2月23日(火) AFCチャンピオンズリーグ2010
鹿島 1 - 0 長春 (19:00/カシマ/5,757人)
得点者:42' 中田 浩二(鹿島)
ホームゲームチケット情報
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互いに放ったシュートは鹿島が6本、長春が4本。決まったゴールもわずかに1つ。スピーディな展開は少なく、背景を知らない人が見れば攻撃の意図が見えないシーンの連続だったかもしれない。しかし、リスクを冒すことなくセットプレーで先制点を奪い、そのあとは危険が生まれる要素を極力避けることで、そのまま試合を終わらせる。一見しただけでは“凡戦”と思える試合は、卓越したゲームコントロールを持つ鹿島ならではと言える理想的な勝利だった。
それというのも、この試合は様々な要素が絡み合い、非常に難しい状況での試合だったからだ。
まず、今シーズン最初の公式戦だったことがあげられる。例年、鹿島はプレシーズンに練習試合を組むことがほとんどない。この調整方法は歴代のブラジル人監督に共通する点だが、オリヴェイラ監督もその例に漏れず試合での調整を重視しないため、主力組が90分の試合を行うのはこの日が初めて。長春戦の前に、ホンダロックや水戸ホーリーホックとの試合があったとはいえ、主力全員で合わせたのは前半45分のみだった。90分間、体力が持つのかどうか未知数だったのである。
次に、フェリペガブリエルとイ・ジョンスという新加入選手をいきなり起用しなければならなかったことだ。フェリペガブリエルは2月1日の宮崎合宿からチームに合流したものの、中盤を流動的に動かせるのもお互いの共通理解と動きの連携があってこそ。そのため、監督はチームに慣れていない選手を起用するつもりはなかったという。しかし、本山雅志がチームを離脱し、フェリペガブリエルを起用せざるを得ない状況となった。また、イ・ジョンスについてはチームに合流したのはわずか10日ほど前で、膝を痛めていた関係から練習に合流したのは19日。高さ対策にはイ・ジョンスが必要とはいえ、最終ラインは連携に不安を抱えたまま試合を迎えていた。
そして、最大の懸念点が小笠原満男の出場停止だ。昨年のACLラウンド16で退場処分を受けた小笠原は、この試合に出ることが許されなかった。オリヴェイラ監督が「カウンター1本を狙う戦法をとることはわかっている」と前日の記者会見で述べたとおり、相手が自陣を固めて速攻を狙ってくることは明らかな状況で、そうした守備を崩すには攻撃に特別なアイデアが必要となる。鹿島の攻撃を司る小笠原の欠場は大きな痛手だった。
この状況から導き出される結論は、無理な攻撃を仕掛けるのではなく、相手を無失点に抑えた0-0の引き分けか、1-0の勝利だった。そんななかで、鹿島の選手たちは見事にミッションをこなし、最良の結果を手にしたのである。
それを物語るかのように、試合後、内田篤人は「バランスがテーマじゃないけど、監督からきつく言われてたから」と、リスクを冒すのではなく、長いボールを蹴るときは蹴り、変なボールの失い方をしないよう指示されていたことを明かした。相手の布陣は前半に限ると完全な5バックだったため、いたずらに飛び込めばゴール前で手ぐすねを引いて待つ守備網に捕まり、カウンターを受けてしまう。そこで我慢に我慢を重ねながらじっくりとサイドを攻めた結果、しびれを切らした長春がゴール横で不要なファウルを犯し、そこで得たFKから中田浩二が頭で合わせて鹿島が先制点を奪ったのである。まさに勝ち方を知り尽くした鹿島にしかできない芸当だったと言えるだろう。
チームとしてシーズン初戦にしては上々の滑り出しを見せただけでなく、初登場の新外国籍選手たちも高いパフォーマンスを披露した。フェリペガブリエルは果敢にゴール前に飛び込む気迫と、足がつるまで走る献身性を見せた。イ・ジョンスに関しては、恐るべき広範囲をカバーする読みの鋭さと、ハイボールやクロスに対する抜群の安定感と強さを発揮した。今後、さらに連携が深まったとき、どういったサッカーが実現できるのか。夢がふくらむシーズン初戦だった。
以上
2010.02.24 Reported by 田中滋















