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【J1:第10節 柏 vs 浦和】レポート:明暗を分けた開始1分の先制弾!ゲームプランを遂行した柏は首位に返り咲く。浦和は痛恨の3連敗。(11.05.08)

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5月7日(土) 2011 J1リーグ戦 第10節
柏 3 - 1 浦和 (16:05/国立/24,222人)
得点者:1' 北嶋秀朗(柏)、21' ジョルジワグネル(柏)、83' 北嶋秀朗(柏)、90'+2 原口元気(浦和)
スカパー!再放送 Ch185 5/8(日)深00:00〜
totoリーグ
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両者とも中盤にクリエイティブな選手を置き、前線にはスピードのあるアタッカーやドリブラーがいる。そして柏が中盤ボックス型の4−4−2ならば浦和は4−3−3と独特なシステムを形成する。こういった両者の特徴を踏まえ、おそらく両指揮官はボールを奪った後、スピーディーかつ効果的にスペースを突き、アグレッシブな攻撃を繰り出すという似通ったゲームプランを思い描いたはず。だがそれは、わずか開始1分で明暗がくっきりと分かれることとなった。
柏の右サイドバック、酒井宏樹がレアンドロ・ドミンゲスとのパス交換で右サイドのオープンスペースへ颯爽と抜け出し、絶妙のクロスを放つ。スピラノビッチとの駆け引きで優位なポジショニングを取った北嶋秀朗は、一気にスピードを上げてニアへ走り込み、豪快なヘッドでゴールネットを揺らした。

この先制弾で柏は試合前から企てたゲームプランをさらにはめやすい状況へ持ち込んだ。むやみに浦和の最終ラインへプレスを仕掛けるのではなく、相手がボランチへボールを入れたゾーンから守備を行い、山田暢久、柏木陽介に入るパスは北嶋、田中順也がケアし、サイドバックにはレアンドロ・ドミンゲス、大津祐樹がワイドに開いてマークにつく。そして柏木が高い位置へ抜け出すと、ボランチの大谷秀和、栗澤僚一にマークを受け渡した。浦和は高いゾーンへ侵入できず、連携ミスが生じ、ボールを奪った柏が怒涛のカウンターを発動する。21分の柏の追加点は、まさに鋭利なカウンターから炸裂したもの。浦和のコーナーキックのこぼれ球をレアンドロ・ドミンゲス、大津とつなぐ。数的不利の浦和はジョルジ・ワグネルに寄せきれず、フリーの状況でパスを受けたワグネルは狙いすました左足ミドルシュートを鮮やかに突き刺した。
「こっちがプレスをかけてもワンツーでうまくやられて当たりにいけなかった」とは浦和DF永田充の言葉だが、浦和の守備陣は柏の選手をつかまえ切れず、寄せても巧みにかわされるシーンが目立った。攻撃面でも柏の守備組織にしっかりはめられたことで、後方からの単調なロングボールも増え、柏DF増嶋竜也が「ハイボールの競り合いでも1回も負けなかった。エジミウソンに仕事をさせなかった」と振り返るとおり、前線でエジミウソンが孤立してしまう。

ただ、浦和にもチャンスがなかったわけではない。この試合が移籍後初出場となった原一樹は、前半から積極的にゴールを狙う姿勢を見せており、後半に入るとマルシオ・リシャルデスとポジションを入れ替えトップ下から右サイドへ移る。原はワグネルとのマッチアップで優位に立つと、58分には柏GK菅野孝憲を脅かす場面を作り出した。また、原口元気も切れのあるドリブルでグイグイと柏の最終ラインを押し込み、得点の臭いを漂わせ始めた。後半、しばらくの時間帯はお互いが攻め合う格好となり、柏に3点目が入るか、それとも浦和が1点差に詰め寄るかで、試合の流れが左右される局面を迎えた。

しかし、この浦和に傾きつつある流れを食い止めたのがネルシーニョの采配である。ワグネルに代えて橋本和、さらに疲労の色が濃い大津、田中に代え、ハードワークができてリズムを生み出せる澤昌克、兵働昭弘を投入。この交代が奏功し、再び落ち着きを取り戻すと、83分にセットプレーから北嶋がダメ押しのゴールを決めて勝敗を決した。

浦和はアディッショナルタイムに原口が気を吐き、1点を返したものの3連敗。「話し合って戦い方を考えないと、このまま同じことの繰り返しだと思う。決定機0も問題。みんなで話し合って工夫しないといけない」。試合後、永田はそう問題点を語った。浦和の選手が個々の能力に長けるのは揺るぎない事実だが、それが永田の言葉にもあるとおり組織として噛み合っておらず、J2のステージで成熟度を高めた柏とは対照的な結果となってしまった。浦和移籍後初出場を記録した原の溌剌とした動き、最後に放った原口の一撃になんとか光明を見出し、次節から始まるホーム3連戦で巻き返しを図りたい。

一方、ほぼパーフェクトな試合運びを見せた柏だが、その中にも課題をいくつか覗かせた。早い時間帯から3点目のチャンスが何度もありながらそれを逸し、なかなか試合を決められなかったこと、さらに最後には連携ミスから失点も招いている。完勝で首位に返り咲いたから良しとするのではなく、シーズンを通して上位戦線に食い込むためには、些細な課題ですら徹底的に突き詰め、完成度を高めていかねばならない。

以上

2011.05.08 Reported by 鈴木潤
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