2月26日(土) 2011 FUJI XEROX SUPER CUP
名古屋 1 - 1(PK 3 - 1)鹿島 (13:37/日産ス/35,963人)
得点者:54' 増川隆洋(名古屋)、66' 野沢拓也(鹿島)
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1-1で迎えたPK戦。鹿島3人目のキッカー、アレックスのシュートがゴール右下へと飛んだ瞬間、スタジアムの誰もが息を飲んだ。決して甘いコースではないボールに飛びついた楢崎正剛が、なんとシュートをキャッチしたのである。「あれで相手は戦意喪失したんじゃないかな」と言う阿部翔平の言葉通りに、その次の鹿島・新井場徹のシュートも魅入られるようにして楢崎のセービングに遭った。「彼は日本一のGKだ」。ストイコビッチ監督が絶賛した守護神の活躍は、この日の勝敗を分ける大きな要因となった。
名古屋にとっては様々な意味でプレッシャーのかかる試合だったに違いない。過去2度の出場経験がある大会だったが、前年度のリーグ王者として臨むのは初めてのこと。観客は2010年のリーグ戦を圧倒的な強さで制した新チャンピオンを見にやってくる。その状況下で中盤守備の要・ダニルソンを欠き、昨年の公式戦で3戦全敗の天敵・鹿島と戦うのである。難しい試合になることは、戦前から目に見えていた。
しかし名古屋はたくましかった。アンカーにベテラン中村直志を入れ、小川佳純、藤本淳吾の3名で中盤を構成。その他のメンバーは昨季の優勝を勝ち取った不動のメンバーを並べ、あくまで攻撃的な姿勢を崩さなかった。
それだけでなく、この日は新たな試みも披露した。サイド攻撃に偏りがちだった攻撃にショートパスを駆使した中央突破を織り交ぜ、前線に厚みを加えたのである。3トップの両サイドである玉田圭司と金崎夢生は頻繁に中央へと顔を出し、小川や藤本らとのパス交換でゴール前へと迫った。その形から19分と45分には決定機を迎えるなど、効果は上々。ウイングが中に絞れば空いたスペースをサイドバックが使うことで、サイド攻撃の推進力も増す。バリエーション増と持ち前の武器の強化という一石二鳥のオプションを、名古屋は新シーズンへ向け投入してきたのである。
前半は鹿島にも2度の決定機を作られながらもゴールを死守。スコアレスで試合を折り返す。ボール支配率で上回った名古屋だったが、鹿島の積極的なプレスにビルドアップを遮断され、ミスからあわやの場面も散見された。このあたりは、やはりアンカーの本職ダニルソン不在の影響は大きかった。中村はビルドアップではなく、前線への精力的なフリーランニングでこそ持ち味を発揮する選手だ。後半、交代策でダブルボランチになるまでの彼は鹿島のフォアチェックに執拗に狙われ、相手の反撃の起点にされてしまっていた。
後半は立ち上がりから鹿島が猛攻を見せ、開始1分と4分にいきなり決定機を作り出したが、試合を動かしたのは名古屋の方だった。序盤のピンチをしのぐとすぐさま反撃に転じ、54分のセットプレーから先制点を奪った。やや距離のあるFKを蹴ったのは藤本。田中マルクス闘莉王、ケネディといった空中戦自慢をおとりにゴール前に飛び込んだのは、セットプレー第3の男、増川隆洋だ。「自分がおとりのつもりで入ったんですけどね」とうそぶく191cmの巨漢は、GKの前に絶妙にコントロールされたボールを頭でプッシュ。均衡を破る大きな得点を名古屋にもたらした。
その後、66分に鹿島の野沢拓也に美しい直接FKを決められ同点とされたが、85分の野沢の決定的なシュートは楢崎がビッグセーブ。右から左へと素早く展開されたボールを逆サイドに流された難しいボールだったが、左手1本で外へと弾き出した。前半にも大迫の強烈なシュートを間一髪で掻き出した楢崎には両チームともに感嘆の声。
試合はこのまま90分で決着つかず、PK戦へと突入するのだが、前述の通りここでも楢崎が鬼神のごとき活躍を見せた。名古屋の先攻でスタートしたPK戦は、名古屋の1人目ケネディがセーブされ暗雲が立ち込めたが、鹿島の1本目を楢崎が足でセーブ。そして3人目、4人目と連続でシュートを止め、チームを勝利に導いたのだった。
今季“一冠目”を手にした名古屋のメンバーは楢崎に最敬礼。PKを失敗したケネディは「ナラは『ジョシュア(ケネディ)が外したら俺が3本止めてやる』と言ってくれたんだ(笑)」と冗談交じりに話したが、「去年のMVPである理由を見せてくれた。素晴らしいフォームを作っている」と守護神の存在感に敬服した。本人は「PKはおまけみたいなもの」と謙遜したが、鹿島だけでなく、J1全チームには大きな脅威として映ったに違いない。今季の名古屋から得点することは難しいぞ、と。
宿敵からの勝利で意気上がる名古屋は、すぐさま中国へと向かった。杭州緑城とのAFCチャンピオンズリーグ初戦は3月1日。疲労との戦いでもある短期間での連戦には、勝利が何よりの追い風となる。今季も強し、を印象付けた名古屋が、国内外のタイトル制覇へ向けた挑戦の第一歩を高らかに踏み出した。
以上
2011.02.27 Reported by 今井雄一朗
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