2月23日(火) AFCチャンピオンズリーグ2010
城南 2 - 0 川崎F (19:00/炭川/4,952人)
得点者:35' モリーナ(城南)、78' ラドンチッチ(城南)
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稲本潤一が試合後に発した第一声が、この試合の事を端的に表現していた。曰く「日本代表と一緒かなと」。つまり、高いボール保持率で試合をコントロールし、チャンスの一歩手前までの形は何度となく作りながら、決定力に欠いていたのだと。そしてその稲本が「ただ、いいサッカーはできているのでそれを続けていくしかないと思う」と述べたのと同じ文脈で、他の選手たちも手応えを口にするのである。0−2の敗戦について一様に悔しさを口にしながらも、やれていたのだと。ただ、それにしても結果が伴わなかった。
この試合が川崎Fでの初戦となる稲本は最初の5〜10分間ほどの時間帯で「戸惑っていた」という。実際のところ、その言葉通りに川崎Fは、稲本の特徴を引き出すことができていなかった。ただ、相手の出方がはっきりし、自分たちの力が見えてきた前半10分以降に川崎Fは形を作り始める。例えば前半12分には両サイドバックがポジションを高く取り、CBがその両サイドに開き、中央に谷口博之が落ちて3バックと同等の布陣を敷く。そうして前にリスクをかける戦いが出始めて以降の川崎Fは主導権を握っていたと言っていい。「足元でつなごう」と修正をかけた後半からさらに川崎Fペースに。前半に川崎Fが放ったシュートは10本で、後半は14本に上っていた。
それに対し城南はラドンチッチにボールを集め、ごくシンプルな戦いを徹底している。鄭大世はその戦いについて「単純にラドンチッチ一本で徹底してきました。セカンドボールを拾う事のうまさは見て取れました」と述べている。城南は全く試合の主導権を握れず、常に守勢に回り続けた。しかし前半に放った6本のシュートのうち、ただ1本だけ枠内を捉えたシュートで彼らは先制するのである。川崎Fの選手のクリアボールが相手選手にあたるという事故的な展開から、ラドンチッチにボールが渡りモリーナへとラストパス。落ち着いたシュートで川島永嗣の守るゴールを破るのである。
90分間を通して見ると、城南は彼らのストロングポイントをシンプルに追求し続けた。ただ、だからといって内容的にほめられたものではないと考える韓国人メディアもいたようで、ラドンチッチに依存する試合運びについて試合後の会見で質問が出る。
「ラドンチッチは点は決めたが彼ひとりに依存しすぎなのでは?」との厳しめの内容だったが、それに対する申監督の答えはごくシンプルなものだった。「そうする事を指示していた」のだと。そしてそうした理由を簡潔に述べるのである。「ラドンチッチのような背の高い、がっちりしている選手と日本の選手とをどう対戦させれば日本の守備を破れるのか、わかっていた」。
実は城南は鹿児島で春季キャンプを張っており、そこで複数のJ1、J2のクラブと対戦している。その戦いの中から日本対策を導き出していたのである。そして実際に川崎Fは、城南の無骨な戦いで2点を失うのである。前述の通り前後半で川崎Fが放ったシュートは、城南の2倍となる24本。分厚い攻撃で城南ゴールを脅かし続けたが、結果的に得点を奪うことはできなかった。試合は2-0と城南の完勝だが、内容だけを評価すれば川崎Fが勝っていてもおかしくはなかった。だからこそ、試合後の会見で高畠監督に対し「なぜ、点が取れなかったのか」との質問も出た。内容では明らかに川崎Fが上回っており、嫌味でも何でもなく点が取れないのが不思議だったのだろう。
川崎Fにはジュニーニョの不在という言い訳が可能である。ただし、そこに逃げ込んでいては成長はない。その点「ジュニーニョの不在と無得点との因果関係」についての質問に対し、高畠監督は「(チームの)立ち上がりの時期からジュニーニョはケガをしており、その中でチーム作りをしていましたので、それに対する影響はなかったです」と答え、退路を断つ。「ジュニーニョの不在が痛かったです」と答えれば、逃げ道は作れるのにも関わらずそうしなかった。城南がラドンチッチに依存して勝利をモノにしたその一方で、川崎Fは特定の選手への依存を避けたのである。どちらがいい、という話ではない。そういう事なのである。ただ、おそらくは長期的に見れば高畠監督のスタンスの方が発展の余地を持つのだろうと考える。「いないなら、いないなりにどうにかしなければならない」との考えに至るからだ。
この試合後にチームから中村憲剛のアゴの骨折が発表されている。前半16分の接触プレーで大怪我を負ってしまっていたのである。川崎Fはジュニーニョに続いて中村という大黒柱をも長期にわたり失う可能性がでてきた。しかし「ケンゴがいないなら、いないなりにどうにかしなければならない」と考えれば、チームは先に行ける。負けは負け。しかし幸運な事にグループリーグはまだ5試合を残している。チームを改善する余地は十分すぎるほど、残されている。
以上
2010.02.24 Reported by 江藤高志
J’s GOALニュース
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