12/12 13:30 横浜FM vs 清水@MM21
★Jユースカップ2010特集
★Jユースカップ2010出場チーム紹介
熊谷アンドリューは、F・マリノスの名選手、上野良治とオーバーラップする。賛同者は少ないだろうけど、2年前、Jヴィレッジのクラブユース(U−15)選手権準決勝で、そう直感してしまった。
類似点は2つで、まずメンタル。実に落ち着いている。周囲のテンションより、一人だけ温度が低い。これこそ、クールでクレバーな証。精神的にしっかりしている。大人のプレーヤーだ。ペースが乱れたゲームを元に戻せる。そして、もう一つがつなぐ仕事。基本、両者ともに優れたパスの使い手である。パスの巧拙は、ショートパスに表れる。二人はタイミングとコース、スピードが的確でターゲットが受けやすく、流れを壊さない。しかも、短い距離を渡すときほど慎重に送る。特筆すべきが角度の多彩さ、深さ。上半身の向きは変えずに、ヒザから下を柔軟に捻って多方向に配球する。
ただ熊谷が努力型、上野が天性型とタイプは違う。もちろん熊谷も才能豊かだが、伸びしろをつくる作業への意識が非常に高い。注意やアドバイスを与えられると、それをしっかり消化して次の練習に臨む。しかし、そんな美点もプロへアピールするストロングポイントと同意語ではない。ポジション的に違えども、トップ昇格には小野裕二が示したような明確な押し出しが必要だ。決定打として、『何』を掲げるのか? その準備をするのが、このJユースカップかも知れない。
ここまでタイトル獲得はならなかったものの、今季のF・マリノスユースも、松橋力蔵監督のめざす方向を歩んでいる。だから昨年同様に夏から、ぐいぐいと逞しさを増していった。たとえば高円宮杯グループリーグ、三菱養和との5−1。あの激暑のなか90分間休まずハードワークし、足をつる選手は、ゼロ。強豪を、まずフィジカルで圧倒した。熊谷も、タイムアップのホイッスルが鳴った後、余裕の表情を浮かべ、疲れたそぶりなど微塵も見せていない。
このJユースカップ。内容をどこまで突き詰めて自分たちのサッカーを完遂できるかがF・マリノスユースのメインテーマとなる。その上に、来季のチームリーダーとなる熊谷には、ワンランク上のパフォーマンスが課せられている。
2010.12.08 Reported by 小林智明(インサイド)













