7月、札幌ドームの敷地内にある札幌のクラブ事務所の会議室に一人の若者が入ってきた。
「石川直樹です。よろしくお願いします」
髪の毛は茶髪というか金髪に近い風貌で、若者っぽさに溢れていたが、人柄はもう立派な大人だとすぐに感じ取れた。若干の緊張もあったのだろうが、話す言葉も丁寧で柔らかい。柏から新加入選手がやってくるということで、大挙集まっていた我々報道陣もその優しそうなキャラクターになんだかホッとさせられた記憶がある。「関東はすごく暑かったけど、こっちはとても涼しいんですね」とのコメントも清々しかった。
昨年まで3シーズン、柏を率いていた石崎信弘監督にとって石川は「教え子」だ。石川の加入に際し石崎監督は「せっかく新しい選手が来るかと思ったら、直樹だもんなあ。もっといい選手はいっぱいおるじゃろうに(笑)」と冗談を飛ばした後、すぐに表情を引き締めて「本当に真面目な選手。教えられたことをとにかく一生懸命に身につけようとする」と石川について話してくれた。そして「柏のサポーターが歌う直樹の応援歌には“親孝行”っていうフレーズが入っとるんじゃ」とも教えてくれた。
親孝行、か。ならば本人に聞いてみよう。
本来であればご両親に聞かなければいけないのだが、それはまあいい。とにかく、雑談の場で本人に聞いてみた。
「石川くんは親孝行って聞いたんだけど、本当?」
すると石川は「それはボクに聞かれてもわからないですね」と即答。そりゃそうだ。と思っていたら「でも、柏で生まれて柏で育って、柏にあるプロサッカーチームで戦っていたので、少しは親孝行ができたかもしれませんね」と続けてくれた。
ふむ。移籍してきたばかりで、いきなりそんなことを聞いてくるわけのわからん記者に対しても親切丁寧にコメントをくれるのだから、ご両親にとってもいい息子さんであるに違いない。
そんな石川は先日の愛媛戦で警告が累積し、今週末の甲府戦は出場停止となってしまった。
「人生初の出場停止なんですよ。去年は年間でイエロー(カード)は3枚だったのに、札幌に来てからは10試合で4枚だもんなぁ。気をつけないと…」と愛媛戦翌日にはガッカリした表情を浮かべていた。
DFなのにシーズンで警告がたったの3度。「たったの」と言ってしまうと若干の語弊があるかもしれないが、現実的に考えてこの数字は非常に少ない。出場停止の選手がいると、監督はベンチメンバーも含めてアレコレと頭を悩ませてしまうわけで。そう考えると、警告の少ない「教え子」がいると監督にとっては非常に助かる。まさに石川はプレーでも親孝行ぶりを発揮していたことになる。
柏生まれで柏育ちの石川にとって、今回が初めての移籍。いろいろな不安やストレスもあっただろうが、ここまではノビノビとプレーしているように見える。筆者は親ではないので親孝行かどうかはわからないが、連日しっかり取材に応えてくれて、すでに十分に孝行してもらっていると勝手に感じている。
以上
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2009.09.11 Reported by 斉藤宏則
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