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【J2:第36節 水戸 vs 岡山】レポート:高崎寛之、ハットトリック!岡山の「哲学」を高崎の個の力でねじ伏せ、貴重な勝点3を手にした水戸。いよいよ勝負の9月戦線へ。(09.08.31)

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8月30日(日) 2009 J2リーグ戦 第36節
水戸 4 - 2 岡山 (18:04/笠松/2,082人)
得点者:16' 三木良太(岡山)、31' 大和田真史(水戸)、44' 澤口雅彦(岡山)、66' 高崎寛之(水戸)、69' 高崎寛之(水戸)、86' 高崎寛之(水戸)
スカパー!再放送 Ch185 8/31(月)19:00〜(解説:遠藤雅大、実況:中村義昭、リポーター:佐藤愛美)
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 サッカーとは「哲学」のぶつかり合いだ。11人同士で1つのボールを追いかけ、相手より多くゴールを決めるために戦う。その中で人をどう配置し、いかにボールを動かしてゴールを狙うかというチームの「哲学」が勝敗を分けることとなる。そのチームがどんな「哲学」を持って試合に挑むのか。それこそがサッカーの醍醐味と言えるのではないだろうか。水戸と岡山の一戦、この試合では対極する両チームの「哲学」が激しい火花を散らした。

 試合開始から両チームの「哲学」がくっきりとしたコントラストを描いた。徹底して前線にロングボールを蹴って攻め手をうかがう水戸に対し、岡山は中盤での流麗なパス回しで攻撃を組み立てる。先手を取ったのは岡山だった。ボランチの喜山康平を中心に主導権を握った岡山がうまくサイドに展開しながらチャンスを作り出す。そして16分に左サイドを突破した野田紘史からのクロスを三木良太が頭で合わせて先制する。その後、CKから失点するものの、44分には右サイドで相手DFからボールを奪取し、そこから上がったクロスのこぼれ球を澤口雅彦が蹴りこんで勝ち越しに成功。「前半はある程度自分たちのやろうとしたことができた」と手塚聡監督は振り返る。ここ5試合負けなしという調子のよさを維持しながら、5位の水戸を圧倒する内容を見せた。

 前半は岡山の「哲学」の前に何もできなかった水戸だったが、後半に息を吹き返す。その源にあったのが、水戸の「哲学」であった。今季の水戸の強さの秘訣はなんといってもFWにある。高崎寛之と荒田智之の2トップの力は「J1でも通用すると思う」とチームメイトの山本孝平が言うように、リーグでも群を抜いている。とにかく彼らにボールを入れることでリズムを作り出すのが水戸の「哲学」だ。前半は2トップが孤立してチャンスを作れなかったが、後半に入り、全体が押し上げて2トップをサポートすることで攻撃の厚みが増した。前半は水戸のロングボール攻撃にうまく対応していた岡山DFだったが、後半に水戸がさらなる圧力をかけてきたことで岡山DFは崩れ出していった。

 その中で光り輝いたのが高崎であった。今の水戸の「哲学」は『高崎ありき』と言っていい。とにかく前線にロングボールを送り込めば、高崎がなんとか処理をし、そこから攻撃に転じることができる。だからこそ、水戸の「哲学」は成り立っている。この試合でもそうだった。高崎の存在感が増せば増すほど、岡山DFは焦りが見え始め、ミスを連発。流れは水戸に傾くこととなった。そして66分、野本安啓のパスミスを奪った荒田から高崎へ。GKとの1対1を高崎が冷静に決めて水戸が同点に追いつく。勢いに乗った今の高崎は誰も止められない。3分後には最終ラインからのロングボールに対して鋭い反応を示し、胸トラップでうまく処理した高崎をマークしていた野田がたまらずペナルティエリア内で倒してしまい、水戸がPKを獲得。高崎自ら蹴りこんで逆転に成功。さらに86分にはCKからこの日3点目となるゴールを頭で叩き込んで、チームを勝利に導いた。

「今日は高崎に助けられた」と選手たちは口を揃える。「こういう内容で勝てたのは大きい」と本間幸司が言うように、決して内容がよかったわけではないが、それでも勝ちきれるのは絶対的なエースがおり、その力をチームとして生かせたからこそ。岡山の「哲学」を、高崎の個の力でねじ伏せたとも言える試合内容であった。試合ごとに輝きを増すエースの存在が水戸の「哲学」を昇華させている。昇格争いに生き残る貴重な勝点3を手にした水戸。いよいよ勝負の9月戦線に突入する。頼れるエースがいる限り、水戸には限りない可能性が広がっている。

6試合ぶりの敗戦を喫した岡山。その中で悔やまれるのは水戸の同点弾を誘った66分のミスだ。しかし、そのミスこそ、岡山が次のステップに進むための大切なプレーであった。後半に入り、水戸のハイプレッシャーに対してロングボールで逃げるのでなく、パスで打開を図ろうとした。ただ、その中でミスが出始め、そしてその1つが失点につながってしまった。だが、そうしたトライに対し、手塚監督は悲観的な反応を示さなかった。「第1クールからなかなか点が取れない状況で進んできて、今、点を取れるようになったのはそういうボールをつなぐところはつなぐ、できるだけ前にボールをつなぐというところで人の動きが出てきたから。そこがいいところだと思っています」と振り返る。こうしたトライこそ、チームの成長を支えてきたものであり、さらに岡山の「哲学」を熟成させていくに違いない。

「哲学」を貫いたからこそ出たミス。しかし、そこからチームが得たものは小さくないはず。前節負傷した西野晃平に代わって先発を果たした三木がコンディションの問題によって途中交代してからバランスを逸して逆転を許すという不運に見舞われての敗戦となったが、90分、「哲学」をまっとうした岡山からも限りない可能性を感じられた一戦であった。

以上

2009.08.31 Reported by 佐藤拓也
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