11月20日(土) 2010 J2リーグ戦 第35節
甲府 2 - 4 草津 (14:34/小瀬/12,113人)
得点者:28' 菊池大介(草津)、54' 菊池大介(草津)、56' 高田保則(草津)、69' アレックス(草津)、77' ハーフナーマイク(甲府)、81' 養父雄仁(甲府)
スカパー!再放送 Ch186 11/22(月)後07:00〜
試合速報一覧 | クラブサポーター対抗totoリーグ | Jリーグ中継に関するアンケート実施中
☆J2シーズン表彰 投票受付中!!
----------
J1昇格(Jリーグ理事会の承認が必要、以後省略)に満足した一週間を過ごしてきたが、「サッカーはメンタルのスポーツ」とはよく言ったもので、個々のちょっとしたメンタルの変化がチームに影響をもたらせることのプラスとマイナスを草津戦は教えてくれた。甲府の選手は誰もサボっていないし、「昇格を決めて安心していた」と言わせない戦いを表現するつもりだった。しかし、試合が始まってみれば、そのプレーは少しずつ消極的な姿勢があった。前節、栃木に来ることが出来なかったサポーターに、ホーム・小瀬でいいところを見せて昇格を報告しようと思ってプレーしていたが、この日の先発には試合に出ることを渇望している選手を数人入れた方がよかったかもしれない。いつもとほぼ変わらない先発選手達は動いてはいるが、「2010年式・草津ラスト4マッチ」を大切に全力で戦おうとするチームをパスワークで崩そうとする戦い方をしていた。そして、それは段々フィットしなくなる。その結果たどり着いたのが「原点回帰」。開幕時の甲府の姿を思い出させてくれた。元々絶対的な力の差はないのだ。少しの差を積み重ねてきて、結果として大きな勝点差にしてきただけだった。J1優勝の名古屋だって7回も負けているんだから負け数が4になったことは大きな問題ではなく、メンタルをコントロール出来なかったことが問題。
選手同様にラスト4マッチを全力で戦おうとする意欲は草津サポーターからも感じた。もう少しセンチメンタルな気分なのかと予想していたが、8人の契約満了選手の発表からネガティブな影響は受けずにイチガンになっていた。どこかのチームのスローガンのように。序盤はボランチの熊林親吾、左サイドハーフの廣山望、左サイドバックの田中淳がサイドのエリアで数的優位を作って甲府の右サイドを浸食していく。草津のボールへの執念がそうさせるのか、パスワークで上手くかわそうとする甲府のちょっとした消極性がそうさせるのか、草津の攻撃を跳ね返しても甲府はセカンドボールをなかなか拾えなかったし、攻撃に繋げることが出来ない。そして、23分にはアレックスがGK・荻晃太の股を抜くシュートを決める。これはオフサイドという素晴らしいルールのお陰でゴールは認められなかったが、5分後にはこぼれ球を菊池大介に決められてしまう。
前半を1失点で終えた甲府の選手は、後半は気持ちを切り替えて戦うつもりだったし、1失点でスイッチが入ると期待した。しかし、1失点では足りなかったようで、54分には菊池に恐ろしく素晴らしいミドルシュートを決められて0-2。甲府はマラニョンと柏好文をスタンバイするが、その前に菊池のアシストで契約満了が発表された高田保則に3点目を許す。選手の心の中で燻っていた闘争心にガソリンを注いだのがダニエルと荻の意思疎通が上手くいかずにアレックに捧げた4点目(69分)。スタジアムで見ていた多くの人が「(甲府の集中力が)キレた」と感じた惨めな失点だった。しかし、75分に菊池が交代でピッチを出ると草津の足が止まり始めて受け身になる時間が増えた。副島博志監督が会見で「少し疲れていたので交代させたが、菊池の交代に関しては私の反省がある。甲府が眠りから覚めた。(この判断は)私の修正ポイント。ゲームを終わらせる形に持って行けなかった」と話したが、それだけ菊池の存在は大きかったし、自分の生きる道を見つけた素晴らしいプレーだった。
