今日の試合速報

チケット購入はこちら

J’s GOALニュース

一覧へ

【 AFCチャンピオンズリーグ2011 名古屋 vs 杭州】レポート:膠着した展開に指揮官の采配が的中!野戦病院状態のチームを救う若手の活躍で、名古屋がグループステージ突破を決めた。(11.05.05)

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
5月4日(水) AFCチャンピオンズリーグ2011
名古屋 1 - 0 杭州 (14:00/瑞穂陸/13,767人)
得点者:77' 藤本 淳吾(名古屋)
チケット情報ACL特集
----------
まさしくピクシー・マジック。主力に負傷者が続出し、大幅な戦力ダウンを余儀なくされた名古屋が、代役たちの奮起により難敵・杭州緑城を撃破した。ほぼフルメンバーで完敗を喫した相手に、ホームとはいえ現状のメンバーで勝利することは困難を窮めると思われた一戦で、勝利のすべてを知る指揮官の采配が的中した。

名古屋のスタメンは予想通りの11人。4月29日の復帰戦をいきなりの2ゴールで飾った玉田圭司と永井謙佑がツートップを組む4−4−2でスタート。サイドハーフには高卒新人の吉田眞紀人がプロ2戦目となるスタメン出場を果たし、中盤の底には中村直志と藤本淳吾が並んだ。負傷中の田中マルクス闘莉王の代役は経験豊富な千代反田充が務める。主力の大幅離脱により、控えには大卒2年目のDF新井辰也や19歳のMF磯村亮太、21歳のMF花井聖やFW久場光ら若い顔ぶれが名を連ねた。

一方、「実力的には我々の方が下にある」と呉金貴監督が前日会見で発言した杭州緑城は、絶対的エースのラミレス(背番号9)と、左利きのゲームメイカー、ワン・ソン(背番号6)をベンチに置き、前線には196?の長身FWタン・ヤン(背番号17)とMFバー・リー(背番号20)を組ませる4−2−3−1でスタート。試合後、指揮官は「前半は失点を避け、後半勝負に出るプランだった」と選手起用の理由を明かしている。

前半はキックオフから膠着した。杭州緑城は3月のホームゲームと同じく、11人がしっかり自陣に引く守備的隊形からカウンターを狙うスタイルを踏襲。しかしDFライン自体はそれほど低くなく、DFからFWまでが常に25mほどの距離に保たれるコンパクトな布陣で名古屋のプレーするスペースを確実に消してきた。これに「どこ出しても前はほとんど狭いという感じ」(名古屋・阿部翔平)と、名古屋の選手たちは手を焼いた。ただでさえ杭州緑城の選手たちはみな大きく、この日のスタメンの平均身長は実に183?。それほどの大柄な男たちによる守備ブロックに、名古屋得意のパスワークを通す隙間などなかった。こういう時に頼みの綱となるのがケネディの高さや闘莉王を含めたセットプレーなのだが、彼らはみな不在。相手陣に築かれた高い城壁の周りでパスを回し、ミスからカウンターを喰らう悪循環を払拭できないままに、名古屋は試合を折り返す羽目になった。

前半は杭州緑城のミスにも助けられ、スコアレスで終了。ここでまずストイコビッチ監督が一つ目の手を打った。相手の強固な守備ブロックの前に何もできなかった選手たちに猛ゲキを飛ばしたのだ。「リスクを冒してチャレンジしていけ!」。この一言で選手たちの迷いが消えた。「前半はスピードが上がらなくて、ハーフタイムに監督から『リスクを負って前に仕掛けろ』という指示があった。眞紀人とか永井とかも含め、チーム全体で前に仕掛けるような意識が出てきた」と小川佳純が語ったように、後半開始からの名古屋は、本来の積極性を取り戻し、ゴールへのチャレンジを始めたのである。

そして後半。前述の通り杭州緑城がラミレスとワン・ソンを投入し勝負をかけてきたことで、試合は動き出した。51分、52分と立て続けに名古屋が決定機を作ると、杭州緑城も51分、57分とやり返す。68分には名古屋の小川がフリーでのヘディングシュートをポストに当てるなど、抑揚のない前半が嘘のようなアグレッシブな展開に。そして64分、ストイコビッチ監督の“勝負手”が繰り出された。ドリブル突破とキープ力で前線の起点となっていた吉田に代えて、公式戦出場わずか2試合の久場を投入したのである。72分には前線の柱・玉田に代えて、こちらも経験の浅い橋本晃司をピッチに送り込んだ指揮官の判断は、この時点では不可解なものにも見えた。しかし、これが最高の結果を導くことになったのである。

73分、自陣ハーフラインあたりでルックアップした藤本が左足を一閃すると、矢のようなフィードがDFライン裏に走り込んだ久場の元へ。「ダイレクトで打つことも考えたけど、GKが見えたので」トラップを選んだ久場がGKと交錯すると、主審の判定は相手側のファウルでPK獲得。このPKを藤本が蹴り直しの後に左スミへ流し込み、名古屋が先制。杭州緑城はすぐさま190?のDFウー・ウェイを入れ、DFドゥ・ウェイを前線に送り込んでのパワープレーを敢行したが、名古屋も永井に代えて三都主アレサンドロを入れ、増川隆洋、千代反田、阿部の3バックで対応。相手の波状攻撃を耐え抜き、虎の子の1点を守りきった。

この勝利によってグループリーグでの勝点を10とした名古屋は、晴れてラウンド16への進出が決定。アウェイでのアルアインとの最終戦の結果で、グループ1位の座をFCソウルと争うことになった。絶妙の采配を見せたストイコビッチ監督は「本当に良い交代だったと思う」と自画自賛。さらには「ケガ人のコンディションにもよるが、できるだけベストなチームを組んで1位で通過したい」と、あくまでグループ首位での突破にこだわることを宣言した。一発勝負のラウンドでのホームコートアドバンテージは計り知れない。主力の不在を若手の奮起と指揮官の手腕で切り抜けたJリーグ王者は、手綱を緩めずにグループリーグを駆け抜けるつもりだ。

以上

2011.05.05 Reported by 今井雄一朗
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

旬のキーワード

最新動画

詳細へ

2025/12/21(日) 10:00 知られざる副審の日常とジャッジの裏側——Jリーグ プロフェッショナルレフェリー・西橋勲に密着