8月18日(水) 2010 J1リーグ戦 第19節
広島 1 - 2 大宮 (19:04/広島ビ/9,945人)
得点者:3' 山崎雅人(広島)、37' 村上和弘(大宮)、45' 村上和弘(大宮)
スカパー!再放送 Ch183 8/19(木)後00:00〜
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森脇良太は唇を噛み締めて、言葉を絞り出した。
「まあ……ね……。何と言うか……。防ぐ方法があったら、教えてもらいたい。寄せが甘かったのかもしれない……」
彼らしい快活さは消え、言葉も途切れがちだ。敗戦の責任を、彼一人が背負い込んでいるかのようだった。
確かに広島は、3試合連続して右サイドから失点を重ねているし、その失点数6は異常な数字である。もちろん、その当事者として森脇が責任を感じるのは致し方ない。だが、問題は決して彼のプレーだけに帰するものではない。
この日の大宮もG大阪や川崎同様、左サイドから(広島の右、つまり森脇のサイドから)の攻撃を主軸に置いた。鈴木淳監督は「たまたまです」と煙に巻くが、ここまでの広島の試合を分析すれば、左からの攻撃に狙いを定めることはむしろノーマルなこと。7分には李 天秀が左サイドをえぐって突破し、決定的なシュートも放つ。20分すぎあたりから藤本主税が左にポジションを変えたことで、さらに左サイドからの仕掛けが増える。そして、彼らの思惑どおり、大宮の得点は広島の右サイドから生まれた。
1点目は藤本に対する森脇のケアが遅れ、フリーでクロスを上げさせてしまったことがポイント。2点目は藤本のサイドチェンジへの対応に広島が後手を踏んで、村上和弘に突破を許してしまった。シュートそのものは村上自身が「ラッキー」というように、右足アウトサイドで打ったクロスボールが入ったもの。ただ、蹴らせてしまったこと自体に問題があるのは、間違いない。
この失点について佐藤寿人は「しっかりとカバーができていれば、(森脇)良太も思い切ってプレスに行けたはず。そこは監督からも指示があったのだが……」と指摘する。彼の言葉どおり、2失点とも守備における選手間の距離やバランスに問題を抱えていたことが要因だ。1失点目は、大宮4人に対し広島は7人。2失点目は、大宮5人に対して広島は6人。人数は足りているのに、最後の局面では相手をフリーにしてしまった。いやむしろ、選手が揃っているが故に逆にマークがあいまいになり、カバーの意識が薄まっているのかもしれない。いわゆる「後ろが重くなっている」状態故の現象だ。
失点は2点とも個人の突破からではなく、組織でブロックを崩されている。森脇と横竹翔の関係だけでなく、3バックの距離感、サイドにボールを集められた時の対応。一つ一つを整理していく必要はあるのだが、修正のための時間もない。山岸智やミキッチら主力不在の痛手は、こういう守備のコンビネーション面でも如実に表れている。
だが、この試合の本質はむしろ、広島が2失点した事実よりも1点しかとれなかったことにあるだろう。開始早々に見せた広島らしい美しいゴール。ストヤノフのロングパスを佐藤寿人が落とし、ワンタッチで高萩洋次郎が出したスルーパスから山崎雅人が決めた得点によって「浮き足立った」(鈴木監督)大宮が混乱を起こした。その機に乗じ、広島は一気に攻勢をかける。槙野智章、山崎雅人、高萩洋次郎、佐藤寿人。何度も決定機を迎えたが、最後のシュートにアイディアと精度を欠き、どうしても得点できない。「FWとして責任を感じている」と佐藤が言えば、高萩も「もっと質を高めないといけない」と悔しさを隠せなかった。
早い時間で2点目・3点目と畳み掛けることができただけに、この広島の逸機の連続は大宮を生き返らせたと言える。後半、広島はさらに圧力をかけるが、大宮に前半のような混乱は、見えなかった。ボランチも最終ラインに参加して分厚いブロックをつくり、守備的な選手も次々と投入。何度もあった危機を身体と気迫ではね返し、大宮は逆転勝利を手にした。「内容からすれば、まだ手応えを感じることはできない」と鈴木監督は言う。しかし、これで5試合連続負けなし。順位も12位に浮上し、上位進出も視野に入ってきた。
G大阪戦や川崎戦よりも内容的には向上し、ペトロヴィッチ監督も「希望の光が見えた」と語る。しかし、いい攻撃を見せながらの逆転負けは、チームの現状を如実に反映させたものでもある。右サイドの問題もさることながら、このチームの本質は攻撃。得点力があがってこないと、浮上もおぼつかない。そういう意味ではトップ下の山崎が得点をあげ、広島らしいコンビネーションでのチャンスメイクも見せられたことは、光明に違いない。ただ、その光明をまばゆい輝きとして昇華させるためには、勝利という爆発が何よりも必要だ。
以上
2010.08.19 Reported by 中野和也