0-4。プライドをズタズタにされた怒りのモチベーションが甲府の選手に積極性をもたらせた。0-4になったときは悪口を考える気にもならなかったが、77分にハーフナー マイクが1点を返すと「(マイクがゴールを決めると負けないという)自らの不敗神話を壊す怒りのゴール」という言葉が思い浮かんだ。しかし、81分に養父雄仁が2点目を決めると「これで追いついたら本当に神話」というネボスケの期待がようやく起き出してきた。アディショナルタイムを含めれば10分以上残っていたし、決定機がその後も何度もあった。しかし、まだ2点もリードしていることにようやく気がついた草津は、慌てるだけではなく時間の無駄使いをすることをようやく思いついたようで、感情をコントロールする方法を忘れた選手が甲府に出てしまう。難しい試合でも耐えていたはずのマイクが異議で2枚目のカードを貰って86分に退場。前半は2本も、後半だけで13本のシュートを打った甲府はその後も決定機を作るが、神話の継続は許されなかった。
この日の草津は先発に2人(高田、廣山)、ベンチに3人(尾本敬、崔成勇、秋葉信秀)の契約満了が発表された選手がいた。草津の選手はセンチメンタルな気分ではなく、プロとしてこの現実を受け止めて戦っていた。菊池は「チームの中心選手もいるし、一番走っている選手の名前もあった。自分が来年プレーする上で、彼ら以上のプレーをしないといけないと思った。彼らがチームに貢献する姿を見てきたが、彼らの分も頑張らないといけないと感じた。(湘南からレンタル中だが)僕がプレーしているのは草津。このチームのために貢献したいと思っていた」とチームに対する感謝や愛が詰まった話をする。廣山は「(2位の甲府に勝ったことは残り3試合も続く上位対決で)精神的な土台になると思う。一度(上位チームに)勝てば何でもないことのように思える。(次節の千葉は)お世話になったチーム。自分がこういうプレーヤーだということを見せるチャンス」と現実を受け入れてチームのために戦っていた。草津の番記者からは去就についての質問が出ていたが、彼らが出している答えは、残り4試合をチームとサポーターのために戦い、プレーでアピールするということだけ。「試合前のアップで半ベソになった(笑)。試合が始まると身体が重くてそれどころじゃなかったけれど、残り3試合も頑張って(嬉しいときは)気持ちを解放して泣きたい」と話した高田。まさにイチガン。みんながチームとサポーターのために戦って手にした勝利。
一方、甲府はJ1サロンのメンバーの中で降格の心配なんてしたことがない鹿島兄貴やガンバ兄さんと同じテーブルで食事をすることはなかなか許して貰えなさそうだ。このままなら、ドアが開く度に暑くなったり寒くなったりするサロンの入り口近くの席で、勝点をかき集めるしかない。昇格は素晴らしいし、決めて安心するのは仕方がないが、4点目を失うまで自分たちで修正出来ないことが問題。今年は、上手くいかない試合はしっかり守るという帰る場所があったはず。状況に応じたゲームコントロールをやろうとしていたはず。帰る場所があるのを忘れていたのか、帰ることを忘れていたのか…。勝っても負けても大事なのは、次(アウェイ・水戸戦11/28)。ホームで気まずい昇格報告という代償を払ったのだから、もう一度やり直して12月4日の最終戦でサポーターが小瀬(対岐阜戦)を満員にしたくなるような戦いを見せよう。甲府はJ2リーグ2位の素晴らしいチームなんだ。
以上
2010.11.21 Reported by 松尾潤
J’s GOALニュース
一覧へ- 終盤戦特集2025
- アウォーズ2025
- 明治安田J1昇格プレーオフ2025
- 明治安田J2昇格プレーオフ2025
- J3・JFL入れ替え戦
- AFCチャンピオンズリーグエリート2024/25
- AFCチャンピオンズリーグ2 2024/25
- はじめてのJリーグ
- Jリーグ×小野伸二 スマイルフットボールツアーfor a Sustainable Future supported by 明治安田
- 明治安田Jリーグ百年構想リーグ
- 2025 月間表彰
- 2025 移籍情報
- 2025 大会概要
- J.LEAGUE FANTASY CARD
- 2025 Jリーグインターナショナルユースカップ
- シャレン Jリーグ社会連携
- Jリーグ気候アクション
- Jリーグ公式試合での写真・動画のSNS投稿ガイドライン
- J.LEAGUE CORPORATE SITE













