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【J2:第36節 熊本 vs C大阪】レポート:またも立ち上がりの失点で、熊本はゲームプランが崩れ4連敗。したたかに勝ったC大阪は、4試合ぶりの勝利で首位の座を堅守(09.08.31)

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8月30日(日) 2009 J2リーグ戦 第36節
熊本 0 - 2 C大阪 (19:03/熊本/5,755人)
得点者:4' カイオ(C大阪)、69' 香川真司(C大阪)
スカパー!再放送 Ch183 8/31(月)16:00〜(解説:池ノ上俊一、実況:山崎雄樹、リポーター:吉田明央)
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 プレビューで触れた、「えっ!?」と言ってしまいそうな布陣とは、山内祐一、西森正明、西弘則の『県産』3トップ。3人とも170cmに満たないからC大阪の180cm台の長身3バックに対して空中戦で競り合って勝てる見込みは少ないが、機動力を生かして前からボールを奪いに行く、という狙い。しかしそれも、全体が連動して機能しなければ、逆にチェックをはがされて自由にボールをつながれてしまう。
「ボールに行っても間延びしていて、『動かされた』という印象」(山内)、「1人1人の距離も遠くてサイドで蓋ができずに、ターンされたり、3人目に使われた」(吉井孝輔)と、熊本の選手たちが感じている通り、ファーストディフェンダーのボールホルダーへのアプローチも、それに対する後方の選手の寄せも、C大阪のスピードについていけず、完全に後手。

 第1クールの対戦後にもレヴィー・クルピ監督が話していたし、この試合の後の会見でも口にした『ゴールへの意識の高さ』に基づいた前線の動き出しの速さ、それを見逃さずにボールを供給する出し手の判断、そして個々の技術、さらには「今日敗れると昇格圏内からはじき出される」という状況がもたらしたであろう戦う気持ちと、全てにおいてC大阪が熊本をはるかに凌駕した。

 まずは4分、DFからのロングボールに抜け出した香川真司が頭でつなぎ、その後ろから走り込んで来たカイオが左足で落ち着いて流し込む。
「前半は0−0で凌いで相手を焦らして、後半になって前がかりになったところで勝負をかける」という北野誠監督のゲームプランは、この時点で早くも崩れた。これで、後半開始直後も含めて立ちあがりの失点は何度目だろう…と考えたが、明確な回数が分かると余計に気が滅入るので数えるのをやめた。

 もっとも、失点した後にバタバタと崩れることもあったことを考えると、その後はやや持ち直した印象もなくはない。だがやはり、選手たちも話した通り、C大阪の素早い攻守の切り替えとテンポの良いパスワークに翻弄されて、前半だけで6回もの決定的なチャンスを作られている。

 特にマルチネスの負傷離脱を受けて加入後初出場となった船山祐二がシンプルにボールをさばき、香川、乾貴士もフリーでボールを受けてはターン。もちろん、その前にはボールを受けるための効果的なフリーランニングがあった。「ボールに対してしっかり寄せて、横のスライドを早くしてバイタルを閉じる」ということを今週の練習で取り組んで来た熊本だったが、ドリブルを仕掛けてくる香川や乾に対してもずるずると下がってシュートまで持ち込まれるなど、C大阪の迫力に完全に気圧(けお)された。

 後半に入って北野監督は西森正明に代えて藤田俊哉、河端和哉に代えて矢野大輔を投入、2トップにシステムを変更。さらに62分には西を下げて木島良輔をピッチへ送り反撃に出る。これで「少しはコンパクトになった」(吉井)ことで中盤の守備も締まってボールも動くようにはなったが、69分、ミスから奪われてペナルティエリアまで持ち込んだ平島崇を福王忠世が倒してPKを献上。香川が落ち着いて決め、C大阪がリードを広げる。

 その後、熊本もいい形は作るものの、肝心な所でミスを連発し、逆にカウンターを浴びる場面も。逆にC大阪は、試合終盤にGKキム・ジンヒョンがあからさまに時間を使うなど、2点をリードしながらも最後まで勝負にこだわる姿勢を見せて逃げ切り、今シーズンのこのカード3連勝を決めた。
「決定力に不満の残る試合」とクルピ監督が話した通り、C大阪としては2得点は物足りない結果だろう。それでも仙台、湘南、甲府が揃って勝った今節、引分け以下で4位に転落するという状況の中でしたたかに勝ちきった事、そしてマルチネスの代わりに出場した船山に目処が立ったのは大きい。ハーフタイムに「優勝するんだ!という強い気持ちを持て」と話した事に関して、「それだけの力があるし、サポーターのためにも、クラブの未来のためにもタイトルを獲らなければいけない」とクルピ監督は述べたが、混戦の昇格争いにあって、その思いは大きな力となる。

 一方の熊本は、これで2度目の4連敗。スコアは0−2と今シーズン2度の対戦での3点差から点差は縮めたものの、力の差は明らかにそれ以上だった。原点回帰というものの、まだ昨シーズンの方がハードワークしていた印象があるし、上位チームに対しても萎縮する事なく、積極的な姿勢を見せていたように思う。この試合も決して気持ちが入ってなかったわけはないはずだが、ジャッジへのアピールをする余裕があるなら、まずはプレーが止まるまでボールを追って欲しいし、ミスして奪われたら、何としても自分で奪い返すぐらいの気迫を見せてもらいたい。ここまで築いた財産を無為に消費し続けるのなら、ツケが来年に回るだけだ。

以上

2009.08.31 Reported by 井芹貴志
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