK室拓哉にキャッチされた。その後、「1人少なくなってからの鳥栖は上手かった」と松田浩監督が言うように、鳥栖のポゼッションに気勢を殺がれる。「4―2―3、4―4―1、4―3―2にしたことも功を奏しなかった」(松田監督)。

4試合ぶりに勝利を掴んだ選手を「賢くサッカーをした」と、岸野靖之監督は褒め称えた。素早い寄せから奪ったボールをサイドに展開し、ハーフナーの高さで勝負を挑むのが鳥栖のサッカーだが、栃木の圧力に屈して劣勢に立たされ、前半45分間は精彩を欠いた。「もう少し後ろからコントロール出来れば、ゲームが落ち着いた」と内間は反省の弁。しかし、本調子に程遠くとも必勝パターン、先行逃げ切りの形に持ち込み、流れを変えた後半に2点目を奪う試合巧者ぶりを発揮。「内容よりも結果を重視」(島田)した栃木戦で、きっちりと結果を残し、残り15試合での逆転昇格に望みを繋いだ。

完封負けにも、松田監督は「ワクワクするような試合をやってくれた」と、こちらも選手を称賛した。勝点3への期待感が抱けたのは、やはりゴールの匂いが強く感じられたからだろう。崔はファイティングスピリットを全面に押し出し、前線で泥臭い仕事を厭わずに体を張った。ポストプレーには強さと柔らかさがあり、味方が安心してボールを預けられる。軽快なドリブルをするレオナルドは、今までにないタイプ。自らシュートが打てるし、周囲を活かすプレーも出来る。前を向こうとする姿勢は、対戦相手にとって厄介だろう。崔とレオナルドは実戦で初めて2トップを組んだが、互いに好感触を得た。近々、歓喜の瞬間をもたらすだろう。胸が躍ったのは攻撃陣のキレの良さだけではない。宮本亨は球際の激しさとリーダーシップで最終ラインに熱を注入した。左右のサイドバックを違和感なくこなせるのは強みだ。「大久保裕樹が長期離脱した時から考えていた」(松田監督)落合のセンターバックへのコンバート。2失点を喫したが、ハーフナーに仕事をさせなかったハードマークで負傷離脱中の米山篤志との違いを見せた。公式戦初先発となったGK柴崎邦博は、ハイボールに対する高い処理能力を活かし、制空権を確保。窮地を救い続けもした。崔、レオナルド、宮本の新戦力は期待に違わぬプレーをし、既存戦力の落合と柴崎も指揮官から好評価された。次節の湘南ベルマーレ戦では、鳥栖戦以上のプレーをすることで個の力をチームに還元して欲しい。

3連敗で17戦未勝利となった栃木。1クールまるまる勝っていないことになるが、JFLに舞台を移した2000年から常に全国では強者ではなかった。プロ選手が誕生した2007年でさえ10試合、J2参入を果たした2008年は9試合も勝てない時期が続いた。それでも選手、サポーターは諦めずに戦い抜いた。どんなに苦しくても下を向かず、愚直なまでに勝利を目指した。必死な姿に胸を打たれたからこそ、応援する人の輪は拡がった。

強く願い続ければ勝利を手に出来るわけではない。だが、望まなければ掴めない。思いが報われるまで、100%全力を尽くすしかない。

以上

2009.08.30 Reported by 大塚秀毅
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