8月28日(土) 2010 J1リーグ戦 第21節
仙台 2 - 1 湘南 (19:04/ユアスタ/14,395人)
得点者:52' 梁勇基(仙台)、54' 阿部吉朗(湘南)、73' 中原貴之(仙台)
スカパー!再放送 Ch183 8/29(日)後00:00〜
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シュート数は17対5と仙台が圧倒していたとはいえ、湘南の5本のシュートの中には、阿部吉朗の同点弾の他にもきわどいシュートがいくつかあった。右からのFKに合わせ、ゴール左で完全にフリーな状態から放たれた、30分の島村毅のヘッド、さらに後半開始から1分もたたない時間に、キックオフから一気にゴール前に入ってきたハン グギョンのシュートが枠をそれていなければ、湘南がアウェイでの戦いを完遂できていたかもしれない。
だがその幸運を差し引いても、最終的には仙台が焦れずに戦い続けたことで、勝点3を手にすることに。まだ挽回可能な試合数は残っているが、仙台はひとまず降格圏脱出、そして仙台と湘南の勝点差は7へと広がった。
キックオフ直後、仙台の左サイドバック・朴柱成が意表を突いたゴール前への攻め上がりを見せ、そこからのグラウンダーのセンタリングに梁勇基がタイミングよく合わせシュートを放つが、しっかりと戻りシュートのコースを切っていた田村雄三がブロック…といういきなりの決定機から始まったこの試合。しかしこの場面の後は、互いにまず守りを固め、相手のミスに乗じて素早いカウンターを狙うという、試合の重さに比例したかのような手堅い展開が続く。
実際、湘南のその狙いは、先発の人員選びの時点で徹底していた。3トップの中央は、前節までの田原豊ではなく中村祐也。これでは素早いカウンターは狙えるものの、前線で起点となるのは難しいのではと思われたが、試合後に反町康治監督は、むしろ仙台の試合前半の得点数が多いことを指摘し、それを阻むべく前線からの積極的なチェックによって仙台にリズムを作らせないこと、そして田原のボールロストによって仙台にカウンターの機会を与えないことという、明確な理由を持った人選だと明かす。ジャーンを欠いた最終ラインがミスを続け、前半だけで赤嶺真吾にゴール前で2度の決定機を与えるなど後方の憂いこそあったものの、前半の序盤は手堅く守り、終盤にさしかかると前からのプレスを強めていくなど、意図を考えれば湘南のゲームのリズムは決して悪くなかった。
だが、一方の仙台・手倉森誠監督の言葉の通り、この試合で勝点3がより必要なのは湘南。よって湘南は必ず、前に出てこざるを得ない時間が出てくるのは明らかで、実際にハーフタイムで田原、それからハンを投入したのがそれだとすれば、これは仙台にとっても「狙い時」を示す合図となった。
仙台もこちらは赤嶺の負傷が理由とはいえ、ハーフタイムで赤嶺から太田吉彰への交代を行っていたのだが、太田の起用法も相まって、この交代が前に出てきた湘南を陥れる上でツボにはまる。
まだスコアは同点だが、手倉森監督は焦れる気持ちをこらえ、太田投入でシステムにまで手を加えることなく(紅白戦を見る限り、太田投入によって朴成鎬の1トップ、そしてその後方に太田、梁、関口訓充が並ぶ形が想像されたのだが)、太田を赤嶺の位置そのまま、つまり2トップの一角へと配した。こうしてゴールに最も近い位置に置かれた太田が、復活した縦へのスピードを最大限発揮し、仙台のカウンターの先兵となる。52分、セットプレーを跳ね返した仙台は、中盤の梁から、前線右に飛び出した太田へスルーパスが通る。パスを受けてもスピードが全く落ちない太田は右サイドを深くえぐってセンタリング。これはGK野澤洋輔が辛うじて弾くが、ペナルティーアークにこぼれたボールに梁が反応。抑えの効いたボレーを突き刺す。
ところが、湘南の粘りと、仙台の悪い部分が合わさり、わずか2分後に試合は振り出しに。右サイドでボールを持った湘南、臼井幸平が、チェックでDFラインを飛び出していた鎌田次郎の後方にスルーパス。オフサイドをアピールする仙台の守備陣だがオフサイドはなく、抜け出した阿部はGK林卓人との1対1から、冷静にゴール右へ流し込む。対仙台戦4試合連続となる阿部のゴールで、一旦は湘南が息を吹き返した。
しかし、この状況となっても仙台は焦れなかった。「選手に焦れるなと言っているのに、自分が焦れるわけにはいかない」(手倉森監督)との言葉の通り、それでもシステムに手を加えなかった仙台は、湘南が仙台キラーの阿部ならとばかりに、直近3試合の湘南戦で3戦3発の中原貴之を、不調の朴成鎬とそのまま代える。
まさかこの交代が、本当にこのような結末を生むとは。73分、仙台は右サイドのCKでショートコーナーを使い、受けた田村直也がセンタリング。野澤のパンチングがまたも小さくなり、ペナルティーアーク付近へと飛ぶが、ハンとのルーズボール争いで球際の強さを見せた斉藤大介がボールを拾うと、そのままペナルティーエリア左外へ流れていき、その後方へフォローに来た朴柱成へ戻す。W杯の中断期間明けからクロスの精度がなかなか戻らず「小学生レベル」と自嘲気味に語ることもあった朴柱成のクロスだが、この場面ではファーサイドにいた中原をぴたりと捉える。
ゴールまではかなり遠かったが、落下点にいた「フェイスガードの鳥人」は湘南の守備陣が2人、このクロスに同時に被ったのを尻目に、打点高くヘディングを合わせる。位置的に、中央へ折り返すだけかと思われたが、ヘッドの弾道はゴール方向へ。そして少し前に出ていた野澤の頭上を柔らかく越えたボールは、ゴール左へと吸い込まれていった。
最後は島村も前線に上がるなど、湘南はパワープレーを仕掛けてくるが、激しいフィジカルのぶつかり合いにも臆することなく抗した仙台守備陣が同じ過ちを繰り返すことはなく、2-1で仙台が大一番をものにしている。
互いの試合前の勝点の状況が、湘南には無理を強い、仙台には落ち着きをもたらしたのかもしれない。とはいえ降格圏をひとまず脱出した仙台と、置き去りにされる形となった湘南…試合後の両者には、残酷なまでのコントラストがあった。
以上













