11月23日(火) 2010 J2リーグ戦 第36節
札幌 1 - 0 徳島 (17:03/札幌ド/9,507人)
得点者:67' 西嶋弘之(札幌)
スカパー!再放送 Ch185 11/25(木)後10:00〜
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攻撃のスタイルは対照的だった。ホームの札幌は敵陣で細かなパス交換をしてのチャンスメーク。対する徳島は柿谷曜一朗が起点となって佐藤晃大、津田知宏の2トップにシンプルにパスを当てる戦術だ。
高木純平が「ウチは背が低いので、クロスやラストパスにひと工夫したい」と試合前に話していたように、札幌はトップ下の砂川誠がバイタルエリアで横にドリブルをしながらラストパスのタイミングに変化をつけたり、高木がキックフェイントを入れてから緩めのクロスを送ったりした。9分にも内村圭宏が意外性のあるループシュートを狙うなど、アイデアのある攻撃を演じていた。
徳島の攻撃は非常にシンプルなものだったが、その攻撃をコントロールする柿谷が見事だった。7分には斜めのパスを配給して決定機を演出し、17分にも浮き球で佐藤に好パス。30分過ぎにも津田に鋭いパスを通して惜しい場面を演出している。そうした場面以外でも、ちょっとしたボールコントロールやキープの仕方さらにはタメの作り方などを見ていると、彼がJ2トップクラスの能力を持ったチャンスメーカーだということをあらためて感じてしまう。
札幌の細かなパスワーク。そして徳島は柿谷のセンスと2トップとの絡み。前半からどちらのチームも見応えのある攻撃を演じていた。
そうしたなかで札幌にはアクシデントが起こる。前半中ごろ、GK高原寿康がアキレス健を痛めてしまい負傷退場。急遽、佐藤優也がピッチに送り込まれたのだが、この佐藤が好パフォーマンスを見せる。佐藤の持ち味は何といっても体の大きさとスピード。一般的に、日本人の体質では体のサイズが大きくなるとどうしても俊敏性が失われてしまいがちなのだが、佐藤はサイズとスピードを兼ね備えた高いポテンシャルを有している。「難しいクロスに対しても落ち着いて出て行った」と石崎信弘監督が評したように、2トップへ送り込まれる徳島のクロスに対して素早い飛び出しを見せている。また、後半開始直後にはキャッチしたボールを素早く前線の内村へとキック。このパスはタイミングが合わず通らなかったのだが、その弾道は素晴らしかった。総合的に見てもミスなく、上々のプレーぶりだと言っていいだろう。CBの吉弘充志、藤山竜仁との連係もよく、徳島の攻撃を危なげなく跳ね返していた。
そうした試合展開に触発されたのか、徳島の韓国人GKオ・スンフンのプレーも抜群だった。Jリーグの出場が5試合目と、まだまだ経験は多くないが、192センチの長身はクロスボールへの安定感がある。長身ながらも重心は低く、前半終了間際には相手の西嶋弘之が抜け出してきたピンチを右足で防ぐビッグプレーを見せている。ボールを持った際にも全体をしっかりと見まわしてコントロールすることができていたため、この選手のパフォーマンスがチーム全体に終始落ち着きを与えていた。
両チームの守護神がハイパフォーマンスを見せていたため0−0のスコアで推移していったのだが、後半のちょうど半分が過ぎたころ、試合は動く。
その少し前の59分、徳島は攻撃のパワーバランスを高めるべくフォーメーションを変更。島田裕介に代えて徳重隆明を投入し、中盤がボックス型の4−4−2から4−1−3−2にしていた。2列目には左から徳重、六車拓也、柿谷が並び、その後ろで青山隼が広いスペースを1人で見る形だ。そしてこの変更が、試合を動かすきっかけのひとつになった。
前半から札幌は右MF藤田征也にボールが入った際に周囲の選手が複数でサポートし、ここのエリアから攻撃の起点を作ることができていた。徳島が中盤の底に青山、六車の2枚を置いていた時間帯は、ある程度のケアができていたのだが、徳重を投入して攻撃的に打って出てからはそのエリアへのケアが足りず、藤田に簡単に前を向いてのプレーを許してしまっていたのだ。そしてその藤田からのクロスが西嶋弘之の頭にドンピシャで合って、ゴールネットが揺れた。そしてこれが決勝点となった。徳島の美濃部直彦監督は「西嶋があの位置に入ってくるのは分析していたのだが…」と悔しがったが、実際には藤田にほぼフリーでクロスを蹴らせてしまったことが敗因だというべきだろう。「2連勝中で、残り試合は全勝しようと話し合って挑んだだけにこの負けは悔しい」と柿谷も悔しがる。
試合を総括してみると、試合開始時の順位は札幌が14位で徳島が9位。J1昇格権を争っているわけでもない試合だったが、その内容は十分に充実していたように感じた。どちらの攻撃にもしっかりとしたスタイルが見てとれたし、どちらもグループでの守備が機能していた。試合が動いた要因も、技術的なミスなどではなく徳島が若干、前がかりになったという細部の変化。スタジアムに集まった観衆を楽しませるにも十分な内容のゲームだったのではないだろうか。
ただ、ちょっと気がかりなのは、ただでさえ数多くの負傷者がいる札幌にさらなる負傷者が発生し、内村が累積警告で次節は出場停止になってしまったこと。その次節はメンバー構成にかなり苦しむことになりそう。そして一方の徳島だが、敗れはしたものの「悔しがっている暇はない」と柿谷が意気込むように、残り試合もとにかく勝利だけを狙っていく構えだ。
長かったリーグ戦も、いよいよあと2節。札幌と徳島。両チームがどのようにシーズンを締めくくるのか、注目したい。
以上
2010.11.24 Reported by 斉藤宏則
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