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【J1:第32節 清水 vs 広島】レポート: お互いの持ち味を存分に出し合った熱き好ゲーム。前半を制した清水が粘り勝ち、ACL出場に向けて一歩前進(10.11.24)

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11月23日(火) 2010 J1リーグ戦 第32節
清水 2 - 1 広島 (14:04/アウスタ/17,143人)
得点者:15' 兵働昭弘(清水)、39' 岩下敬輔(清水)、81' 李忠成(広島)
スカパー!再放送 Ch183 11/24(水)後04:00〜
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結果は清水の辛勝だが、それによって清水は5位に浮上してACL出場に望みをつないだのに対して、広島は4位のC大阪と勝点差が7に開いてACL出場の可能性が消滅。順位表のうえでは大きな差が出た。ただ、結果を別にすれば、お互いに自分たちのサッカーを貫き、最後まで勝利にこだわって、非常に見応えのあるゲームを見せてくれた。

とくに前半の清水は素晴らしかった。攻撃にアクセントをつける小野伸二を出場停止で欠きながらも、代わりにトップ下の位置に下がった藤本淳吾がよくボールに絡んで、パスの面でも、ゴール前への飛び出しの面でも、自力での仕掛けの面でも、小野の不在を感じさせないプレーを披露。左FWで先発した大前元紀も、ヨンセンに代わって中央に入った永井雄一郎も、代役という形ではなく、自分ならではの持ち味をしっかりと出して、攻撃に変化をつけた。
「ボールの動かし方も非常に良かったし、押し込んだ後にワンタッチを入れたり、スルーパスを狙ったりということもできていた。サイドを大きく使いながらという形もできていたし、非常にバリエーション豊富で良い攻撃ができていたと思う」と、もう1人の司令塔、兵働昭弘が振り返った通り、広島にゴール前を固められた中でも、さまざまな角度からゴールに迫るシーンを作れていた。
その展開をもたらした背景には、前線からの精力的な守備もある。GKも3バックもきっちりボールをつないでくる広島に対して、前から素早くプレッシャーをかけてリズムを作らせない。逆に広島のほうは、「ちょっと縦に急ぎすぎたところもあったし、裏へのボールが多すぎて、失う回数が多かった。慌てることなく、奪ったボールをもっと確実に動かせれば良かった」(中島浩司)という反省点が見えた。

そして前半15分には、清水が幅を大きく使って突破口を開く。アンカー本田拓也のサイドチェンジから市川大祐がアーリークロスを入れ、永井が絡んで逆サイドに流れたボールを、大前がキープ。そこからシュートに行くと見せかけて後方に落とし、走り込んだ兵働がダイレクトで左足を一閃。矢のようなシュートがゴール左上に突き刺さり、清水が自分たちの流れのうちに先制点を奪うことに成功した。決めた兵働にとっては、記念の自身150試合目で、うれしい16試合ぶりのゴールとなった。
その後は、徐々に広島がポゼッションする時間が増え、清水陣内での攻防が増えたが、ここでも清水は冷静な守備を見せる。広島は、後ろで冷静にボールを回しながら縦にボールを入れるチャンスをうかがい、バイタルエリアに縦パスを入れてからは非常に速くて連動した攻撃が持ち味。だが、清水はその縦パスを入れさせない守りを徹底し、なかなかつけいるスキを与えない。そうなると広島は、何度もサイドチェンジを繰り返し、両翼に張り出したミキッチと山岸智の個人技も生かしながらチャンスをうかがうが、これに対しても清水は全体のバランスを崩さないまま左右にスライドし、前線の選手もカバーに回ってうまく対応した。
そのため、広島が流れを変えきれない中での前半39分、藤本の左CKから相手のミスをついてDFの岩下敬輔が2点目をゲット。これは岩下にとっての今季初ゴールで、大きな意味のある追加点となった。

前半は、そのまま流れが変わることはなかったが、後半に入ると、中2日のインターバルが3回続いた4戦目ということもあり、前半から飛ばした清水の動きが落ち始める。そうなると「サイドチェンジされたときに、そこにプレッシャーをかけにいくファーストディフェンダーがきつくなってきた」(西部洋平)という状況に。それによる対応の遅れが連鎖し、広島のパス回しに対して後手後手に回るシーンが増えて、徐々に苦しくなってきた。
そのため時間が経つごとに、広島がポゼッションして攻め、清水がカウンターを狙うという傾向が強くなっていく。清水も何度かカウンター攻撃で良い形を作りかけたが、そのスピードや迫力は不足し、広島守備陣が本当に身体を張って良い形でシュートを打たせなかったこともあって、3点目にはつながらなかった。
ただ、両チームともやみくもに前に蹴ることなく、しっかりパスをつないでゲームを組み立てる姿勢を後半も貫き、見ていて気持ちいいゲームであったことは間違いない。

後半30分あたりからは、広島の攻勢がさらに強まり、清水がゴール前に貼りついて耐える展開に。そして36分、ミキッチが右サイドで粘って森脇良太がクロスを入れ、ファーサイドの山岸がワンタッチで折り返したボールを李忠成が頭で押し込み、ついに1点を返す。ここは広島らしい鮮やかな攻撃で、清水の人数をかけた守りをしっかりと突き破った。
その後も、広島の攻勢が続いて、45分にはミキッチの右アーリークロスから李が決定的なヘディングシュートを放つが、至近距離のボールにGK西部が超人的な反応を見せてスーパーセーブ。このビッグプレーがなければ、結果もどうなっていたかわからなかった。
だが、このプレーで勇気を得た清水の選手たちが、3分のアディショナルタイムでも最後の力を振り絞って身体を張った守りを見せ、48分の槙野智章のボレーシュートも上に外れて、ついにタイムアップ。最後はハラハラドキドキのスリリングさも十分に味わえるゲームとなった。

これで3連勝を果たした清水は、予告通り恒例の“勝ちロコ”に長谷川監督も参加。この大詰めに来て、チームの一体感も、サポーターとの一体感も大きく向上し、3位・鹿島との勝点差が2に接近。トップ3入りに向けて、この流れを維持することが、“健太エスパルス”としての意地の見せどころとなる。

以上

2010.11.24 Reported by 前島芳雄
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