12月5日(土) 2009 J1リーグ戦 第34節
浦和 0 - 1 鹿島 (15:32/埼玉/53,783人)
得点者:66' 興梠慎三(鹿島)
スカパー!再放送 Ch183 12/6(日)18:00〜(解説:川勝良一、実況:倉敷保雄、リポーター:朝井夏海/高城光代)
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苦しい試合だった。
序盤からアグレッシブな姿勢で鹿島に挑んで来た浦和レッズに圧倒される展開。ピッチの芝がいつも以上に短く刈られていたことから、足下の状況にいつも以上にナーバスになっていたことは否めない。しかし、試合の入り方は明らかに浦和の方が良かった。
「相手が強くて。スゲーよかったんですよ」
本山雅志は、浦和の強さを肌で感じていた。本山はこの一週間ほとんど練習ができず、木曜に行われた非公開練習でも内田篤人と共にクラブハウスで治療に努めたほど。決してコンディションがいいとは言えず、満身創痍というハンデはあったものの、それ以上に浦和のできが良かった。
しかし、そこで崩れないのが鹿島が王者たる由縁だろう。ボールは支配されたものの決定的なチャンスは作らせなかった。
「ディフェンスラインはペナルティエリアくらいまで押し込まれていたので、気持ち的に焦らないことを言いました。焦れてくるとイノ(伊野波)もどうしてもボールに行きたがるところがあるので、僕とエジミウソンが1対1の状況が多くなっていたんです。まずなかで僕たちが辛抱していようということはやってました」
岩政大樹は浦和の攻撃を受け止めながら、隣にいる伊野波と辛抱することを確認し合っていた。この『辛抱』や『我慢』というキーワードは、まさに今年の鹿島を象徴していたと言える。
今季前半戦、圧倒的な強さを誇りリーグを独走していた鹿島。しかし、夏場に運動量が落ちると歯車が狂い始める。90分以内ではチームワーストの5連敗を喫し一気に首位を転落してしまった。
「それは悔しいですよ」
それまでの定位置を川崎Fに奪われ、2位に後退したときの悔しさを小笠原満男は忘れていなかった。ただ、負け続けながらも試合内容は決して悪くないときもあった。それを冷静に見つめ、いままでやってきたことに不信を抱くことなく、そのままやり続けることで活路は開けていったのである。
「あそこでやり方を変えたりさまようんじゃなくて、こうすれば勝てるというイメージがあったし、戻る場所があった」
シーズン序盤には、動きの悪い興梠慎三や新井場徹をスパッと代えたオズワルドオリヴェイラ監督も、この時期にはジッと耐えることを選んでいた。選手を入れ替えて難局を乗り越えるのではなく、選手が自信を取り戻してそれまでできていたこと、つまり『戻る場所』を再び手にするまで動かなかったのである。
この試合でも監督は「別に早い時間帯に点を取るために焦る必要もないし、最後の方でも焦る必要はない」と選手に言い聞かせていた。焦ることなく試合を進めれば必ずチャンスが来るという言葉どおり、59分に小笠原がGKと1対1の絶好のチャンスを外してしまったものの、66分に興梠が値千金のゴールを決める。小笠原から右サイドの内田に展開すると、前方のスペースに野沢拓也が走り込む動きに田中マルクス闘莉王がつられ興梠のマークが甘くなった。その瞬間、内田が低く鋭い絶妙のクロスを入れると、そこに興梠が頭から飛び込みゴールへ突き刺した。何人もの意図が一致するとても美しいゴールで鹿島が先制点を奪った。
残り20分となったあたりから次々と攻撃の選手を送り込んで来た浦和によって、ゴール前に釘付けにされてしまったが、それでも全員でゴールを死守。
「ゲームをコントロールすることは、いまの選手たちであればできると思う。だけど、それだけでは計り知れないことが、特にこういう大一番であれば起こりうるので、そのときにどう反応できるかだと思います」
試合前、そう語っていた岩政がエスクデロセルヒオのシュートを左足1本でブロックするなど、集中力は最後まで切れなかった。試合終了のホイッスルがなると、いまかいまかと終了を待ちわびていた鹿島の選手、スタッフ全員がピッチになだれ込む。最後には全員で大きな輪をつくり、優勝の喜びを分かち合った。
前節はG大阪を真っ向勝負で叩きのめす5-1の完勝をおさめ、今節は浦和に完全にペースを握られながらも1-0での勝利。G大阪、浦和という強豪チームを相次いで撃破しての優勝は、前人未踏の3シーズン連続のタイトル獲得に花を添えた。追われる立場となり、徹底した鹿島対策を取るチームが増えてきた中での優勝というのは大きな意味を持つ。また、この日が59回目の誕生日だったオリヴェイラ監督にとって最良の1日となったことは間違いない。試合終了後、「イチ、ニ、サン」と3本指を示してサポーターに3連覇を報告しただけでなく、鹿島に戻って行われた優勝報告会では4本指を示し、次のシーズンもタイトルを目指すこと宣言した。
「勝ってきたからこその経験だと思う。簡単にできることじゃない。いくら口で言っても難しい」
辛抱や我慢ができるのも勝ってきたからこそと小笠原は言う。3季連続で鹿島が優勝したことで、他のチームは3シーズンもの間、勝った経験を積めなかった。勝者のメンタリティはさらに鹿島を強くすることだろう。しかし、選手たちの表情は意外なほど冷静だった。それというのも、ひとつ、やり残したことがあったからだ。
「アジアも負けちゃったし」
小笠原のこの一言がすべてを言い表す。次の目標は、4連覇、そしてアジア制覇だ。
以上
2009.12.06 Reported by 田中滋
J’s GOALニュース
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