11月20日(土) 2010 J2リーグ戦 第35節
福岡 3 - 2 東京V (14:33/レベスタ/10,080人)
得点者:21' 久藤清一(福岡)、50' 城後寿(福岡)、57' 飯尾一慶(東京V)、60' 平本一樹(東京V)、90'+3 高橋泰(福岡)
スカパー!再放送 Ch185 11/22(月)後01:30〜
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「割れんばかりの歓声包まれる」。使い古された言葉だが、その言葉以外では表現しきれない空間だった。拍手、歓喜の叫び声、感動の涙、様々なものが生み出す大音響が直接頭の中に入り、それ以外のものは何も聞こえない。それは、この日最高の、いや、今シーズン最大の歓声。提示された4分間のアディショナルタイムが終わろうとしていた時間に生まれた。
「自分がもらったファール。それまでチャンスらしいチャンスがなかった中でのFKだったので、誰にも譲る気はなかった」(高橋泰)。その高橋が、ゴール前中央にボールをセットする。視線が捉えるのは約30メートル先のゴールだ。壁の位置を確認する。壁を超えるイメージを頭の中に思い描く。そして右足が唸る。次の瞬間、壁を越えた無回転シュートがゴール左上に突き刺さった。「スーパーなゴール」。敵将・川勝良一監督(東京V)にそう言わしめたゴールは、目前の相手である東京Vを下したばかりか、チームとサポーターが願うJ1昇格を大きく引き寄せる勝点3をもたらした。
非常に緊迫した試合だった。まずボールを支配したのは東京V。高い技術を駆使して細かくパスを回して福岡陣内へと入り込む。しかし、コンパクトに保たれた守備ブロックを形成する福岡は、目の前でボールを回させるだけで縦への侵入を許さない。そして奪ったボールをシンプルにスペースへ送り込んでチャンスを窺う。しかし、東京Vの守備網にも隙はない。土屋征夫、富澤清太郎を中心にした最終ラインの安定感は抜群。細かくラインを上下させ、あるいは福岡のターゲットマンである大久保哲哉に激しく体を寄せて、福岡にチャンスを与えなかった。
試合が静かに、手堅く進んでいくのは、互いの力が拮抗していることを選手たちが感じていたからだろう。実際、ほんのわずかな気の緩みや、ほんの小さなミスで試合の流れが変わっていく。そして、前半は高いレベルの膠着状態が続いた。21分に、中町公祐が倒されて得たPKを久藤清一が決めて福岡がリードを奪ったが、拮抗した展開に変わりはなかった。
後半に入ると少しずつゲームが動き出す。先手を取ったのは福岡。50分、自陣から岡本英也が前線に送ったロングフィードが、動きだし良くセンターバックの間を抜け出した城後寿にピタリと届く。そして、そのままゴール前へ持ち込んだ城後の右足がゴールを捕えた。福岡らしいシンプルな形からのゴールだった。
しかし、東京Vはここから巻き返す。福岡のラインが少しずつ下がりだし、東京V本来のパスワークがリズムを刻みだしたからだ。そして57分、ゴール前の密集の中、飯尾一慶が鮮やかなターンからの左足のシュートで1点を返すと、川勝監督はすかさず福田健介に代えて高木善朗を投入。システムを3バックにして、一気に流れを引き寄せた。そして、東京Vの同点ゴールは60分。自陣のルーズボールをものにしてから、平本一樹のヘディングシュートまで、つないだパスは11本。福岡が福岡らしいゴールでリードを奪えば、東京Vは東京Vらしい攻撃で同点に追いついた。
そして、流れのままにゲームを支配したのは東京V。中盤の低い位置で前を向いて自由自在にボールを捌く柴崎晃誠を起点にしてチャンスを作り出していく。特に終了間際の猛攻は圧巻。完全にゲームを手中に収めたかのようにも見えた。しかし、それで終わらないのが、この日の試合。東京Vの分厚い連続攻撃を体を張って耐え抜いた福岡が、残り5分を切った段階で、今度は東京Vをゴール前に釘付けにした。その中で生まれた高橋泰のスーパーゴール。最終的に拮抗した試合を制したのは、ホームのサポーターの声援に後押しされながら戦った福岡だった。
「勝負弱かったんじゃない。勝負の女神がアビスパに微笑んだということ。アビスパにJ1に行けと言っているように感じた」と試合を振り返ったのは川勝監督。その言葉通り、この日の東京Vは心身ともに自分たちのサッカーを展開。東京Vにしてみれば、これもサッカーと言わざるを得ない結果だった。この日の敗戦でJ1昇格の夢は断たれたが、その内容は「東京V強し」を印象づけるのに十分なものだった。
一方、福岡もまた、全員が一丸になって、アグレッシブで、スピーディに、そしてチャレンジャー精神溢れるサッカーを展開。それは福岡が目指すサッカー。そのサッカーで勝点3を積み上げ、昇格までに必要な勝点を5とした。そして、篠田善之監督は今日も同じ言葉で記者会見を締めくくった。
「いつもと同じように、今度の90分間でどうやって自分たちのサッカーを表現するかを考え、コンディションを整えて、全員でとにかく取り組むこと、それしかない」。
そうやって現在の位置までやってきたのが福岡。その姿勢は、これからも変わらない。
以上
2010.11.21 Reported by 中倉一志
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