9月12日(土) 2009 J2リーグ戦 第39節
熊本 2 - 1 鳥栖 (16:04/熊本/8,671人)
得点者:29' 西弘則(熊本)、62' 高橋義希(鳥栖)、84' 山内祐一(熊本)
スカパー!再放送 Ch183 9/14(月)08:00〜(解説:池ノ上俊一、実況:山崎雄樹、リポーター:吉田明央)
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逆転勝利を飾った前節の試合後のインタビューで、雄叫びにも似た快哉を叫んだ勢いそのままに、熊本に先制を許した鳥栖の岸野靖之監督はすぐさま打って出る。そして鳥栖が追いついたのは62分。左サイドからドリブルで持ち込んだトジンが放ったシュートは、逆サイドから入って来たハーフナー・マイクには合わなかったが、ポストに当たって跳ね返り、ゴール前まで詰めて来た高橋義希の前へ。高橋はこれを落ち着いて決め、1−1とした。
だがここからの熊本は、「追いつかれても下を向かなかった」(山内祐一)、「粘ればまたチャンスがくると思った」(西弘則)という言葉にも表れている通り、今までとは違った。ゴールを割られたGK小林弘記は、その大事な拳をピッチに叩き付けたが、起き上がって両手を前に向け、煽るような仕草を見せてチームを鼓舞。「すぐ取り返してこい!」と言わんばかりにCB矢野大輔の背中を前に押し出す。そしてその直後、熊本の北野誠監督が切った交替のカードは、第1クールの鳥栖戦でも相手のオウンゴールを呼び込むシュートを放った木島良輔。先制点をアシストした西森正明を下げ、藤田俊哉を中盤に下ろして山内と2トップを組ませる。それでもゲーム自体の主導権は鳥栖がほぼ握っていたが、熊本は「全員で守って」(石井俊也)よく粘り、木島が入ったことで確かに変わったピッチ上の雰囲気からチャンスが来ることを信じて疑わず、全体のバランスを決して崩すことなく、“その時”を待った。
果たして84分、左サイドのコーナーアーク付近まで持ち込んだ木島は、マークに来た山田卓也を背負って90度のターン。ゴールに向かって仕掛けたドリブルを、一気にシフトアップさせる。「絶対に取る」。スタンドの思いをも載せて山田を抜き去った木島の視界には、前節ハットトリックを決めて““ノっている”男の姿が見えた。山内の2試合連続ゴールで2−1とした熊本は、4分と表示されたロスタイムも集中して守りきり、時間を使う狡猾さも見せて逃げ切った。24節の岐阜戦以来となる2ヶ月半ぶり、そしてKKウイングに限って言えば6節の札幌戦以来、実に5ヶ月ぶり、さらに昨シーズンからの九州ダービーにおいては初めてと、いくつもの付加価値がついたホームでの勝利に、スタンドに詰めかけた大勢のサポーターの喜びは爆発。今シーズン2度目の連勝は、対鳥栖戦を2勝1敗の勝越しに持ち込む貴重な勝利。タイムアップの笛を聞いて抱き合う熊本の選手たちと、膝に手をついてうなだれる鳥栖の選手たちが描いたコントラストは、まさに昨シーズンの第3クールのデジャヴュのようだった。
ゲームを通して振り返れば、6本と11本というシュート数にも表れている通り、押し込んでいたのは鳥栖。しかし「ウチのスタイルはリスクだらけ。だからこそ、責めている時に守りの事を忘れるなと話した」という北野監督の言葉通り、今日の熊本は守備が素晴らしかった。CBの矢野とチョ・ソンジンのコンビでマークを受け渡しながら、ハーフナーとトジンにぴったりと身体を寄せ、フリーで競らせる事も、ボールを収めさせ振り向かせる事もしなかった。そして前節からの石井と吉井孝輔のダブルボランチも、片方が前に出れば片方はバランスを取り、こぼれたところはカバーし合う。加えて市村篤司と原田拓の両サイドバックも、上がりすぎて裏を狙われるような場面を作らせなかった。
この試合を迎えるにあたって北野監督がテーマとしたのは、前節に臨む前にキーワードに掲げた「インターセプト」と「速い攻め」、そして「切り替え」の3点。実際、サイドバックが攻撃に絡む回数はこれまでよりも少なかったものの、逆にその事で守備から攻撃への切り替えにおいては詰まってスローダウンする事がなく、クラブのJリーグ通算100ゴールとなった29分の西の先制点も、DFチョからの鋭いフィードが発端となったように、前の動き出しに合わせてシンプルにタテに送る形から何度かチャンスを作っている。
とは言え、「今日の先制点もそうだし、前節の得点もそうだが、ただ蹴ってるのでもないし、ただ受けてるのでもない。そういうところでの出入りの動きが連動できているのは、やっぱり今までの積み重ね」と、単なるカウンターとは違うということを北野監督は強調する。そうした早い攻めと、ボールを動かすところの組み合せ、さらに守備を意識した全体のバランスは、遅ればせながら39試合目にしてようやく見えるようになって来たチームとしての成長の証。次の試合でもこれを続けられるかどうかで真価が問われる。
最後にもうひとつ、おそらく試合前に激しく降った雨の影響でかなり減ったと思われるし、メイン、バックにも水色の鳥栖サポーターが多かったのも事実だが、凄まじい盛り上がりを見せたWeb voterで22万票もの(もちろんこのうち何割かも鳥栖サポーターの力だが)クリックを投じて、“勝利の女神”藤本泉さんの来熊を実現させたように、スタンドを埋めた赤のサポーターの思いと力と、そして“SHOUT for SHOOT”が、ピッチで戦う選手たちを後押しした事は間違いない。まだ2年、わずか6試合と歴史の浅い鳥栖との九州ダービーだが、確かな歴史が刻まれた一戦になった。
さて、自らの意思と力で扉を開け、勝ち方を思い出した赤い馬は次節、今年まだ勝っていない鳴門の渦を呑み込みに、四国に乗り込む。
以上
2009.09.13 Reported by 井芹貴志
J’s GOALニュース
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