3月28日のJ2リーグ戦第4節草津戦。千葉は、1−1のスコアで迎えたロスタイムに、絶好の位置で直接FKのチャンスを得た。この場面でキッカーを務めたのはアレックス。強烈なシュートは、草津の壁に当たってコースが変わりながらもゴールネットに突き刺さり、千葉が劇的な逆転弾で勝利を収めた。
アレックスは、千葉のオフィシャルイヤーブックで今季の目標を『全試合フル出場』と『15得点』としているが、この『15得点』にはちょっとしたエピソードがある。
1月27日、筆者はユナイテッドパークで、オフィシャルイヤーブックの選手名鑑用の取材を行なった。そこで、ポルトガル語の通訳を介してアレックスを取材した時、通訳が最初は目標の得点数を『15』と訳していたが、少ししてから『10』に変更。筆者は『10得点』で原稿を作成した。
千葉が石垣島と熊本のキャンプを終えたのちに迎えた、2月21日のちばぎんカップ。試合前、千葉のオフィシャルカメラマンであり、オフィシャルイヤーブックの制作に携わっている今井恭司さんに会うと、「赤沼さんに伝えておかなきゃいけないことがあったんだ」と言われた。
キャンプ中、オフィシャルイヤーブックの記事用にアレックスが谷澤達也、深井正樹と座談会を行なった際、アレックスは目標を当初『10得点』と言っていたのだが、「夢や目標を大きく持つべき」という話になり、『15得点』に変えたのだそうだ。そして、アレックスはさらに「この前、取材を受けた時に『10得点』と答えたから、あの人(筆者のこと)に『15得点』に変えてもらうように言っておいてください」と、わざわざ言ったそうだ。
同じオフィシャルイヤーブック用の取材とはいえ、自分の発言をちゃんと統一することを意識するだけでなく、記者への修正を自らお願いする選手は少ない。もともと生真面目な性格のアレックスだが、今井さんと「本当に真面目な選手だねぇ〜」と感心しあった。
ちばぎんカップは、開始早々、柏に先制点を許したものの、前半のうちにアレックスが同点ゴールを奪取。その後はどちらも追加点を奪えず、PK戦での決着となった。アレックスは柏GKの菅野孝憲にPKを止められてしまったが、千葉が4−3でPK戦を制して勝利を収めた。
サポーターへの挨拶を終えた選手が、試合後はミックスゾーンとなるフクダ電子アリーナの玄関ホールに引き上げてきた時、筆者はちょうどそこにいた。すると、アレックスは筆者の姿を見つけると真っ直ぐ筆者に向かってやってきた。きっと得点数の修正を話したいんだなと思い、日本での生活が長いため日本語での会話が可能なアレックスに言った。
筆者「(目標の)得点を10から15に変えるんですよね。大丈夫。わかってるから」
アレックス「そう。でも、今日のゴールはナシね。リーグ戦だけで15ね」
修正の依頼を他の人にお願いしていても、機会があれば自分も直接相手に伝えようとするし、プレシーズンマッチのゴールは目標の得点数にはカウントしないと言ってくるなんて!「アレックスは本当に真面目で律儀だなぁ〜」と改めて強く感じた。
その後、開幕したJ2リーグ戦。第3節まで終えてもアレックスの得点は生まれず(惜しいシュートは何回かあったが)、3月24日の練習後に「(第4節)草津戦ではゴールを期待していますよ!」と声をかけた。すると、アレックスは少し笑いながら答えた。
「ゴールできるように頑張る。千葉はまだJ2(での戦い)に慣れてないね。でも、みんな頑張っているから大丈夫」
その言葉どおり、第4節草津戦でアレックスは初得点し、千葉は苦戦しながらも今季2勝目をあげた。試合後のミックスゾーンでアレックスに話を聞き、最後に「(目標まで)あと14点ですね」と言うと、アレックスは真面目な顔になって日本語で答えた。
「大丈夫。まだ(J2リーグ戦の)試合はいっぱいあるから」
アレックスの表情からは、自分が決めた目標を絶対に達成しようとする、強い気持ちが見えた。千葉を勝利に導くアレックスの活躍、そしてゴールが楽しみだ。
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2010.04.02 Reported by 赤沼圭子















