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【J1:第24節 山形 vs 広島】レポート:山形のお株を奪う「我慢のサッカー」で、広島が3連勝で3位浮上! 山形は古橋の復帰FK弾を勝点につなげることができず。(09.08.31)

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8月30日(日) 2009 J1リーグ戦 第24節
山形 1 - 2 広島 (18:04/NDスタ/10,206人)
得点者:62' 高柳一誠(広島)、71' 古橋達弥(山形)、80' 佐藤寿人(広島)
スカパー!再放送 Ch.183 9/1(火)13:30(解説:越智隼人、実況:小出匡志、リポーター:成田ひみこ)
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 山形の守備の成果は、前半の広島のシュート数2本に表れている。佐藤寿人を頂点とする1トップ2シャドーには4枚のディフェンダーが、ワイドに広がるウイングバックには北村知隆、宮沢克行の両サイドハーフが対応。3バックに対しては、長谷川悠と宮崎光平の2トップがしっかりとチェイシングする。ストヤノフのロングフィードは精度を欠き、槙野智章が攻め上がりを狙いかけたところにはボランチから宮本卓也が蓋をしに間合いを詰めた。時折、柏木陽介が中盤まで下り、大胆にサイドへはたくことはあったがクロスは跳ね返される。佐藤寿がボールに触れる回数は極端に少なく、下りて足元で受けても、山形のセンターバック小原章吾と園田拓也が遅れずに厳しくプレスをかけ、その後の展開を許さなかった。

「チームとしては、攻撃的な広島に随分守備がうまく機能したという前半だった」。前半を無失点で切り抜けるというノルマもクリアし、小林伸二監督の当初のプランは完璧に近い状態で遂行されていた。しかしその一方で、広島の対応も見逃してはいけない。ポゼッション率を増やし、ボールの出どころが探せなくてもけっして慌てず、ボールを失わないことで山形に攻撃の時間を割いていく。手薄のミドルサードを起点にさばかれたり、数的に上回られてサイドを破られたりしながらも、シュートまで持ち込ませることはなかった。

 0−0のまま突入した後半も、山形は目論見どおりの守備でいい入りをしたが、切り返しを早く、前に人数をかけ始めた広島が攻撃面で本領を発揮し始める。51分、右サイドで1対1に持ち込んだミキッチが、切り返しからのシュートでバーの上をかすめれば、直後にもミキッチのクロスからファーサイドで服部公太がシュート。中央で服部がセットしたボールをシュートしたのは最終ラインから上がっていた槙野。さらに、服部が今度は左から上げたクロスに、惜しくもGK清水健太に防がれる至近距離のシュートを放ったのは青山敏弘。直後のコーナーキックでは、ショートコーナーから柏木がバーが歪むのではと思うほど強烈なシュートを放った。広島の立て続けの攻勢が結実したのは62分。高い位置から中島浩司が送った縦パスを柏木がダイレクトでさばく。小原の体に当たってこぼれたボールを高柳がいち早く拾うと、切り返して左足でゴールネットを揺らした。

 広島のバックライン付近で機動力を発揮していた宮崎がファウルを受けて獲得した直接フリーキック。「タツさん(石川竜也)が蹴るふりをして止まって、自分が蹴るというのはその場で話し合いました」とキッカーを務めたのは、怪我から復帰した途中出場の古橋達弥。GK中林洋次の逆を突いたボールは、ゴールマウスに吸い込まれた。

 リードしたあとは、素早い戻りで人数をかけてスペースに戻っていた広島も、これで再び攻撃に出る。同点に追いつかれる直前から高柳をスタンバイしていた李忠成に代えて投入。79分には長谷川の右クロスから古橋にボレーシュートを許す場面もあったが、高い位置でプレッシャーをかけながら徐々に押し込んだ時間帯で、敵失を見逃すことはなかった。右サイドバックの小林亮がセンターバックの小原にボールを戻すと、アプローチをかけてきた柏木をかわそうと左サイドへアングルを変えたトラップが、濡れたボールにコントロールを誤る。飛びついた柏木が左へボールを送ると、飛び込んできたのは佐藤寿人。前に出てきたGK清水健太の上を越えるチップ気味のシュートで2点目を奪った。

 この2度目のリードを手放すことはなかった。ミキッチを盛田剛平に代える定番の逃げ切りカードを切った広島は、山形のパワープレーを事もなげに跳ね返して3連勝。後半戦に入ってからの7試合で、未だ負け知らずだ。
「私が選手に言ったことは、我慢をしなさいということ。我慢をすればチャンスが来る。90分をとおしていい守備をしていくのは難しい。どこかで必ず、我々のチャンスが来る。そのなかで我慢をしなさいという話を選手として、それが勝ちにつながったゲームだと思います」。ペトロヴィッチ監督の指示どおり、耐えてつかんだ勝利だった。一度追いつかれたことは課題になるが、前半の攻撃が機能しない時間帯も含めて焦りを微塵も見せず、王者にも似た風格で勝点3をさらっていった。

「チームとしては、攻撃的な広島に随分守備がうまく機能したという前半だった」「勝点を取れなかったが、ある部分では収穫があった」と、山形・小林監督はプラスの面を強調した。システムがミスマッチしていることもあり、奪ったあとはボールをつなぐこともできているが、「もう少しクロスの精度がよかったり、入り方を少し工夫してくれると」とフィニッシュまでの精度を引き続きの課題に挙げている。また、スローインのボールを簡単に奪われたり、リスタートで準備が遅れているシーンが何度か見られたことも気になる部分だ。その攻撃力アップへ向けて、古橋が復帰したことは明るい兆しだが、次節は長谷川が累積で出場停止。連敗で降格圏内の千葉、柏との勝点差は5に縮んでいる。残り10試合。ここからが、J1・1年生の真の正念場だ。

以上

2009.08.31 Reported by 佐藤円
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