9月26日（日） 2010 J2リーグ戦 第28節
草津 0 - 2 鳥栖　（16:04／正田スタ／2,746人）
得点者：28' オウンゴ−ル（鳥栖）、81' 早坂良太（鳥栖）
スカパー！再放送 Ch183 9/27（月）後11:00〜
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「あらら・・・」という出来事だった。前節、オウンゴールで勝った草津が今節はオウンゴールで負けた。思わぬ得点によってゲームの主導権が転がり込んだ鳥栖は、抜け目ない戦いぶりで確実に勝利へとつなげた。最近のゲームで不運が続いたという鳥栖松本育夫監督は「禍福はあざなえる縄のごとし」と表現した。敗れた草津副島博志監督は「運が悪かったとも言えるが、そこに至るまでのプレーを検証しなければいけない」と、連勝がストップした悔しさをかみ締めた。

草津にとっては不運となるオウンゴールが生まれてしまったのは前半28分だった。それまでの時間帯を優勢に進めていたのは、ホームの草津だった。鳥栖が豊田陽平を目掛けてロングボールを入れてきたが、草津はCBを中心に冷静に対応。中盤がセカンドボールを拾って、ゲームを組み立てていく。開始５分にはラフィーニャのポストプレーを受けた松下裕樹がゴール前まで突進して強烈なシュートを放つなど、鳥栖を追い詰めていく。ゲーム序盤の草津の状態は決して悪くなかった。

だからこそオウンゴールが悔やまれる。28分、草津は中盤でボールを奪われると鳥栖の早坂良太に右からクロスを放り込まれる。その時点でゴール付近にいたのはGK常澤聡と右SB西澤代志也のふたりだけ。西澤は左４５度から入ってきたクロスを頭で冷静にGKに返した・・・はずだった。だが西澤に「流す」ように指示を出したという常澤はゴールを留守にしてボールの軌道を追っていた。西澤の落としたボールはコロコロと転がってゴールラインを越えた。

悪夢のような失点によって雰囲気が落ちた草津は１点を取り戻しにかかるが、守備ブロックを組んで攻撃を受ける鳥栖の牙城を崩すことができない。草津はラフィーニャのポストプレーから打開を試みるが、鳥栖守備陣の激しいマークにさらされて決定機を築くことが難しくなっていく。「ラフィーニャにキープはされたが縦の突破は許さなかった」（松本監督）。エースが止められると攻撃力が激減する草津は、ボールを支配しながらもゴールが奪えない時間帯が続いていく。そして８１分、野田隆之介のラストパスを受けた早坂良太にトドメとなる追加点を流し込まれて勝敗が決した。

堅実な戦いで勝利を手にした鳥栖は、勝点を３９まで伸ばした。最近では運にも見放され甲府、福岡に痛い敗戦を喫したが、この日は気迫のプレーで運を手繰り寄せた。その立役者となったのは早坂良太だった。前半にオウンゴールを誘発するクロスを上げると後半にはダメ押しの追加点。「２点ともラッキーでした」（早坂）。鳥栖はラッキーボーイの出現によって横浜FCと勝点で並ぶ７位まで浮上した。チーム総力は上位に引けを取らないため、今後どこまで上位陣に食らい付いていけるか注目したい。

草津がオウンゴールによって失速したのは確かだ。だが敗因はオウンゴールではなく、ゴールを奪えなかった攻撃面にある。ボールをバイタルまでは運ぶものの、フィニッシュの工夫と精度を著しく欠いた。「北九州戦はオウンゴールによる得点だったから実質２戦連続で点が取れていない。２試合で３０本近くのシュートを打って点が取れないのは問題だ」（熊林親吾）。攻撃のテコ入れができない草津はまたしても中位進出のチャンスを逸し順位は１５位のまま、警戒区域から依然として脱出できていない。ゲームに禍福はつきもの。今の草津には「禍」を乗り越えて勝ちきるパワーが求められている。　

以上

2010.09.27 Reported by 伊藤寿学