5月7日(土) 2011 J1リーグ戦 第10節
横浜FM 3 - 2 福岡 (14:03/日産ス/13,520人)
得点者:31' 城後寿(福岡)、42' 城後寿(福岡)、46' 渡邉千真(横浜FM)、77' 小野裕二(横浜FM)、81' 小野裕二(横浜FM)
スカパー!再放送 Ch184 5/8(日)後11:00〜
☆totoリーグ
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18歳、背番号10の小野裕二は、横浜F・マリノスの『持ってる男』なのかもしれない。
前節の浦和レッズ戦では途中交代し、木村和司監督から「へたくそやな」と言われ、この日はベンチスタート。ところが、56分に途中出場すると2ゴールを奪って、大逆転劇の主演の座を射止めてみせた。
決勝弾を奪ったあとは『どや顔』で喜びを爆発させ、ベンチに駆け寄り、味方選手の群れの中で手洗い祝福を受ける。試合後のミックスゾーンでは、記者たちの群れの中へ。ここでは淡々とクールな話しぶりで、質問に受け答えていた。
「クナンが(後半途中から)入って、うまくボールが来るようになった。それをどんどん拾ってシュートまで行けた」
キム クナンは66分に出場すると、横浜FMの攻撃はシフトチェンジ。ロングボール主体となり、長身193?の彼がターゲットマンとしてフル稼働。その競ったこぼれ球を有効活用したのが小野だった。81分の決勝点も、クナンが影の立役者に。兵藤慎剛のシュート後のこぼれ球に反応し、ゴール前に突っ込む。相手DFが彼を阻止しようと体を投げ出し、2人が『潰れた』ため、小野はフリーで決めることができたと言えるだろう。
また小野は「後半、こっちが点を取ったら相手が引いた」とも言っていた。それは反撃の狼煙となる1点目、渡邉千真の『秒殺』ゴールを指す。後半キックオフ後、約20秒だった。右サイドの縦パスを大黒将志がダイレクトで中央へ。そこにいた渡邉が距離のある難しいヘディングシュートを沈めたのだ。
福岡の篠田善之監督が「あの失点が全て」と言及したのをはじめ、両チームの多くの選手たちが、渡邉の得点をこの試合のターニングポイントに挙げていた。横浜FMは後半早々に1点を返せたことで、「そこから、じっくり点を取って逆転できるかなという感じになった」(栗原勇蔵)。逆に福岡はその圧に押し込まれ、ズルズルと守備ラインが下がる。それが、横浜FMの2点目直前の谷口博之のポストプレー、3点目を誘発した中村俊輔の兵藤へのスルーパスと、ゴールに直結する仕事をされた遠因だったに違いない。
この一戦をご覧になっていない方が気になるのは、むしろ前半ではないか。なぜ福岡が横浜FMから2点を奪ったのか、と。それは福岡がコンパクトな陣形からの鋭利な速攻と有機的なパス回しができたから。また横浜FMが「前から行くのか、いつものようにブロックを作るのか中途半端だった」(小椋祥平)のも一因。
横浜FMの中盤は妙に前がかりになり、バランスが悪く、間延びしていた。31分の福岡の1点目は、城後寿が中村をドリブルで抜くと、そのスペースを突き、きれいなワンツーを描いたあとに奪った。42分の2点目は右から左へのサイドチェンジで相手を揺さぶり、素早いパス回しからグラウンダーのクロス。中で再び城後が流し込んだ。このシーン以外にも福岡は決定機を1、2度作り、栗原勇蔵に「前半の福岡は強かった」と言わせた。しかし、これまでの5戦同様、後半にペースダウンしまう…。試合後の選手・監督のコメントを聞くかぎり、その課題を克服する方策はまだ見出されていないようだった。だが、そろそろ何らかの答えを示さなければいけないはず。手遅れにならないうちに。
以上
2011.05.08 Reported by 小林智明(インサイド)
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