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【J2:第37節 水戸 vs 甲府】レポート:あまりにも残酷なサッカーの神様のいたずら。ラストプレーでの失点で、第1次木山体制ホームラストゲームを白星で飾れず。(10.11.29)

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11月28日(日) 2010 J2リーグ戦 第37節
水戸 2 - 2 甲府 (13:04/Ksスタ/4,172人)
得点者:56' 常盤聡(水戸)、70' 保崎淳(水戸)、74' パウリーニョ(甲府)、90'+4 小池悠貴(甲府)
スカパー!再放送 Ch183 11/30(火)後07:30〜
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サッカーの神様はなぜこんないたずらをするのか。水戸に携わるすべての人が小池悠貴の見事なシュートが決まった瞬間、そう思ったはずだ。1点リードで迎えたラストプレーでの失点。リードしてからの守り方や時間の使い方など、勝つための課題を挙げればきりがない。しかし、試合終了とともにグラウンドに倒れこんだ選手たちを誰が責められようか。今季ホームラストゲーム、1年間どんなときでも支えてくれたサポーターと、3年間チームを指揮した木山隆之監督に勝利をプレゼントしようと選手たちはすべての力を出して戦った。勝利こそ手にできなかったが、彼らは間違いなく水戸の誇りであった。

木山監督のホームラストゲームを白星で飾りたい水戸と、昇格決定後の試合でふがいない試合をしてしまい、そこから立ち直りたかった甲府。ともに勝利への強い執念をむき出しにした試合となった。だが、その思いが試合をこう着させた。互いに中盤でタイトな守備を見せるものの、リスクをかけて攻撃に出るまでには至らず、両チームともに「いい流れができなかった」(木山監督)。その状態を打破しようと、先に動いたのが木山監督であった。中盤の森村昂太を下げ、保崎淳を投入。保崎を左サイドバックに入れ、それまでサイドバック(試合開始時は右サイド、20分過ぎから左サイド)だった小池純輝を左ウイングに上げる攻撃的な4−3−3システムに変更。「前半思ったより動きの量を出せなかった。相手の守備がコンパクトで入り込むスペースがなかった。なので、サイドを起点にして相手を広げて、大橋(正博)と村田(翔)がボールを持てるようになるとゲームが変わると思った」と狙いを話す木山監督。3年間貫いてきた攻撃的なアイデンティティーを最後までチームに吹き込んでみせた。

すると、選手たちは水を得た魚のようにアグレッシブな姿勢を取り戻すこととなった。木山監督の思惑通りサイドの高い位置で起点ができるようになり、甲府を圧倒。サイドから再三チャンスを作り出し、そして56分に右サイド藤川祐司からのクロスを常盤聡が頭で突き刺して先制すると、70分には左サイドから中央に切り込んでいった保崎がシュートを放つ。ボールはゴール右隅に吸い込まれ、2点のリードを奪うこととなったのだ。まさに木山采配が的中。「3トップになってやりやすくなった。(木山監督は)さすがだなと思いました」と藤川はうなずいた。

しかし、簡単に勝たせてくれるほど甲府は甘くなかった。リーグ得点王のハーフナー・マイクをはじめ4人の選手を出場停止で欠く甲府。この試合中でもダニエルと松橋優が負傷してしまうアクシデントに見舞われたものの、そこから「J1に上がるチームの執念を見せてきた」(木山監督)。マラニョン、小池を投入し、徹底的にパワープレーを仕掛け、水戸ゴールを襲ってきた。74分にパウリーニョの個人技から1点を返されるものの、水戸も大和田真史と作田裕次が空中戦で対応し、こぼれ球に対しても下田光平が粘り強い対応を見せ、1点を守りきろうと必死にしのぐ時間が続いた。時計の針が90分を指す前に第4の審判員が掲げたアディショナルタイムは4分。ここをしのぎきれば、水戸の勝利が決まるという手に汗握る展開。スタジアムには水戸の選手たちを鼓舞する歌声と手拍子と甲府から駆けつけたサポーターの声援がこだました。そして、93分30秒をを過ぎた頃だった。右サイドから入ったクロス。ゴール前混戦のこぼれ球に反応した小池が豪快に右足を振りぬくと、水戸の選手たちはその場で倒れこむこととなった。

やはり甲府は強かったと認めざるを得ない。前述の通り、選手が揃わない状況の中、内田一夫監督は畑田真輝や小池悠貴といった若手選手を積極起用し、さらに3バックにするなどさまざまな手を打ちながら、最後まで勝利を狙おうと戦い続けた。それが最後の最後に実を結んだ。おそらく来季J1の舞台では、選手が揃わず、リードを許すという状況は多くあるだろう。その中でこの日のように最後まで気持ちを切らさず戦い抜くことが重要となる。決して満足いく内容ではなかったと思われるが、来季を見据えたうえでこの日の勝点1は大きな意味を持つはずだ。

第1次木山体制のホームラストゲームとなった水戸。「ベストゲームかというと、そうではない」と木山監督が振り返るように、この試合にすべてを出し切れたわけではない。しかし、2位のチーム相手に引くどころか、自分たちから攻撃を仕掛けていき、2点を先制したところに木山サッカーの真髄を見て取ることができた。木山監督が3年間培ってきたサッカーを十分堪能できたゲームであったことは間違いない。ラストプレーでの失点は、可能性にあふれる若き水戸に対し、そして今後指導者としてさらなる大成を期待される木山監督に対して「勝つことは簡単ではない」という教訓を改めて示してくれたのではないだろうか。人は悔しい思いをしただけ強くなれる。水戸も、木山監督も、これからもっともっと大きくなるために新たな一歩を踏み出すこととなる。その時、この悔しさが大きな糧となることだろう。そして、いつの日か、この日取り忘れた勝点2を取り返しに戻ってくる日を水戸サポーターは信じて待っている。

水戸に携わるすべての人を代表して、木山監督にこの言葉を贈りたい。

ありがとう。そして、また会う日まで。

以上

2010.11.29 Reported by 佐藤拓也
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