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【J1:第31節 広島 vs 新潟】レポート:90分を見据えた闘いを見せた広島、完勝。ACL出場権獲得に向け、最後の可能性を残す。(10.11.21)

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11月20日(土) 2010 J1リーグ戦 第31節
広島 4 - 0 新潟 (17:04/広島ビ/11,961人)
得点者:61' 高萩洋次郎(広島)、65' 李忠成(広島)、68' 李忠成(広島)、87' 大崎淳矢(広島)
スカパー!再放送 Ch183 11/22(月)前05:00〜
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「新潟は危険なチームだと警戒していたし、前半は厳しい内容だった」
試合後のペトロヴィッチ監督の言葉どおり、新潟が前半に見せた守備重視の闘いは広島を苦しめた。

水曜日に天皇杯で120分間の激闘を闘い、PKでの敗戦。エース=マルシオ・リシャルデスの負傷、守備の要=千葉和彦の体調不良による離脱。度重なるネガティブな要素を乗り越えようと、新潟は精一杯闘った。美しい3ラインをつくってコンパクトなブロックを形成。広島のストッパーにボールが入ると、両サイドのMF(木暮郁哉、ジョン・パウロ)が動きだして、プレスをかける。その動きにサイドバックやボランチも連動し、広島にスペースを与えない。横浜FMにしてもG大阪にしても、広島の攻撃をまず止めることで若い紫軍団の焦りやミスを誘い、したたかに勝利を奪っている。広島の攻撃を研究し、まず守備ありきの戦術は、当然の戦略だ。
だが、この日の広島は焦らない。じっくりとパスを回して隙を伺い、安易な縦パスも入れない。「無理をせず、我慢しながらやっていけば、相手にはボディブローのように効いてくると思った」と森崎和幸は言う。また高萩洋次郎も「前半からチャンスもつくれていたし、テンポも悪くなかった」と自信を失っていなかった。

実際、後半の新潟は、足が止まった。球際も勝てなくなり、一歩目のプレスがゆるんできた。「広島がボールを回してくるので、そのあたりも辛かった」と黒崎久志監督が悔しさを吐き出す。広島の主体的なパス回しに振り回され、揺さぶられ、肉体も精神も休む時間がなかった。それでも「負けたくない」という意地が、疲労困憊の彼らを支えていた。
57分、状況を打破すべく、ペトロヴィッチ監督は切り札=佐藤寿人の投入を決意。ピッチ横で背番号11が登場を待っていた。だがそこから、広島のボールポゼッションが始まる。新潟がクリアしてもセカンドボールを拾い、ショートパスから大きな展開と自在にパスを回し続ける。その時間が約3分間、続いた。
槙野がドリブルからクロス。クリア。そのボールを高萩が狙っていた。
「思い切って打とう」
その想いをボールに込めたシュートはDFに当り、コースが変わってネットへ。広島待望の、新潟にとっては与えてはならない先制点。その後、新潟は無理をして前に出ざるをえなくなったが運動量がついていかない。バランスは崩れ、全体が間延びして広島にスペースを与える結果となった。
佐藤寿人投入後、広島は李忠成がシャドーに下がって1トップ2シャドーの陣形を崩さない。今週の練習で2トップの練習を繰り返した広島だったが、攻守のバランスを見て「やはり1トップだ」と指揮官は判断。FWタイプの李をトップに張らせず、あえて下がり目に置いた。この試合、広島にとって勝利以上の価値を感じさせたのは、今までのフォーメーションを崩さずに、佐藤寿人と李忠成、二人のストライカー共存の可能性を証明したことだろう。実際、ペトロヴィッチ監督は次節の清水戦では佐藤の先発起用を明言。それも、二人の併用に手応えを感じたからだ。

65分、山岸智のFKを森脇良太がヘディングシュート。ポストに弾かれたこぼれを李が押しこみ、2点目。68分、青山敏弘のクサビを佐藤が落とし、李が永田充を鮮やかに抜き去った後、美しいループシュートをネットにおさめて3点目。87分には途中出場したルーキー・大崎淳矢が自ら奪ったPKをゲット、リーグ戦初得点を決めた。「終わってみれば、完勝だった」と試合後、ペトロヴィッチ監督は満足そうな笑みを浮かべた。

シュート4本、西川周作が蹴ったゴールキックがわずか3本という数字が証明するように、新潟はほとんどノーチャンス。全体に巣くう疲労感は、後半の失点でさらに深いダメージとなってチームを覆った。次節はマルシオ・リシャルデスの復帰も見込まれるが、それよりも連戦と完敗からくる疲労から、いかにリカバリーするかが重要。次のホームゲームまでにチームを立て直し、プロとして最後まで闘いぬく執念を見せてほしい。

「この試合を勝ったことで、また上が狙える。みんなが同じ方向を見て、闘える」と槙野智章がまなじりを決し、森崎和幸は「残り3試合は全勝する」と言い切った。わずかに残るACL出場の可能性に賭け、広島は15年間勝利していない日本平へと赴く。アジアでの戦いから始まり、ボロボロに傷つきながら闘い抜き、ヤマザキナビスコカップ決勝では歴史に刻まれる名勝負を演じた2010年の広島にとって、清水戦はまさに「FINAL」(ペトロヴィッチ監督)。全ての力を注ぎ込んで勝利を手にすべく、広島は鬼門へと旅立つ。

以上

2010.11.21 Reported by 中野和也
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