4月4日(日) 2010 J2リーグ戦 第5節
甲府 0 - 2 鳥栖 (13:04/小瀬/11,510人)
得点者:65' 衛藤裕(鳥栖)、74' 豊田陽平(鳥栖)
スカパー!再放送 Ch183 4/6(火)18:30〜(解説:羽中田昌、実況:桜井和明、リポーター:灘波紀伝)
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負けることは仕方がない。鳥栖も勝つ為に準備して挑んでくるのだから絶対に勝てるとは限らない。しかし、惨めな負け方は受け入れることが出来ない。負けることよりも希望を無くしたときの方がずっと辛いのだ。焦ったりイラついたりして余計なファールやカードを貰いながらの終盤。それまではパスを出した選手が動き直して次のパスコースを作っていたのに、終盤のビルドアップは動かずに足元でパスを回そうとするだけだった。65分の失点はミスパスが直接の原因だが、その原因を作るのに貢献したのは鳥栖の選手ではなく甲府の選手。GKの荻晃太が豊田陽平と接触して痛んだのが63分。暫くプレーが止まり、再開した荻からのFK。キャプテンの山本英臣が受けたときにパスコースを作ろうと動き直した選手がどれだけいたのか。そこで難しいパスコースを選択し、そこにパスを通すことが出来なかったことには山本の判断ミスがあるが、それを誘発したのはチームメイトだ。
試合後の会見で荻は毅然と話した。「今の甲府にはリバウンドメンタリティがない」ということを。「本当の意味でチームになっていない、信頼し合っていない。今のようなサッカーをしていればお客さんは来てくれない。魅力があるサッカーは僕らが全力で戦っているときのサッカー。一人ひとりが自分の力を100%チームに注ぐことで成り立つサッカー。昔の甲府を知っている人は、ホイッスルが鳴るとピッチに倒れこむまでハードワークする甲府に魅力を感じてくれた」とも言った。試合中も記者席にまで聞こえる大きな声でポジション修正の指示を出していた荻。彼の意欲は充分に感じた。いくつもあるであろう不満を押さえ込んで、置かれた現状でベストを尽くそうという意欲。同じ気持ちで戦えた選手は何人いたのだろうか。74分の2失点目は秋本倫孝と荻の間でコーナーキックを与えるのかゴールキックにするのかで判断の違いがあり、荻の声も秋本には通らないという齟齬があったが、一番の問題は65分の失点ではなくその後。
前半は中盤に入った養父雄仁、アンカーの秋本の組み合わせが機能して甲府は主導権を取った。ゴールがなかったことは残念だが、これまで上手く使いきれていなかったパウリーニョの使い方を養父がスルーパスで見せた。養父はよく動いたし、57分に藤田健からボールを引き出してパウリーニョに出したスルーパスは素晴らしいものだった。金信泳もダイナミックに動いて、甲府の長身FWで一番使えるのは誰なのかを見せたと思う。ゴールはなかったがこれから良くなっていく希望はあった。結果が出ていないからFWはシュートの瞬間に余裕を失っているが、もう少し落ち着いてGKを見てシュートを打てるようになれば変わるところまで来ている。
しかし、65分にミスがらみで失点するとそれまでのサッカーをやり続けることが難しくなった。25分も残っているのだからやり続ければいいと思っていたが、マラニョン、ハーフナー・マイクと攻撃陣が投入されて養父とパウリーニョがピッチを去ると練習でやったことがないパワープレーが増えてしまう。74分に豊田に追加点を決められて暫くすると、記者席の前に座っていた鳥栖の金熙虎コーチが隣の関係に顔を向けてニヤリと笑った。前半は険しい顔でベンチに無線で情報を送っていたが、勝利を確信したんだろう。ロスタイムを含めれば20分もあったが、甲府の戦いぶりを見ればフレッシュなFWがいるだけで機能していなかった。ニヤリとしたくもなるだろう。鳥栖は「前半は耐えた意識はないが多少構えた部分はある。甲府のディフェンスの圧力でボールを受けられなかった」と豊田が言ったように、甲府に圧されていた。しかし、ハーフタイムの修正で勇気を取り戻して決めるべきときに決めた。いい内容ではなかったが、勝点3はしっかり鞄に詰め込んだ。
今のままではチームは自滅する。荻のように毅然と意見を言ってチームを変えようとする選手が増えなければ厳しいし、そういう選手が浮いてしまうようでは変われない。また、コーチングスタッフがもっと強力に選手を引っ張っていかなければ甲府の選手は力を出せない。逆境でもやり続けることが出来る選手は残念ながら甲府には少ないからだ。クリスティアーノ・ロナウドのような大物がいればファーガソンやモーリーニョが必要だが、甲府に大物選手はいない。戦えない選手やチームにマイナスの影響を及ぼす選手がいるなら実績に関係なく外せばいい。ベンチで鎖を引きちぎりそうになって吼えている片桐淳至を解き放つなど、サブのモチベーションを利用してチームに競争の渦を作らなければ厳しい。試合後に思った。サポーターのほうがよっぽど強い。2点リードされればより大きな声で歌い、ロスタイムも諦めずに歌い続けた。そして、試合後は満開の小瀬の桜の下で花見をする。気持ちの切り替えの早さは甲府サポーターが世界一。今ならまだ間に合う。一つのチームになるために気持ちを切り替えて欲しい。
以上
2010.04.05 Reported by 松尾潤













