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【J2:第4節 鳥栖 vs 愛媛】レポート:前線からのプレスをかけて堅守を破る。鳥栖のプレスに愛媛は後手を踏まされ、苦渋を飲む。(10.03.29)

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3月28日(日) 2010 J2リーグ戦 第4節
鳥栖 2 - 1 愛媛 (13:03/ベアスタ/5,664人)
得点者:32' 藤田直之(鳥栖)、43' 早坂良太(鳥栖)、84' 越智亮介(愛媛)
スカパー!再放送 Ch185 3/29(月)22:00〜(解説:サカクラゲン、実況:君崎滋、リポーター:ヨンヘ)
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『攻撃は最大の防御なり』とは、よく言ったものだ。確かに、攻め続ければ反撃を食う機会は激減するだろう。それだけ、勝利への確率も上がる。攻撃を片方が仕掛けている時は、相手方は守備の状態であり、失点を防ぐために相手の攻撃を食い止めなければならない。それがサッカーであり、その瞬時に行われる攻守の切り替えこそが醍醐味なのである。今節の鳥栖対愛媛戦は、『攻守の切り替え』にドラマが生まれた。

『攻守の切り替え』は、プレーのことだけを指しているのではない。状況によっては、『気持ちの切り替え』も必要だろうし、『チームコンセプトの切り替え』も余儀なくされることがある。32分のことだった。主審のホイッスルは、鳥栖にFKを与えたものだった。反則を犯したほうは納得がいかず、FKを得た方は自分たちのペースで試合を再開することができる。ゴールまで約35mのところでのFKならばなおさらのことである。鳥栖のMF藤田直之が蹴ったボールは愛媛のゴールネットを揺らし、今季の鳥栖の初先制点となった。鳥栖は、この先制点で優位に試合を進めることができるし、愛媛は失ったゴールを取り返すために、最低2得点は必要となった。ここでは『気持ちの切り替え』が必要だった。残り時間も十分にあるし、サッカーでは何が起きるか分からない。ピッチのうえでは、しかるべき切り替えが行われていたに違いない。しかし、愛媛のバルバリッチ監督は、判定に対する抗議で退席となり、愛媛は指揮官がいない中での戦いを強いられた。言い換えると、『チームコンセプトを切り替える』決定者が不在となったことになる。試合の流れは鳥栖に傾いたまま43分を迎えることになる。

右サイドDFの丹羽竜平は試合後に「オレがあそこまで上がると相手も付いて来ざるを得ないよね」と語ってくれた。鳥栖の追加点は、愛媛の左サイド深くで丹羽に折り返されたボールを、MF早坂良太が蹴りこんだものだった。それまでも鳥栖の両サイドDFは盛んに攻撃に参加していた。この得点シーンだけでなく、前半から幾度となく愛媛陣内の置く深くに、上がっていたのである。鳥栖は先制点以降も勢いを持って攻撃をしていた。そこでは、『気持ちの切り替え』も『チームコンセプトの切り替え』も必要なかった。ただ、その勢いのまま試合を運べばよかったのである。そこの切り替えが必要だったのは、愛媛のほうであった。

66分にFW杉浦恭平に代わってジョジマールを入れて、それまでの3トップから2トップに変更した。それまでは、中盤での数的不意を鳥栖に突かれて攻守の切り替えが上手くできていなかった。70分には中盤に大山俊輔を入れてパワーを増した。82分には、MF内田健太を入れて3バックに変更した。青山慎也コーチが『チームコンセプトの切り替え』を行い反撃に出てきたのだが、2失点を取り返すだけの時間と余力は残っていなかった。84分にMF越智亮介が挙げた1得点だけに終わってしまった。指揮官が不在になってしまった不意の状態への対応も、鳥栖の早いプレスに対する対応も、容易なことではないだろう。試合時間90分の中で起きる現象の対応方法は、限られたものになってしまうことは否めない。「後手を踏んでしまったかもしれない」とのコメントは、青野慎也コーチの偽らざる心境であろう。

攻撃と守備が瞬時に入れ替わるサッカー。選手の判断には、正確さと即時性が求められる。
一瞬の切り替え遅れが失点を招くこともあるし、相手に勢いを与えてしまうこともある。
得点を挙げるためには多くの過程が必要であり、そこに多くの判断が求められる。
多くの過程と判断を求められれば、ミスや対応遅れは生まれるものである。
攻撃側はそこを突き、守備側はそこが起きないうちに攻撃に移らないといけない。
今節の鳥栖対愛媛戦では、『切り替え』に対する正確性と即時性が求められる内容だった。

失敗から得られる経験もある。成功から得られる自信もある。
すべては、結果を得るための過程の中にあり、無意味なものは存在しない。
だからこそ、チャレンジをし、果敢に攻め、そのときを待つのである。
結果が分かっている勝負事など存在しない。わずかな可能性でもあるならば、ピッチに立つのがアスリートである。
ミスがなければ、失点も得点も生まれないのがサッカーである。

以上

2010.03.29 Reported by サカクラゲン
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