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現在、4試合負けなしの水戸。第23節福岡戦で大敗を喫し、自信を喪失していた姿はもうない。前節富山戦でも開始8分で2点を奪い、その後はしっかり守り切る戦いで貴重な勝点3を手に入れた。後半は守備一辺倒になってしまい、内容的には満足のいくものではなかったが、チームを奮い立たせるための最良の薬である結果を手にしたことで再び上を向いて歩くことができている。
前節終了後、村田翔はこう口にした。「常盤（聡）も慣れてきたし、俺も吹っ切れてやれている。これから面白くなると思いますよ」。その言葉通り、若い選手たちが自信をつけてきていることがこの4試合の最大の収穫だ。特に常盤が見せるゴール前での力強さは“新エース誕生”の期待感を漂わせている。前節も右サイド村田からのクロスをDFと競り合いながらも一瞬前に入り込み、見事なスライディングシュートを決めてみせた。それだけではない。体幹の強さを生かしたポストプレーと鋭いドリブルで起点となり、サイド攻撃を誘発するなど、攻撃の軸としてチームを引っ張ったのである。「常盤はすごくよかった。今まで不安だと思っていた部分が出なかった。相手にとって怖かったんじゃないですか」と木山監督は富山戦のプレーを称賛。今週の練習でも自信に満ち溢れたプレーを見せており、今節も活躍の予感が漂っている。そんな常盤の活躍が他の若い選手にとって刺激になっていることは間違いない。切磋琢磨していくことで、チーム力は向上していくのである。
常盤、小池純輝、島田祐輝といった若手が次々に台頭してきている今の水戸。以前は吉原宏太と大橋正博のベテランコンビに頼りがちだったが、若い選手たちが自信をつけてきたことによって、その傾向は薄まりつつある。若手がチームを引っ張るようになれば、吉原と大橋の肩の荷も降り、さらにいいプレーを見せてくれるだろう。その融合こそが、水戸の目指してきたものである。だからこそ、今節も若手のプレーに期待したい。前節の後半、2点リードしていたこともあったが、富山のパスサッカーに翻弄され、水戸はパニック状態に陥ってしまった。なんとか「割り切って守れた」（大和田真史）ものの、「あまりにも持たれすぎてしまった」（木山監督）のも事実。もっと主導権を握って勝利をするためにも、苦しい時間帯に冷静かつ自信を持ってプレーをしないといけない。水戸の若い選手たちが勢いだけでなく、そんな“たのもしさ”を手にした時、水戸はワンランク上のチームに行くこととなる。今節はその第一歩となるか。水戸の若獅子たちのプレーに注目したい。
水戸とは対照的に現在5試合勝利のない岡山。4連敗という悪い流れを断ち切ろうと、前の試合から7人もの選手を入れ替えて臨んだ前節は、2度のリードを手にしたものの、追いつかれて引き分けに終わってしまった。連敗こそ断ち切ったが、なかなか調子に乗れない現状を象徴するようなゲーム内容であった。
試行錯誤をしている今だからこそ、原点に立ち返りたい。中断期間明け初戦の第23節水戸戦、岡山の選手たちは異常なまでの運動量を見せ、水戸から勝点3を手に入れた。1人1人の絶え間ないハードワーク、そして球際での強さといった気持ちを前面に出したプレーで水戸を上回ったのである。今節もそういったところで水戸を上回れるかどうかがポイントとなる。水戸が中4日のホーム連戦なのに対し、岡山は中3日のアウェイ連戦。コンディション的には不利な立場にある。だが、そうしたことを言い訳にしないで、水戸よりもアグレッシブに戦う姿勢を前面に出さなければ、勝点3を持ちかえることはできないだろう。岡山の“戦う気持ち”が問われる一戦である。
以上
2010.09.22 Reported by 佐藤拓也
