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【AFCチャンピオンズリーグ2011 杭州 vs 名古屋】レポート:Jリーグ王者がまさかの黒星スタート。アジアの怖さをまざまざと見せつけられる敗戦は、リーグ開幕戦への良い薬となるか(11.03.02)

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3月1日(火) AFCチャンピオンズリーグ2011
杭州 2 - 0 名古屋 (20:35/杭州/28,674人)
得点者:60' RAMIREZ(杭州)、86' BALI(杭州)
チケット情報 | ACL特集
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まるで別のチームを見ているかのようだった。Jリーグでは屈指の高さを誇り、運動量を含めたフィジカル面でも上位に位置するチームが、次々と競り合いに敗れる。対人の局面でも、攻守を問わず後手に回ることがほとんどで、国内で見せる圧倒的な強さは鳴りを潜めた。Jリーグチャンピオンvs中国スーパーリーグ4位の下馬評は、少なくとも日本では名古屋グランパスが一枚上手。前日記者会見で杭州緑城・呉金貴監督が「明日は勉強になる」と発言したことも、その予想に拍車をかけていた。

だが、実際にピッチで相対した杭州緑城は非常に強力なチームだった。DFの要で現中国代表主将のDU WEI(杜威・背番号5)をはじめ、左サイドバックのRONG HAO(背番号4)、左利きのゲームメイカー・WANG SONG(背番号6)など3名の中国代表選手を揃え、前線にはホンジュラス人の巨漢FWラミレス(背番号9)が鎮座する。中盤で舵取り役を務めるウルグアイ人MFのマシエロ(背番号10)とバスケス(背番号21)もシンプルにプレーする好選手。彼らだけでなく、杭州緑城は全員が身体能力に優れ、確実な技術を持ったチームだった。端的に言えば、馬力のある選手が多かったということだ。そのことが今回の試合では、90分間にわたって流れに影響を及ぼし続けた。

名古屋は3日前のFUJI XEROX SUPER CUPを勝ち取ったメンバーから、わずかな入れ替えを施してアウェイでの一戦に臨んだ。前戦では中村直志が務めたアンカーのポジションで、より守備的な能力の高い吉村圭司を起用。負傷の回復具合が不透明だった玉田圭司もスタメン出場を果たし、過密日程を考慮したいわゆるターンオーバーは行われなかった。注目はFUJI XEROX SUPER CUPでお披露目した、攻撃時の新たなオプションが機能するかということ。互いの特徴がわからないからこそオープンな展開にもなりやすいアジアでの戦いで、流動的な攻撃がより威力を発揮する可能性は十分にあった。

しかしいかんせん、名古屋の出足が鈍い。ゲームのファーストシュートこそ藤本淳吾が思い切って狙っていったが、その後は杭州緑城のアグレッシブな攻守に手を焼き続けた。杭州緑城はほぼ11人全員が自陣に引いて守る戦術を採っていたが、自陣にあるボールへのアプローチは非常にスピーディーかつ激しく、ボールを奪えばキープ力のあるラミレスが時間を作り、一気に敵陣へとなだれ込んだ。上下動の多いダイナミックなサッカーは、日本にはないパワフルなものだ。名古屋は連戦と移動の疲れからか運動量が上がらず、また素早い守備のアプローチにボール保持者が孤立する場面が目立った。何より大きかったのは、前線の核であるケネディが競り合いで五分以上にやり込められてしまったことだった。Jリーグでは常に握れる制空権は、187cmの杜威や189cmのアダム・グリフィス(背番号3)と分け合う形になった。グリフィスが負傷退場した後に入ったWU WEI(背番号28)も195cmの長身選手で、名古屋の武器である高さはこの試合に限っては武器となりえなかった。

ボールがつながらない名古屋の前半の見せ場は、29分のペナルティエリア横のFKのみ。田中マルクス闘莉王がキッカーの藤本に一言指示すると、昨年の日本代表vsイングランド代表での得点と同じトリックプレーを試みる。しかしフリーで合わせたシュートは惜しくも枠を外れ、千載一遇のチャンスを逃した。杭州緑城は10分、22分、45分とすべてサイドからのクロスボール(セットプレー含む)から決定機を演出。ここは楢崎正剛が抑えて事なきを得たが、前線で消えた空中戦でのアドバンテージが、守備面でのディスアドバンテージになり始めていた。

後半は立ち上がり15分で決定機を2度作るなど攻勢に出た名古屋だったが、杭州緑城の早めの選手起用がその状況を変えた。前半から良いサイド突破を見せていたSHEN LONGYUAN(背番号12)に代え、呉監督はロンドンオリンピック世代のドリブラー・BALI MAIMAITIYILI(背番号20)を投入。すると、すぐさま最高の結果が出た。右サイドバックのTANG JIASHU(背番号19)からペナルティエリア右でパスを受けたBALIが中央へパス。センターバック2名の間でパスに合わせたのはエースのラミレスだ。前半から散見されていたマークの寄せの甘さが生んだ、痛恨の失点だった。

先制された後のストイコビッチ監督の対応は早かった。65分に金崎夢生と小川佳純を下げ、中村直志とこれがプロデビューとなる永井謙佑を投入。機動力に優れる2選手を入れて前線を活性化させる狙いだったと思われるが、11人で守備ブロックを作る杭州緑城の陣内に、彼らが生きるスペースは残されていなかった。81分には玉田に代えて千代反田充をピッチに送り込み、闘莉王のパワープレーを久々に起動させたが、空中戦でのアドバンテージを失った試合では、さしたる効果を得ることはできなかった。86分には焦る名古屋をあざ笑うかのように、BALIがカウンターからミドルシュートを決め、万事休す。Jリーグチャンピオンが、まさかの初戦黒星を喫した。

試合後の名古屋の面々は神妙に敗北を受け入れた。指揮官が「技術的には勝ったが、今日は相手の方が上だった」と言えば、キャプテンの楢崎も「相手の方が空中戦が強く、ウチのリズムにならなかった。確かに相手の方が良かった」と杭州緑城の強さを認めた。未知の相手と戦うAFCチャンピオンズリーグの怖さを、十分すぎるほどに味わわされた敗戦だった。

それでも名古屋に下を向いている暇などない。週末には何より大事なJリーグの開幕戦が待っている。素早い切り替えで敗戦のショックを引きずらない、連敗を決してしないのが王者・名古屋の持ち味である。この悔しさをバネに、ホーム豊田スでの横浜FMとの一戦では、再び強い名古屋の姿を見せてほしいものだ。

以上


2011.03.02 Reported by 今井雄一朗
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